霊能探偵・伊田裕美 気仙沼の鮫女
【登場人物】
伊田裕美:霊能探偵、旅行ルポライター、ショートカットの黒髪を持ち、知的な印象を与える黒のスーツに身を包んでいた。端正な顔立ちと鋭い眼差しが特徴で、どこか探偵のような雰囲気を漂わせていた。
村田蔵六:陰陽師で湯川寺の住職、幽霊探偵の相談相手。
第1章:気仙沼の伝承と最初の犠牲者
気仙沼の海は、穏やかに波を揺らしながら広がっていた。潮の香りが鼻腔をくすぐり、波が寄せては返す音が心地よいリズムを刻む。春先とはいえ、まだ冷たい風が吹き抜け、肌を刺すような感覚を残していく。海辺の小さな漁村には、歴史の重みを感じさせる古い家々が並び、どこか懐かしい風景を作り上げていた。
伊田裕美は、そんな気仙沼の風景の中を颯爽と歩いていた。黒のスーツに身を包み、端正な顔立ちには鋭い眼差しが宿る。ショートカットの黒髪が風に揺れ、その姿はまるで都会の探偵のようだった。しかし、彼女は探偵ではなく、旅行ルポライターであり、同時に霊能探偵でもある。人の世に漂う奇怪な噂や伝承を追い、その裏に潜む真実を探るのが彼女の仕事だった。
今回、彼女が気仙沼を訪れたのは、温泉地の取材のためだった。しかし、旅の楽しみは取材だけではない。各地に根付く伝承や噂話を集め、そこに隠された歴史や事件を掘り起こすのもまた、彼女の密かな楽しみであった。
気仙沼には、こんな伝承がある――。
『海岸で名前を呼ばれても、決して振り返ってはいけない。振り返れば、鮫女に食い殺される』
裕美は、この伝承に興味を抱いた。鮫女とは何者なのか? なぜ、そのような言い伝えが残されているのか?
━━ ひとりの若い女性が襲われる ━━
夜の海は、底知れぬ闇を湛えていた。風が強く、白波が岩場にぶつかって砕け散る。
「佳代子さーん!」
旅館の仲居、佳代子は波の音に紛れるように名を呼ばれた。薄闇の中で、微かに人影が見える。
「……はい?」
思わず返事をしてしまった。
その瞬間、背筋に寒気が走る。
そこに立っていたのは、異形の女だった。
白い貫頭衣を纏い、髪は長く波に濡れていた。しかし、その顔は人ならざるもの。口が大きく裂け、鋭い牙が並んでいた。
佳代子は声を発することもできず、足がすくんだまま動けない。
女は、にたりと笑った。
次の瞬間、轟音とともに巨大な波が押し寄せた。
佳代子の姿は、闇の中へと呑まれていった。
━━ 江戸時代の怪異 ━━
それは、江戸時代に遡る。
気仙沼の漁村で、一ヶ月の間に次々と人々が姿を消した。最初は海女だった。次に、漁師。その後、村の娘たちが夜な夜な海へと消えていった。
ある者は、半ば食いちぎられた遺体となって浜に打ち上げられた。
村人たちは恐れ、ついに陰陽師を呼び、怪異を鎮めるための儀式を行った。そして、経文を書き記した巨大な石を海へと沈め、封印を施した。
以来、その怪異は止み、人々は再び平穏な暮らしを取り戻した。
だが、その封印は、本当に永遠のものだったのか……。
━━ 裕美の秘密 ━━
裕美は、人前で裸になることはない。
いつもなら、湯川寺の湯殿を使う。また、温泉に行くときは深夜、誰もいない時間を狙ってひっそりと湯に浸かる。
なぜなら、彼女の全身には、梵字の刺青が刻まれているからだ。
顔、胸、そして下腹部を除き、彼女の肌には神秘的な文様が刻まれていた。その紋様はただの装飾ではない。霊的な力を持ち、彼女の身を護るためのものであった。
そんな彼女が、気仙沼の温泉でくつろいでいた。
ふと、旅館の女将が血相を変えて駆け込んできた。肩で息をし、顔は青ざめている。手が震えており、ただならぬ様子が伝わってくる。
「佳代子が……いなくなったんです!」
旅館の仲居が失踪した。
その名を最後に呼ばれたのは、夜の海。
まるで、伝承の通りだった……。
第2章:封印の解放と最初の疑念
夜が明けても、旅館の空気は沈鬱なままだった。佳代子が忽然と姿を消してから、すでに十数時間が経過している。旅館の従業員たちは総出で捜索にあたり、警察も出動していた。しかし、彼女の行方を示す手がかりは何1つ見つからなかった。
裕美は、冷たい潮風に吹かれながら海を見つめた。遠くには波に洗われる岩場があり、白波が砕けては散っていた。夜の海に呑まれた佳代子は、今どこにいるのか――。
その答えは、ほどなくして見つかった。
翌日の朝、地元の漁師が海岸近くの入江で、波間に漂う人影を発見した。
佳代子だった。
遺体は岩場の陰に打ち上げられていた。髪は海水に濡れ、浴衣は波に引き裂かれたのか、乱れたまま彼女の身体にまとわりついている。顔は青白く、虚ろな目は薄く開いていた。何よりも異様だったのは、その身体に刻まれた無数の傷跡だった。
皮膚は裂け、深い切り傷がいたるところに走っていた。まるで鋭い牙に噛み砕かれたかのようだった。警察は事件性を疑い、検視が行われることとなった。
「こんな酷いことを、地元の人の仕業ではないね」
旅館の女将が呆然と呟いた。彼女の声は震え、まるで何かを確信しているかのようだった。
裕美は、女将の言葉が気になった。
なぜ、そんなことが言えるのだろうか?
確かに、この気仙沼市では重大な犯罪はほとんどない。しかし、この遺体の状態を見れば、常軌を逸した何かの力が働いているのは明らかだった。
裕美の脳裏に、昨夜の出来事が蘇る。
白い衣を纏い、長い髪を波に揺らし、裂けた口元に鋭い牙を覗かせる女――。
鮫女。
伝承として語られるその存在が、現実のものとして甦ったのではないか。
しかし、江戸時代の怪異と現代の事件に、果たして関連があるのだろうか?
疑念を抱きながらも、裕美はその答えを求め、東京にいる相談相手へと連絡を取ることにした。
【東京・湯川寺】
スマートフォンを取り出し、裕美は湯川寺の住職・村田蔵六の番号を押した。
「なんだと? 気仙沼でそんなことが?」
村田の声には驚きが滲んでいた。しばし沈黙の後、小さく息をついた。
「それは……『鮫女伝説』と関係があるかもしれんな」
「鮫女伝説?」
「うむ。かつて、海の女たちの中には、特別な力を持つ者がいたという。彼女は海の神と交わり、その身を異形の姿へと変えた。しかし、村人たちは彼女の力を恐れ、その子を奪い、殺した……」
裕美は息を呑んだ。
「子を殺された彼女は、復讐の鬼と化し、村の者たちを次々に喰らった。そして、村人たちは恐怖のあまり、陰陽師を呼び、封印を施したのだ」
「封印……?」
「そうだ。海に大きな経文石を沈め、それによって彼女を鎮めたと記録に残っている」
封印が解かれた可能性はあるのか? あるいは、何かの影響で彼女が再び目覚めたのか……。
裕美の背筋に、ぞくりとした冷たいものが走った。
海に沈められた封印の石――。
それが今、どうなっているのかを確かめる必要があった。
第3章:封印の謎を追う
気仙沼市の中心部にある郷土資料館は、こじんまりとした建物だった。古い木造の作りで、入口の引き戸はすり減った手垢が歴史を物語っている。館内に足を踏み入れると、木の香りとともに、古い書物の紙の匂いが鼻をくすぐった。
裕美は受付の職員に名を告げ、郷土資料の閲覧を申し出た。資料室へ案内され、埃っぽい棚に並ぶ古文書の束を前にすると、彼女の探偵心が騒ぐ。長年の時を経ても残る文字の中に、真実が隠されているかもしれない。
ページをめくる指が止まった。
江戸時代の記録に、ある連続怪死事件のことが書かれていた。海辺の村で、漁師や海女が相次いで失踪し、遺体で発見された者の多くは、身体が無惨に裂かれていたという。村人たちは恐怖し、祈祷師や陰陽師を招いたが、怪異は止まらなかった。
やがて、海の神を鎮めるため、巨大な経文石を海底へと沈めたと記録されている。それ以来、怪死事件はぱたりと途絶え、村は平穏を取り戻したという。しかし、記述はそれだけではなかった。
陸にも封印のための石がある――。
この一文に、裕美の目が留まった。
「陸にも……?」
だが、それ以上の具体的な場所についての記述はなく、どこにその石があるのかは不明だった。
裕美は、資料館の職員や地元の古老に尋ねて回った。しかし、誰もその『陸の封印石』の存在を知らなかった。古くから語られてきたはずなのに、なぜ誰も語らないのか。あるいは、何らかの事情で隠されたのかもしれない。
さらに調査を進めると、ある事実が浮かび上がってきた。
ここ数週間、気仙沼の海女たちの間で不可解な事故が増えているという。
原因不明のまま命綱が切れる。潜水中に突然意識を失う。時には、遺体が見つかっても、その傷は獣に襲われたかのように深く抉られている……。
まるで、封印が解かれたかのように。
裕美の背筋に、冷たいものが走った。
「もしかすると、封印が動いたのでは……?」
彼女はつぶやいた。
近年、気仙沼沖では海底開発が進んでいる。さらに、数年前には大きな地震があり、地形そのものが変わった箇所もある。その影響で、かつて沈められた封印石が動いた可能性は十分に考えられる。
もしそうならば……。
鮫女は、再び目覚めてしまったのではないか?
第4章:復活した鮫の母
その夜、旅館に緊張が走った。別の仲居が失踪したのだ。
夕方までは確かに館内で働いていたはずだった。だが、夜になっても姿が見えず、部屋にも戻っていない。仲間の仲居たちは不安げな顔で廊下を行き来し、旅館の女将は蒼白な表情で「また……」と呟いた。
裕美はすぐに旅館の者たちと共に捜索を開始した。館内から庭、そして海岸へと足を運ぶ。潮の香りが鼻を刺し、波の音が耳に響く。夜の海は、どこか不気味な静けさを湛えていた。
その時だった。
遠くの岩場に、白い影が立っていた。
波打ち際に佇むそれは、人の形をしていた。しかし、その雰囲気は異様だった。白い貫頭衣を纏い、長い髪が潮風に揺れる。顔は波に隠れ、はっきりとは見えないが、その気配だけで人間ではないと直感した。
「……見つけた」
裕美は呟き、慎重にその場に足を踏み入れた。周囲の空気が冷え込む。まるで、見えない力が辺りを包み込むかのようだった。
白い影が、ゆっくりとこちらを向いた。
その顔を見た瞬間、裕美の心臓が強く跳ねた。
目は深い闇のように黒く、口元は裂け、鋭い牙が覗いていた。長い髪の間から滴るのは、海水ではない。血だった。
「……お前が、鮫女か」
その瞬間、影が不気味な笑みを浮かべた。
【鮫の母の復讐】
翌朝、裕美はスマートフォンを取り出し、東京の湯川寺に電話をかけた。
電話の向こうで応じたのは、村田蔵六だった。
「……なるほど。やはり封印が解けていたか」
彼の声には、いつになく緊張が滲んでいた。
「私が見たのは、ただの霊ではなかった。実体を持っていた。……あれは、一体?」
「それは、おそらく『鮫の母』だ」
村田の声が低くなる。
「かつて海女たちの間には、特別な力を持つ者がいた。その1人が、海の神と交わり、異形の存在となった。しかし、村人たちは彼女を恐れ、さらに彼女の子を奪い、殺した……」
「……子を?」
「そうだ。鮫の母は、子を殺された怨みを抱き続け、やがて復讐の鬼と化した。彼女は生きたまま封印されたが、その怒りと憎悪は消えることがなかった。そして、今、再び目覚めたのだ」
裕美は深く息を吐いた。
「では、どうすれば?」
村田はしばし沈黙し、やがて低く告げた。
「供養ではなく、戦う覚悟が必要だ」
その言葉に、裕美は目を閉じ、静かに拳を握りしめた。
戦う――。
それが、唯一の方法なのだ。
第5章:決戦の時
気仙沼の海沿いを歩いていた裕美の足が、ふと止まった。浜辺から少し離れた岩場の影に、古びた祠がひっそりと佇んでいるのが見えた。
潮風に削られた木材は黒ずみ、かつて鮮やかだったはずの朱塗りは剥げ落ち、苔がびっしりと生えている。その佇まいは、まるで人の訪れを拒んでいるようだった。
裕美はゆっくりと歩を進め、祠の前に立つ。
供えられたものは何もなく、ただ無造作に転がる貝殻と、かつて誰かが供えたらしい白い石が積まれているだけだった。しかし、その奥に、忘れ去られたかのような供養塔があった。長い年月に晒され、木の板は風雨に削られ、苔がこびりついている。
裕美は静かに近づき、塔に刻まれた文字を指でなぞる。
「子を奪われし母の怒りは千代に続く」
彼女の背筋に冷たいものが走る。これは、ただの伝承ではない。今も続く怨恨の証なのだ。
潮風が強まり、海が不気味なうねりを見せる。
裕美はそっとスーツの上着を脱ぎ、肌に刻まれた梵字の刺青を露わにした。その瞬間、身体の奥底から熱がこみ上げ、刺青が淡く発光し始める。これは、ただの装飾ではない。彼女の家系に伝わる霊的な力――異形と対峙するための力だった。
その手には一振りの剣が握られている。
『たむならの剣』
古の時代、邪悪を切り刻み、この世の悪しきものを断つために鍛えられた神剣。かつて、仙人が世の闇を祓う者に授けたとされる。裕美もまた、その力を見出され、仙人からこの剣を託された。「お前はこの世の邪悪を倒せ」――その言葉と共に、たむならの剣は彼女の手に渡った。
この世の邪悪を断つために作られた、伝説の刃だった。
そして、裕美はその場で待った。
やがて、足元の砂がざわめく。
「……来たわね」
低く囁いた次の瞬間、背後で波が跳ね上がった。
「裕美さん……」
無言のまま振り返る。
そこにいたのは、長い髪を潮風になびかせ、裂けた口から鋭い牙を覗かせる鮫女だった。黒い瞳は爛々と輝き、異様なほど鋭い目つきが裕美を捉えている。
その瞬間、戦いが始まった。
鮫女が鋭い爪を振りかざし、一瞬のうちに裕美の胸元へと迫る。彼女は紙一重で身をかわし、剣を構えた。鋼の刃が月光を反射する。
次の瞬間、鮫女は大きく口を開け、牙をむき出しにして襲いかかった。
裕美は跳躍しながら剣を振るう。鮫女の長い髪が宙を舞い、ざわめく波の音が戦場の背景音となる。
しかし、鮫女の力は予想以上だった。
次の瞬間、鋭い腕が裕美の身体を捉え、そのまま海へと引きずり込んだ。
冷たい水が全身を包み込む。
裕美は水中で必死に身をよじるが、鮫女の力は強く、深く海底へと沈められていく。
だが、彼女の身体に刻まれた梵字の刺青が、次の瞬間、鮮やかな光を放った。
――ドンッ!!
衝撃が走る。
鮫女がたじろぎ、その隙に裕美は水の抵抗を利用して浮上した。
波間から顔を出し、大きく息を吸い込む。
しかし、鮫女は再び海から飛び出し、上から覆いかぶさるように迫る。
「……ここで終わらせる!」
裕美は剣を構え、渾身の力で突きを放つ。
たむならの剣が、鮫女の喉元を貫いた。
鮫女は激しくのたうち、凄まじい悲鳴を上げる。大きなうねりが海を揺るがし、その姿は闇に溶けるように消えていった。
海が静まる。
裕美は荒い息をつきながら、倒れ込むように砂浜に座り込んだ。
波打ち際に横たわっていたのは、巨大なウバザメの死骸だった。
そういえば、戦いの最中、鮫女の動きにはどこか馴染みのある特徴があった。
攻撃の際に大きく口を開ける姿、暗闇でも鋭く光る目、そして波と一体となるような泳ぎの速さ。
――まるで、海の王者と呼ばれるウバザメのようだ。
それが、鮫女の正体だったのか――。
遠く、夜明けの光が海を照らし始める。
戦いは、終わった。
遠く、夜明けの光が海を照らし始める。
戦いは、終わった。
第6章:静寂の終幕
裕美は、朽ち果てた供養塔の前に立っていた。
風にさらされ、苔に覆われた石碑は、かつての威厳を失い、誰にも顧みられぬまま時を重ねてきた。しかし、この地で起きた悲劇を忘れないためにも、供養塔を修復し、再び祀られるべきだと彼女は考えた。
裕美は自治体に働きかけ、地元の職人たちの協力を得て、供養塔の修復が始まった。
何日もかけて苔を落とし、刻まれた文字を掘り直し、新たな石板が据えられる。かつての古びた印象は一掃され、供養塔は荘厳な姿を取り戻していった。
最後に、彼女は手を合わせ、深く祈る。
「この地に眠るすべての魂が安らかでありますように――」
【旅館に戻る日常】
供養塔の修復が完了した頃、佳代子の葬儀が執り行われた。
旅館の女将は涙を流しながら、佳代子の遺影に語りかける。
「佳代子……ありがとうね……」
従業員たちも沈痛な面持ちで手を合わせ、静かに彼女の冥福を祈った。
葬儀が終わると、旅館にもようやく日常が戻り始めた。
裕美もまた、旅館を去る準備を進めていた。
しかし――どこか胸の奥に、拭いきれぬ違和感が残る。
【海の彼方からの声】
その日の夕暮れ、裕美はもう一度海岸へと向かった。
静かな波音。赤く染まる空。穏やかな海の景色。
しかし、その瞬間。
「……裕美……」
聞こえた。
どこからともなく、風に乗って囁かれるような声。
思わず振り返る。
そこには、海の向こうに浮かぶ白い影。
長い髪を潮風になびかせ、ゆっくりと波に溶けるように消えていった……。
裕美はしばらく、その場を動けなかった。
ようやくすべてが終わったのだろうか。
彼女は静かに目を閉じ、深く息を吐いた。
【カフェで一服】
帰りの電車を待つ間、裕美は駅前の小さなカフェに立ち寄った。
熱いコーヒーを口に含む。
ほっとした瞬間、ふと窓の外に目を向けた。
海へと続く道。
そこには、もう何もないはずだった。
しかし――
波打ち際に立つ、誰かの白い影が一瞬、視界の端をかすめた。
裕美は軽く笑い、コーヒーを飲み干す。
「……気のせいね」
カップを置き、立ち上がる。
こうして、彼女の気仙沼での旅は幕を閉じた。
(完)




