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隣の家…お揃いのバンダナ

作者: 青空優幸(Apple)

「小説家になろう公式企画 春の推理2023 参加作品(短編小説)です。

4月

桜が咲いた小学校。

2年2組の教室。

始業式が終わってチャイムが鳴った。

優斗ゆうとくん、帰ろう!」

「うん」

「僕も!」

今日から2年生。3人とも1年生からずっと一緒。

ランドセルを背負って傘を差し、学校を出て仲良く

いつもの道を歩いていた。

「雨かぁ…」つまらなそうな健太けんたくん。

「外で遊べないね…」残念がるあゆむくん。

「そうだね…じゃあまた、月曜日」

優斗は2人に手を振る。

「うん」

「バイバイ」

2人とは帰り道の途中まで。

それから家までの道は1人。


いつも遊ぶ公園の前を通った時、

何か音がした。

「何だろう?」

中に入ると、いつもと一緒。

ところが…いきなり

「ウーウー」

怖くなって急いで公園を出た。

家の前を通り過ぎて隣の家へ。

「お願い。入れて入れて」

すると…ドアが開いた。

1時間後…

「ありがとう」

お礼を言って来た道を戻り、階段を上がって家に帰る。

引っ越して来たのは一年生の時。

お父さんとお母さん、優斗の3人家族。

ニ階建ての二階が優斗の家。

一階には同じクラスの芽依めいちゃんが住んでいる。


「ただいま」

「お帰り。お昼ご飯はサンドイッチよ」

「やった〜」

「明日、買い物に行くけど…一緒に行く?」

「行かない」

「どうして?」

「公園で遊ぶから」

「分かったわ。お父さんは、家にいるからね」

「は〜い」


次の日。

「お父さん、お母さんおはよう!」

「早起きだな」

「今日は、土曜日よ?」

「早く遊びたいから。おにぎりだ!いただきます」

朝ごはんを食べると急いで…

「行って来ま~す」

「車に気を付けるんだぞ」

「は〜い」

階段を降り、昨日の場所へ。

「どうぞ」

次の日も、月曜日も…

公園の前を通ってから毎日。

学校の行き帰りそして、お休みの日も。

隣の家に通い続けて1ヵ月が経った…


買い物の帰り道。お母さんは、健太くんと歩くんに会った。

「こんにちは」

「こんにちは」「こんにちは」

「いつも優斗と遊んでくれてありがとう」

「遊びたいけど、遊べてないんだ…」

「優斗くんは、学校が終わるとすぐ帰っちゃうから…」

「………あっ、そうだったわ。

2人とも気を付けてね。さようなら」

「はい、さようなら」「さようなら」

さらに、1階のドアを開けて出て来た

芽依めいちゃんにも聞いてみた。

芽依めいちゃん、こんにちは」

「こんにちは」

「いつも優斗と一緒に遊んでる?」

「優斗くんは…すぐに帰っちゃうんだもん」


不思議に思ったお母さんは、家に着くと…

「行って来ます」

飛び出そうとする優斗を呼び止める。

「優斗、待って!」

「何?」

「どこに行くの?」

「公園に…」

「お母さん、道で健太くんと歩くんに会ったの。

下で芽依めいちゃんにも…

優斗は、いつもどこに行っているの?」

「………怒らない?」

「怒らないわ。ちゃんと話してくれたらね」

「分かった。お母さん、一緒に来て」


お母さんが優斗くんと来たのは隣の家。

「ここは…」

「お母さん、ここで待ってて」

「分かったわ」

隣りの家に入る優斗を待つお母さん。

数分後…

少し白い髪の毛の女の人と一緒に、子犬を抱いて出て来た。

「『ほくと』だよ。雨の日に公園で見つけたんだ…可哀想で…でも、家で飼えないから…お母さん、黙っててごめんなさい…」

「だからここに…知らなかったわ。優斗、頑張ったのね」

「毎日、来てるんだよ。北斗に餌をあげに…」

ここは、お母さんの実家。

優斗と一緒に出て来たのは…おばあちゃん。

「とっても可愛いんだ。一生懸命食べるし…尻尾を振るんだよ〜おじいちゃんが、庭にお家を作ってくれるって」


すると…おばあちゃんは、優斗にプレゼントを渡した。

「おばあちゃん、これは何?」

「おばあちゃんから優斗に…」

「ありがとう!開けても良い?」

「良いよ」

プレゼントを開けて中から出て来たのは…

オレンジ色で水玉模様のバンダナと

お揃いの小さなバンダナが付いた首輪。

「わぁ〜お揃いだ!おばあちゃん、ありがとう!」

「どういたしまして。優斗と北斗は、いつも仲良しだからね」

「あれ、もう一枚あるよ?」

「それは、まだ使えないんだよ。使えるのは…」

お母さんは、嬉しそうに笑っている。

「優斗、今お母さんのお腹の中には…赤ちゃんがいるの。

優斗は、サンタさんが来る12月に…お兄ちゃんになるのよ」

「えっ、本当?僕、お兄ちゃんになるの?やったー!」

「優斗、良かったね」

「だから、もう1枚だったんだ。みんな仲良し!一緒だね」

「優斗は、きっと…優しいお兄ちゃんになるわね」


隣の家で…たくさん綺麗な笑顔の花が…咲きました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ミステリーらしからぬホッとする作品で、心が温まりました。
[良い点] 毎日不審者につきまとわれているのかと思って、心配しました。 出会った初日から救出していたんですね。
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