契約したらまずお前をぶん殴る
…気がつくと俺は、あたり一面が真っ白く、奥行きも高さも分からないところにちょこんと座っていた。目の前には
「おまおまおまおまおまおまおまおまおまおまおま」
『おはよう、隼吾クン??』
フランシスがによによと笑っていた。
「何でお前がここにいるんだよおっ!!!!!!」
『何でって…俺、人の夢の中には入れるんだよね~…って言ってなかったっけ?』
そんなこと聞いてないし、作者だって考えてなかったよ。
目の前の幽霊はこちらを面白そうに覗き込んで、甘い笑顔で笑っている。…くそッ、何でこんなに世界は不公平なんだ…。どうして俺だけこんなに惨めな思いをしなくちゃいけないんだ…。
『ふ~ん。『何でこんなに惨めな思いをしなくちゃいけないんだ』って言う顔してるね。…何で惨めな思いをしてるの?』
神様、神様。どうかこの幽霊を今すぐ成仏させてください。今すぐ安らかな眠りをプレゼントしてあげてください。
「お前には一生関係ないことだよ」
『一生って言ってももう俺、死んでるんだからね?』
むかつく。なんだこいつ。
わなわなと湧き上がる怒りを気にせず、偽りのフランス人は、本題に入った。
『んじゃ、契約内容について話すよ?』
「契約?」
『俺が生き返らせてあげたじゃん?その瞬間から契約が結ばれたんだよ』
「…」
『俺と君との契約は、今『この世』にいる幽霊を『あの世』に送ること。早く言えばそんなところだよ』
俺は、はっきりいって、『この世』にいる幽霊からそんな事いわれるだなんて思ってもいなかった。目の前にいます。ここに『この世』にいる幽霊がいますよ。
『で、何でこういうことになったかというとね、俺が死ぬ前にちょっといい事をしてたから、こういう特権がついたんだよね~。まぁ、一回だけだけど、神様が何でも言う事を聞いてくれるんだよ…って聞いてる??…聞いて無くてもいいや。で、君を生き返してあげるかわりに、『この世』を彷徨ってる幽霊達の未練を解いて、『あの世』に送り返すって言う仕事をしてくれって頼まれたんだよ。『この世』にいる幽霊は…まぁ、俺を含めてだけど…みんな未練があるんだよ、だからそれを解けば、送り返すことが出来るんだよね~』
俺はこの長すぎる説明を右から左へ受け流していた。…もう『あの世』とか『この世』とか『神様』とかよく分からない。しかもなんか仕事を押し付けられているし…。未練を解く?…未練…。
「じゃあ、お前の未練は何なんだよ」
『俺の未練は金髪の巨乳美女軍団にいちゃい』
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそういうことだと思った」