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登場、そしていきなりジ・エンド

 「おっはよーございまーす!!」

俺がそこへ到着すると、手に配達前の新聞を沢山抱えたオヤジさんと目をこすっているオカミさんがいた。

「お、今日も一番乗りだな、隼吾しゅんごくん」

「いつも有難うね」

「あははっ」

照れながら親父さんから新聞を受け取り、相棒の荷台にしっかりとくくりつける。それを確認して、親父さんは目を細めて言った。

「じゃあ、今日も頼むよ、配達」

「任せてください!」

そう言って俺は相棒にまたがり、ベルを「ちりんちりん」と鳴らしてから漕ぎ出した。

 俺の朝は早い。毎朝早朝3時に起床。素早くジャージに着替えて近くにある新聞販売店、「ドミニク新聞店」へ向かって俺の相棒、クリスティーナ(ママチャリ)を走らせる。そして、誰よりも早く新聞を配り(営業スマイルと挨拶も忘れずに)、家に帰って朝食をとる。それから俺の通う高校、アバスカル高校の指定制服をきっちり第一ボタンの上まで留めてから、クリスティーナと共に朝の爽やかなこのアリーサ町を颯爽と駆ける。そして、授業を決してサボらず受け、放課後は委員会活動、家に帰ったら予習・復習をして、明日の授業の用意etcをしてから9時にはベッドに入る。…なんていう素晴らしい不良ライフ!!!!!!ふははははは!!!!

「ふははははは…」

そんな俺の華麗なる毎日を脳内でプレイバックしていると、あっという間に配達する家に着いた。

 リズム良く、新聞受けにどんどん新聞を入れていく。こうしていると、モヤモヤしていた眠気もどこかへ飛んでいってしまうのだ。なんていい仕事バイトなんだ、新聞配達って。ありがとう!、新聞配達。最高だ!、新聞配達。

 「ふんふんふんふ~ん♪♪」

新聞を全て配り終わって、行き交うご町内の皆さんに爽やかに挨拶をしながら鼻歌を歌って、ドミニク新聞店に戻る。

 そして、一番相棒と走っていて気持ちの良い大坂、サカス坂へやってきた。この坂ををノンブレーキで下るのが俺の日課。ここへ来れば新聞店まであと少し。よしっ、スピード上げてくぞおおおお…!!十分に助走をつけて、いざ、サカス坂へ…

 「うおー!!!!!!!」

シャーーーーーーーーと、クリスティーナは爽快に走り出し、俺の全身にも爽やかな朝の清々しい風が当たり、気分は絶好調。もう自分がクリスティーナと一体になって草原を駆け抜けてるイメージ。盗んだバイクで走り出した人も、こんな感じだったのか??ああ、なんて気持ちいいんだ!!!もっと、このイメージに浸っていたいけど、この坂のすぐ下は崖。ここいらでブレーキをかけないと、取り返しのつかないことに…

 ここで、クリスティーナの異変に気がつく俺。

「…あれ!?」

ガチッ、ガチッ、と相棒のブレーキが変な音をだして、俺は嫌~な予感が脳裏に浮かんだ。

『ま、まさか…ブレーキが…』

 その刹那。

 俺は宙に自分の体が浮かんでいることに気がついた。遥か下には見慣れた俺の生まれた街。ゆっくりと流れていく景色は、これまで俺が生きてきて気がつかなかったことも映し出していた。ああ、俺、死ぬんだ…。そう思いながら見慣れた街を眺めていると、不意に景色が止まり、沈黙が起きる。

「!?…」

そして、俺は風を切るように、下へ、下へと猛スピードで落ちて行った…。


「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ご町内の皆様、朝からすみません。でも、これだけは叫ばせてください。


「『天使か悪魔か幽霊か』、始まるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


グッバイ、俺のマイ・不良ライフ…

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