表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/81

08.最強転生者、謎の美少女と出逢う。

「久しぶりに少し手間取ったか」


 この世界にやって来てからまともに戦闘したのはこれが初めてのことだ。

 ドラゴン神殿の魔物はウォーミングアップ程度だったからな。


(やっぱりどの世界でも上位竜は強いんだな)


 そもそも絶滅しているはずの竜族がなぜ現れたのかは疑問だったが……まあいい。

 このザナルスピラでこれだけの敵と戦える機会は今後そうないはず。


 せっかくだから鱗を剥いで素材を手に入れておくか。


 そんなことを考えて、巨大な土煙が上がる方へ歩き出そうとしていると。


 『《ヴァルキリーの技巧》のレベルが[1]上がりました。』


 突如そんなアナウンスが頭の中に鳴り響く。

 どうやら特殊スキルのレベルが上がったようだ。


 どのような判定でレベルが上がったのかは不明だったが、これは大きな前進と言えるんじゃないか?

 

(スキルのレベルが上がればそれだけ強力な武器が作れるってことだからな)

 

 念のために確認しておくか。

 俺は頭の中で〝開示(ステータスオープン)〟と唱える。


------------------------------

【エルハルト・ラングハイム】

クラス:錬金鍛冶師

Lv:1

HP:10/10

MP:1/1

攻撃力:1

防御力:1+5

魔法力:1

素早さ:1

幸運:1


【固有スキル】

《マナ分解》

《強化付与》


【特殊スキル】

《ヴァルキリーの技巧 Lv.2》

《金字塔の鍛造 Lv.1》


【武器】

なし


【防具】

生産職の服

旅人のコート

------------------------------


 きちんと《ヴァルキリーの技巧》のスキルレベルが上がっているぞ。


 この際だ。

 《金字塔の鍛造》についても調べておこう。


------------------------------

【特殊スキル】

《金字塔の鍛造》


〔内容〕

強化アイテムを付与して新たな武器を作り出す。

スキルレベルが上がるたびにレアリティの高い武器を作ることが可能。

------------------------------


「なるほど。こっちのスキルレベルも上げないと無双神器を作るのは難しいな」


 今のところ七曜の武器と同程度のものは作ることができたが、それ以上となると《金字塔の鍛造》のスキルレベルを上げる必要があるのかもしれない。


 とにかくすべてはこれからだ。

 まだ最強の無双神器を作る旅路は始まったばかりなんだからな。


(そのためにもできる限り素材は入手しておきたいところ)


 目の前の土煙が次第に晴れていく。

 そこには上位竜の亡骸があるはずだ。


 あの攻撃を浴びせて無事ってことはこれまでの経験から言っても考えられない。


 俺には竜族についてのちょっとした知識がある。

 だから分かるんだ。

 

 足場の悪い崩れた地面を慎重に進みつつ、俺は墜落した上位竜のもとへと向かった。


 だが。

 その時、予期せぬ出来事が起こる。


 シュピーーン。


「?」


 大きく陥没した穴の中心から眩く輝いた何かが宙に浮かび上がってきたのだ。

 それは球状の光の檻で中には人の姿が見えた。


(女の子が入ってるのか?)


 俺は思わず目を疑った。

 その光の檻の中では膝を抱えて目を瞑った少女が入っていたからだ。


 少女は上半身に黒と紫でデザインされた勇壮な鎧を身につけていた。


 胸元は大きく開いており、豊満な胸が露わになっている。

 ちょうど胸の谷間あたりに紫色の首飾りがかかっていた。


 同じように下半身の露出度も高い。


 一応黒のレザースカートとニーブーツをはいているが、健康そうな白い太ももが大胆に露出している。


 白銀色の三つ編みロングヘアをふわりと浮かせながら、何かをじっと待つように膝を抱えて眠りについていた。


 その透き通った目鼻立ちはまさに美少女と呼ぶに相応しい。


 年齢は15~16歳といったところか。

 俺とほとんど変わらない気がする。


 この女の子は一体……。


(というよりも上位竜はどこに消えたんだ?)


 宙に浮かんだ少女に気を取られるばかり、ドラゴンの存在をすっかり忘れていた。

 大きなくぼみを見渡してもその姿を見つけることはできない。


 まさか逃げたのか?


(いや逃げる隙なんてなかったぞ。あれだけの巨体なんだ。動けば必ず俺の目に留まる)


 そんな風に疑問を抱いていると、光の檻が静かに降下を始める。


 その瞬間。

 眠りについていた少女がパッと目を覚ました。


「……」


 碧色の大きな瞳を覗かせると、彼女はそのまま大地に降り立って俺の方を見る。

 はっきりと目が合った。


 瞳の中に吸い込まれてしまいそうなほどの艶麗な魅力を持つ少女が目の前に立っていた。


 そして。

 彼女は口元に柔らかな笑みを浮かべるとこう口にする。


「マスター。ようやくお逢いすることができました」


 その艶やかな声を耳にして、俺は全身が震えるような感覚を抱いた。

 こんな風に感じたのは前世でも経験がない。


 正直、俺は目の前の女の子に完全に心を掴まれてしまっていた。

 

「俺を……待っていたのか?」


「はい。私はマスターと出逢うために、800年間この時をお待ちしていたのです」


 少女はそう言うともう一度静かに微笑んだ。

 まるで古くからの恋人同士であるように。


 彼女の笑みには、どこか懐かしさを感じさせる不思議な魅力があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ