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25.最強転生者、山頂の主と対決する。

「【アメジストのソーマ】と【生命のしずく】。これで後は一つだけだな」


 ナズナが水たまりの近くで見つけた二つのアイテムを俺は魔法袋の中に仕舞い込む。


「【古代剛力樹】はどこにあるんだ?」


「おそらく、あの樹木から採取することができるはずです」


「あれか」


 ナズナが指さす方へ目を向けると、そこには巨大な樹幹を持つ大木が立っていた。

 いわゆる御神木ってやつだな。


(これで特効薬に必要な素材は揃うんだ。サッと取ってすぐに下山するぞ)


 そう思って樹木に近付こうとすると。


 ドゴゴゴゴゴゴーーー!!


 突如、地響きのようなものが聞えてくる。

 

「マスター、ご注意ください。地中に高エネルギー反応を感じます」


「まさか魔物か?」


「はい。こちらに襲いかかってくる可能性が高いです。戦闘のご準備を」


「分かった」

 

 俺は再び【ゴアフロストギア】を出現させると、それを手に取って地中からの襲撃に備える。


 《天竜眼》は天上から俯瞰で空間を把握することができるが、さすがに地面の中まではチェックすることはできないようだ。


 心なしかナズナも少し慌てているように見える。

 ここは俺が落ち着いて対処したい。


 《轟竜の護盾》を発現させたナズナと一緒にその場で様子を窺っていると、地鳴りが徐々に大きくなってくる。


 上位竜姿のナズナと戦った一昨日のことが甦ってきた。

 地面からドラゴンが現れた時はさすがに驚いたが。


(今回は一気に決着をつけるぞ)


 【ゴアフロストギア】を強く握り締めて、魔物が飛び出してきた瞬間、必殺技を連射できるように構える。

 立っているのも難しいくらいの地揺れが続き、巨大な魔物が地中からせり上がってくるのを感じた。

 

「ナズナは一度後ろに下がってくれ。俺が敵を仕留める」


「畏まりました。よろしくお願いします」


 後方にナズナが引き下がるのを確認すると、俺は矢を複数装填してその時を待つ。

 

 そして。

 地鳴りがピークに達したその刹那。


 ドバァァゴゴーーーン!!

 

 爆音とともに跳ね上がった魔物が地中から姿を見せる。

 ジャイアントメタルワームか。

 

「ヌウゥゥゥゥゥゥゥーーー!」


 巨大な敵はその場で転げると、すぐに頭をもたげて俺に照準を合わせた。


(お前が山頂の主ってわけだな)


 爬虫系の中級魔物でたしかレベルは50そこらだったはず。


 ザナルスピラで見てきた魔物の中では強い部類の相手だと言える。

 だが、俺は焦るようなことはなかった。


「そこだ」


 【ゴアフロストギア】の必殺技である〈重穹縫い〉を俺は冷静に放つ。


 それも一度じゃない。

 高速で装填して何度も繰り出し続けた。


「ヌウゥゥゥゥゥゥ~~~!?」

 

 ジャイアントメタルワームは、長い体躯をくねらせて悲鳴を上げる。

 〔超命中〕のアビリティの効果もあってその攻撃はほとんどヒットした。


「お見事です。マスター」


 ナズナが感心したように声をかけてくるが、俺はすぐに異変に気付く。


「いや、そういうわけでもなさそうだ」


「えっ?」


 敵は一瞬怯むような体勢となったがそうじゃない。


(あれは攻撃が効いたんじゃない。ただ命中の反動で体が動いただけだ)


 つまり、こちらの攻撃がまったく効いていない可能性があった。


「ヌウゥゥゥゥゥゥゥーーー!」

 

 その刹那。

 雄叫びを上げたジャイアントメタルワームが大きく口を広げる。

 

 どうやら反撃を仕掛けようとしているらしい。


「ナズナ、盾の準備をしてくれるか?」


「了解しました」


 ナズナが《轟竜の護盾》を手にして素早く俺の前に出る。

 すると、相手は巨大なヘドロを吐き出してきた。


「っ!」


 少し構えるタイミングが遅れたのか、敵の攻撃がナズナの腕に当たってしまう。


「大丈夫か、ナズナ?」


「は、はいっ……。少し手にヘドロがかかってしまいました……」


 マズいな。

 ヘドロには毒が含まれているかもしれない。


 早いところ治療しないと命を落とす危険性があった。


(すぐに決着をつけたいところだが)


 もう少しの間ここを死守するようにとナズナに伝えると、俺は魔法袋の中から【千里眼の天鱗】を取り出す。


 これはさっき山を登っている途中でナズナが見つけたものだ。

 昨日使用した【ヘラクレス紅蓮石】と同じくらいレアなアイテムだから、こいつを使えば強力な武器に生まれ変わるはず。


 【ゴアフロストギア】の前に【千里眼の天鱗】をかざして意識を集中させる。

 アイテムに宿ったマナを武器へ付与するようにイメージを膨らませたその瞬間。


 キラリーン!


 目の前の武器は美しく輝いて俺の手に収まった。

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