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15.竜姫、スキルの天竜眼が有能なことが判明する。

 頭の中でステータスを表示すると、すぐに天賦(ギフト)の項目に意識を集中させた。


(《叡智の伝授》か。おそらくこれの効果だな)


------------------------------

天賦(ギフト)

《叡智の伝授》


〔内容〕

パーティーメンバーの攻撃力/防御力/魔法力/素早さ/幸運を大幅に上昇させる。

なお自身にはこの効果を発揮することはできない。

------------------------------


 その天賦(ギフト)の内容には覚えがあった。

 

(これはあれか。賢者のクラスだった時に習得したスキルだな)


 前世でこのスキルはパーティーのメンバーからかなり好評だった。

 俺としても仲間のステータスの底上げができて嬉しかったのを覚えている。


 たとえ自分に効果がなくても、仲間が強くなってくれるのは単純に嬉しいからな。


「分かったぞ、ナズナ。多分俺の天賦(ギフト)の効果が発動してるためだ」


「やはりそうでしたか」


 俺は《叡智の伝授》の内容をナズナに伝えた。


「すごいです。こんな規格外の異能をお持ちだなんてさすがはマスターです。勇者マモンもこの恩恵を受けていたんでしょうか?」


 ナズナにそう言われてハッとした。


(そうだな。たしかにマモンたちのステータスの底上げに一役買っていたのかもしれない)


 だが、その効果は微々たるものだったに違いない。

 元々あの3人は王立学院のエリートだったし、ポテンシャルは折り紙付きだ。


 こんな天賦(ギフト)がなくてもマモンたちなら労することはないはず。


「それとマスター。今しがたのあれはどうやったのでしょうか?」


「なんのことだ?」


「私にはアイテムを組み合わせて武器を作っていたように見えました」


 《ヴァルキリーの技巧》のことか。


 昨日上位竜姿のナズナの前では一度その力を使ったはずだが、自我を失っていたんなら目にする機会はこれが初めてか。


 俺は手短にスキルの内容を説明した。


「なるほど。つまり神器は《ヴァルキリーの技巧》というスキルを使って作ろうとされているわけですね」


「そういうことだ」


 今のところドラゴン神殿で集めたアイテムが役に立っているが、希少性の高いものはほとんど使い切ってしまった感がある。

 今後に備えて新しくアイテムを拾いたいところだが実は意外と骨が折れる作業なのだ。


(レアアイテムほど見つけづらいところに落ちていたりするからな)


 多分ドラゴン神殿でもかなり多くの素材を見逃していたはず。


 そんなことを考えていると、ナズナが思ってもいなかった提案をしてくる。


「マスター。昨日はいろいろあってお伝えするのを忘れてしまいましたが、アイテム探索なら私にお任せください」


「なに?」


「私は《天竜眼》というスキルを所有しています。これは天上から下界を俯瞰に見下ろして瞬時に空間を把握するという能力になります。ですから近くに落ちているアイテムを発見するのに役立つことができると思います」


「そんなスキルを持っていたのか。すごいな」


 その話が本当ならアイテム探しにおいてこれ以上ないくらいに有用な能力だと言える。


「ならさっそくお願いできるか?」


「もちろんです。お任せください」




 ◇◇◇




 それから俺たちは魔物と何度か戦闘を重ねながら荒野を進んだ。

 

 ナズナの《天竜眼》でアイテムを拾いながら歩いているから、それなりに時間を使ってしまっているが、その代わり岩場の影などに隠れたレアリティの高いアイテムをいくつか発見することができた。


 《天竜眼》の能力は本物だ。

 

 アイテムを見つける以外にも遠方の魔物も見つけることができて、俺はナズナの情報をもとに戦闘を優位に進めることができた。


 そんな調子でさらに荒野を進んでいくとようやくなだらかな田園地帯へと足を踏み入れる。

 人の住む土地へ戻ってきたって実感できて足取りは自然と軽くなった。


「マスター。アレンディオ伯爵領へ入ったようです」


「そのようだな」


「ここら辺りで一度休憩されますか?」


 ごつごつとした岩場を歩き続けてきたせいか、少しだけ足に負担を感じる。

 ナズナもこのニーブーツじゃ歩きづらかったに違いない。

 

 心なしか疲労しているようにも見えた。


「そうするか。これまでずっと歩きっぱなしだったわけだしな」


「でしたらここから少し進んだところに野川があるようです。そこで暫し休息するのでもよろしいでしょうか?」


「問題ない。案内してくれ」


 俺はナズナの後に続きながら野川へと向かった。

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