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14.最強転生者、竜姫の盾の性能を確認する。

 ズシュピーン!


 ナズナは俺の前に出ると、光を帯びた《轟竜の護盾》を瞬時に発現させた。


 後ろから見るとよく分かる。

 ナズナの体は六芒星の長盾に完全に隠れてしまっていた。


 こうして後ろで護られていると安心感があるな。

 

(本当にどんな攻撃でも防いでしまいそうだ)


 ドスン! ドスン! ドスン!


 その直後。

 マッスルパンサーの群れがナズナ目がけて突撃を仕掛けてくる。


「「「ギャゴゴゴゴゴ~~~ッ!!」」」


 ひどく興奮したように雄叫びを上げながら、相手はあらゆる方向から長盾に向けて攻撃を繰り出してきた。


 ドスン! ドスン! ドスン!

 

 普通の盾なら集団でこれだけ連続で攻撃を仕掛けられたらまず持たない。

 態勢を立て直すために一度後ろへ避けでもしないと絶対に魔物の餌食となる。


 だが。


「……」

 

 ナズナはその場で微動だにせず、寡黙に敵の攻撃を防ぎ続けていた。


(すごいな。これだけ優秀な盾使いは前の世界でも見たことがないぞ)


 《轟竜の護盾》には竜族の集合精神が宿っていて、竜姫であるナズナを護ろうとする絶大な力が働くっていうのはどうやら本当のようだ。


「マスター。盾の性能確認はよろしかったでしょうか?」


 後ろを振り返りながらナズナがそんなことを訊ねてくる。

 どうやら俺の考えていることはお見通しだったようだ。


「ああ、問題ない。完璧だ」


「気に入っていただけたようで何よりです」


 ナズナにその力を見せてもらったんだ。

 今度は俺の番だな。


 すぐさま魔法袋の中に手を入れると、俺はそこから二つのアイテムを取り出した。

 【ヨロイ尾甲】と【埋もれた黒真珠】だ。


 これらもドラゴン神殿で入手したものだった。


 二つのアイテムをそれぞれの手で持つと、宿ったマナが一つの回路へ流れるように意識を強く集中させていく。


 すると、【ヨロイ尾甲】と【埋もれた黒真珠】は光に包まれたまま宙に浮かび上がり、一つの武器へと姿を変えた。


(今回は斧か)


 それを手に取って頭の中で〝開示(ステータスオープン)〟と唱える。


------------------------------

【古武道のハンマー】

〔レアリティ〕D-

〔再現度〕95%

〔攻撃力〕2900

〔必殺技/上限回数〕ダイナミックロール / 8回

〔アビリティ〕会心率上昇Lv.1、攻撃強化Lv.1

------------------------------


 レアリティはD-。

 真っ先に再現度の高さに気が付く。


(昨日作ったレアリティDの【星屑の鉄刀】は再現度10%だったからな)


 必殺技の上限回数も増えているし、アビリティも一つ追加されている。

 《ヴァルキリーの技巧》のスキルレベルが上がったおかげか。


 斧の命中率は低い傾向にあるが、必殺技がこれだけの回数使えれば敵を楽に倒せるに違いない。


「ナズナ。ここからは俺に任せてくれ」


「はい。よろしくお願いします」


 【古武道のハンマー】を後ろに大きく構えると、俺は素早く盾の外に出る。

 その瞬間、俺はマッスルパンサーの群れと向かい合う形となった。


「「「ギャゴゴゴゴゴッ!」」」


 相当興奮しているな。

 まあ、あれだけ攻撃を仕掛けてまったくビクともしなかったんだから当然か。

 

(悪いが一気に片付けさせてもらうぞ)


 敵は一歩ずつ俺に向けて歩みを進めてくる。

 全部で5体か。


 ナズナと主従契約を結んだんだ。

 少しは護り甲斐がある主だってところを見せないとな。


 俺は後ろに構えた【古武道のハンマー】にぐっと力を込める。


 マッスルパンサー集団を一掃するイメージが頭の中に浮かび上がったその時。


「消え去れ、魔物」


 遠心力をつけて【古武道のハンマー】を全力で振り回しつつ、俺は〈ダイナミックロール〉を連続で放った。


 すると。

 円状に鋭く広がった衝撃波が魔物の集団に慈悲なく直撃する。


「「「ギャゴゴゴゴゴッ~~~!?」」」 

 

 マッスルパンサーたちは絶叫しながら、宙へと放り出されて地面に激突した。

 どうやら瞬殺することができたみたいだ。




「お見事です。マスター」


 ナズナが《轟竜の護盾》を下ろしながら近寄ってくる。

 俺も【古武道のハンマー】を亜空間へと収納した。


「助かった。ナズナのおかげだ」


「いえ、私は何もしていません。マスターお1人でも簡単に倒せた相手です」


「まあな」


「ですが、今回はマスターのお役に立てるってことをきちんとお見せすることができてよかったです」


 少しホッとしたような表情をナズナは浮かべる。

 ナズナはナズナで緊張していたことがあったのかもな。


「それと……ちょっと不思議なんですが」


「どうした?」


「あの、盾を使ってマスターをお護りした時、体の内側から力が溢れ出てきたような気がしたんです。持てる以上の力を発揮することができたと言った方がいいかもしれません」


「それはあれじゃないのか? 俺の無限の竜力がナズナに渡ってるっていう」


「たしかに、昨日契約を結んだ瞬間からマスターの竜力が私の中に流れてきています。ですが、それとは別に何か大きな力もいただいているような気がするのです」


「そうなのか?」


 そこでふと俺は思い出した。

 

(そうだ。たしか《碧星級竜王》のほかにももう一つ天賦(ギフト)を所有してたよな)


「ちょっと待ってくれ。確認する」

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