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13.最強転生者、竜姫と一緒に冒険者ギルドを目指す。

「おはようございます、マスター。朝を迎えました」


「……ん、もう朝か……」


 俺は目を擦ると、テントの中ですぐに体を起き上がらせた。


「目覚めにお水をどうぞ」


「助かる」


 皮の水筒を渡されて一気にそれを飲み干してしまう。

 辺りは乾燥しているからだいぶ喉が渇いていたみたいだ。


「ふぅ。生き返った。ありがとう」


「竜力をいただいておりますのでこれくらいは当然のご奉仕です。お気になさらないでください」


「と言っても俺は何かしてるわけじゃないしな」


 腕を上げてそのままの体勢で大きく伸びをする。

 テントの入口越しからは爽やかな青空が覗けて、まさに最高の朝と言えた。


 聖水を振り撒いて四方に簡易的な結界を張っておいたから夜に魔物の襲撃も受けなかったみたいだな。

 

 あの後。

 俺たちは少し移動して周囲が岩場で囲まれた地点でキャンプをすることにした。


 幸い近くにはドラゴン果実が落ちていたからそれでなんとか空腹は凌ぐことができた。


 「一緒のテントで寝てもよろしいでしょうか?」とナズナに言われた時は驚いたが。


 その方が何かあった時に護りやすいっていうのは理解できたんだが、さすがに裸同然の女の子と同じテントで寝泊まりすることには抵抗があった。

 

 まあ慣れの問題だろう。

 特に心配していたような間違いは起こらなかったわけだし。


「それでマスター。これからいかがいたしましょうか?」


「そうだな。最強の無双神器を作るためにはいろいろとアイテムを集める必要があるから。まずは冒険者ギルドへ行って冒険者の登録をしようって考えている」


「冒険者ギルドですか? どうしてわざわざ登録する必要があるんでしょうか? アイテムならそこら中に落ちていると思うのですが」


「たしかにこの荒野にもアイテムは落ちているが、希少性の高いアイテムはダンジョンの中に落ちていることが多いんだ。冒険者になればダンジョンに入ることができるようになるしな」


「? 冒険者でないとダンジョンの中へは入れないのでしょうか?」


「ああ。ダンジョンに入るには結界護符(マナキャンセラー)を持っていないとダメなんだ。入口は無断で入られないように結界が張られているんだよ」

 

 これは間違って子供が入らないようにするためっていう意味があるようだ。

 他にも賊に荒らされてレアアイテムを転売させないという理由もあるらしい。

 

 もちろんドラゴン神殿へ入る際も結界護符(マナキャンセラー)は使用した。


 ちなみにダンジョンっていうのは、魔物が頻繁に出現するスポットみたいなものだ。

 ダンジョンの魔物は定期的に倒さないと外に溢れ出て来てしまうから、ギルドはそのために冒険者に依頼を出したりする。


 そんなこともあって、ダンジョンに入る口実としては冒険者になるのが一番と言えた。


「なるほどですね。マスターのおっしゃる意味が理解できました」


「それに生きていくためには金銭も稼がないとならないからな。今後のためにも冒険者登録はしておいて損はないはずだ」


「ではまず街へ向かう必要がありそうです」


 俺は頷くと懐から一枚の地図を取り出す。


「ここから一番近い街は……アレンディオ伯爵領のバルハラか」


 一番近いと言っても距離はかなり離れているが。


(これまではルヴィが使う〈瞬間転移(テレポート)〉の魔法で移動してたからな。魔術師がいないとけっこう不便だ)


 だが、歩けない距離ではない。

 今日中に着かなくても野宿してでも向かうべきだな。


「準備ができ次第出発するぞ」


「承知しました。マスター」




 ◇◇◇




 その後。

 俺たちはテントを仕舞って広大な荒野を歩き始めた。


 後方に目を向ければ、昨日俺とナズナが戦った地点が見える。

 そこら一帯は土や岩が盛り上がったり窪んだりして荒れ放題となっていた。

  

(激闘の証だな)


 そんな当事者はというと、どこか楽しそうに手を後ろに組んで歩いていた。

 こうして並んでいると普通の女の子にしか見えない。


 まさかナズナが竜族の生き残りだとは誰も思わないことだろう。

 肌を露出させすぎな格好をしていることは若干気になるが。


(まあどっちにしてもお姫様には見えないよな)


 それは魔物にしても同じだったようだ。

 

「「「ギャゴゴゴゴゴッ!」」」


 突如、荒野の真ん中に集団で現れると、鋭い雄叫びを上げながら敵意を向けてくる。

 こっちには竜姫がいるっていうのに勇敢なもんだ。

 

(相手はマッスルパンサーの群れか)


 マッスルパンサーは荒野によく出没する獣系の下級魔物でたしかレベルは15程度。

 集団で連携して素早い攻撃を仕掛けてくる魔物だが、そこまで強いわけじゃない。


「マスター。前方にマッスルパンサーの群れが現れました。私が前衛でお護りいたします。マスターはお下がりください」


 べつに護られるまでもなくこの程度の魔物なら一瞬で倒せると思うんだが、ここは一度盾の性能を確認しておくか。


「分かった」


 俺は言われた通り一度後ろに下がった。

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