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殺人鬼少女の抱き枕にされるだけ

作者: みなもとあるた

はぁーさっぱりした…やっぱ楽しんだ後は風呂入らねーとな。


ん?なんだお前、逃げ出さなかったとは偉いじゃねーか。


あたしが長風呂してる間に逃げ出そうとしてたらどうしてやろうかと思ってたが、思ったよりお前は物事が分かってるみてーだな。


まあ逃げ出す勇気なんてお前にはないよな。ここから逃げようとした奴がどうなったか、お前は目の前で見てたもんな?


へへ、利口なやつは好きだぜ?それとも、ただ単に臆病なだけか?


…ま、どっちでもいーや。あたしは疲れたからもう寝る。


どうした?ほら、早くついて来いよ。


なんでって?ああ、お前はまだ知らねーのか。


お前はな、これから朝まであたしの抱き枕になるんだ。


言っとくけどお前に拒否権はないからな。


もし逃げ出そうとしたら、あたしは冷たくなったお前を床に転がして寝るだけだし。


そうなるよりは、お前もあたしみてーな美少女様に一晩中おとなしく抱かれてた方が楽しいだろ?


分かったら早くベッドに入りな。遠慮はいらねーから。


よし。じゃ、あたしも入るからもうちょい詰めてくれ。


よっ、と…


あ、もうちょいこっち来てもいいぞ。お前の方が体でかいんだから、そっち狭いだろ。


あーその辺その辺。


へへ、どうだ?こんな美少女様のベッドに招かれてドキドキしちまったか?


それともまさか、女の子と一緒のベッドに入るのはこれが初めてか?


だったら…あたしがこれから女ってもんを一発教えてやってもいいんだぜ…?


…なんてな、冗談だよ。あたしはもう疲れたから、今日はそういうのナシな。


もしかして、本気にしたか?


ほら、ちゃんと仕事してくれよ?抱き枕君。


あたしが熟睡できるようにせいぜい頑張るんだな。


そうだな、仕事次第ではお前に良い思いさせてやるよ。


あ?良い思いっつったら良い思いさ。


普通に生きてたら出会えないくらいの美少女様が、お前を男にしてやるってことだよ…


…それでいい。そうやって片腕を広げて、あたしの枕になるんだ。


どうだ?あたしの体、風呂入ったばっかだからまだあったけーだろ?


ん、なんだよ。殺人鬼が女の子みたいな匂いしてちゃいけねーのか?


当たり前だろ。あたしだって女の子なんだから色々気使うんだよ。


それに今日は、人間の脂で汚れちまったからな。


ったく、今回のやつは脂っこくて後片付けが大変だったぜ。


でもどうだ?今はボディソープの匂いしかしねーだろ?な?


おいおい、そんなビビんなって。別に今すぐお前をどうこうするってわけじゃねーんだし。


ん、ほら、捕まえた。もう逃がさねーから。


…すんすん、お前は男って感じの匂いがするな…


あ、悪い意味で言ったんじゃない。なんていうか、さわやかで頼りになる感じっつーか…


どっかで、嗅いだことある、みたいな…?


っておい、なんかあたしのふとももに当たってるぞ。


お前、こんな状況でこんな風になるってことは、あたしが思ってるよりよっぽど度胸あるみてーだな。


ったく、どうせ今すぐ収めろっつっても収まんないんだろ?こういうのって。


気にしてねーから。ほら、次は頭撫でてくれよ。


そうそう、ゆっくりでいい。優しくな。


ふあぁ…あー、やっぱ頭撫でられるとすぐ眠くなるな…


あー…これはだめだ…もう寝る…


やっぱ疲れんだよな、人間一人をきっちり処分するのってさ。


いいか、あたしが寝てもしばらく続けるんだぞ…?


あと…寝てる間に変なとこ触ったら、ころ…ぐぅ…


…すぅ、すぅ




ん、んぅ…


ん、お兄ちゃん…もっと、ぎゅっとして…


もっと、なでて…


…ん?お兄ちゃん…?本当に、お兄ちゃん、なの…?


でも、そんなわけ、ないよね


だって、お兄ちゃんは、もう…


そっか、じゃあ、これは夢、なんだ…


だったら、いっぱい甘えても、いいよね…


ぎゅー…


えへへ、あたしね、お兄ちゃんがいなくても、頑張ってるよ…


お兄ちゃんを苦しめてたやつらも、その仲間たちも…


復讐の邪魔するやつらも、みんな…


がんばって、ひとりで全部片づけたんだよ…


だから…もっと撫でて…


お兄ちゃんだって、嬉しいよね…?


こうやって悪いやつらを片付けていけば、天国のお兄ちゃんだって、喜んでくれるもんね…?


だから私が、これからもずっと…


わるいやつらは、片付け続けるから…


だから、お兄ちゃんは、安心して…


すぅ…すぅ…



---



…ぅ、あー…もう朝か…


おにい…いや、そっか、お前を抱き枕に使ってたんだっけか…


お前、なかなか良かったぞ、抱き枕として。


へへ、おかげでいい夢見れたよ。


ほんとはすぐにでもお前を処分するつもりだったが…どうすっかな。


んー、まあ、もうちょっとだけ抱き枕として置いといてやってもいいか。


そうと決まれば、ほら…


何って、約束しただろ。


仕事次第ではお前に良い思いさせてやる、ってな。


だからさ、よいしょっと…あたしより先にへばるなよ?


…これから、あたしって女をしっかり教えてやるからな…


あたしは約束を守る女なんでね。

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