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はじめてのギルド会議・終了


「いやー、やっぱパウロはパウロだな」

「そうですね。変わったように感じましたが、やはりパウロはパウロですね」

「うん……お前らもやっぱりお前らだったわ……」


ご機嫌な様子のバレルとラインズに、俺は大きなため息を漏らす。

そもそも、原作でもコイツらは「力こそ正義!」みたいなヤツらだった。だからパウロの『力』を認めていたんだけど。


俺としてはパーティー間で競うにしても、もっとこう……爽やかに競い合いたかったんだが……


ギルドのエントランスで話している俺達三人のそばを、どこかのパーティーリーダー達が通り過ぎていく。

彼らは皆、ギラついた目で俺達を見ていた……


まぁね、「敵意剥き出し!」って目じゃなくて「いつか越えてやる!」って目だから、いいんですけどね、別に。

つーか、熊オッサン、金ピカ。テメーらは「いつでもかかってくるがいい」みたいな顔で笑ってんじゃねーよ。


「はぁ……拠点(おウチ)に帰ろ……」


付き合いきれず、外へ向かって一歩踏み出す。

と、会議室がある方向から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。


「バウロざぁぁぁぁんっ!!!」


……俺の名、だよね?


振り返ると、バタバタと走ってきたのは『黒い(ダークネス・)(フォレスト)』のリーダー、ドロシーだった。


俺の前で急停止したドロシーは、跳ねるように顔を上げる。

グリグリ眼鏡で半分隠れたその顔は涙と鼻水でビッチャリとなっていた。


……あんま女の子見てこんな事思いたくないけど……うん、汚ねぇ。


「どうかした?って、まずは顔拭きなさい。はい、コレ」

「あ、ありがどうございまずぅっ!」


あまりの惨状にハンカチを手渡すと、ドロシーはまず涙を拭き、そして躊躇いなく鼻をかんだ。ちくしょうめ。

そんな俺達の、というか多分俺の対応に、バレルとラインズはあんぐりと口を開けていた。


「それで、どうしたの?」

「あ、あの!先程のお言葉!感動しました!支援系(私達)の事を考えてくださって、ありがとうございました!」


彼女が地面にめり込まんばかりに頭を下げると、その勢いで飛んできた彼女の帽子が俺の顔面にブチ当たる。

その様子に、ギルド内が一気にざわめいた。


だから怒りませんて、こんな事で。


キャッチした帽子を元の姿勢に戻ったドロシーの頭にカポッと戻すと、ギルド内はさらに騒がしくなる。


「そんな事か。気にしないでいいのに。そもそもさ、ドロシーの所は実積と評価が釣り合ってないんだよ。この街で一番必要なパーティーはドロシーの所だと思うぞ?」

「そ、そんなっ!?」

「いや、実際そうでしょ?《黒い(ダークネス・)(フォレスト)》が作る薬がなかったら、どこのパーティーも困るよな?一般の人達だって」

「あ、ああ……」

「……確かに、そうですね……」


バレルとラインズに同意を求めると、二人は鈍い動きで頷いた。

渋々頷いた、というわけじゃなく、俺の言動が信じられないんだろう。


実は、今回俺がギルドに提案を出した目的の中には、《黒い森(ドロシーのパーティー)》との繋がりを強くする、という目論見もあった。


原作『ボク耳』で、シャールにまで逃げられたパウロは心身ともにボロボロになっていた。

しかし、頼れる相手ももう存在せず、金も失っていたパウロは、最後にドロシーにすがる。が、当然ドロシーもパウロを相手にしなかった。

当たり前だ。散々馬鹿にされてきたのだから。


その結果、逆上したパウロは彼女から回復薬(ポーション)を強奪して……罪人としてこの国からも追われる事になるのである。

まぁ全ては身から出た錆だ。


今のパウロ()は同じ轍を踏んではいない。

だが、ロロレイク村の一件で、俺は物語の強制力を身を(もっ)て実感したのだ。

ならば、可能性の芽は出来る限り摘んでおくに限る。


というわけで、言い方は悪いかもしれないが、俺は彼女に「恩を売る」事にしたわけです。


そんな裏事情があるため、あまり感謝されても心苦しいのだが、ドロシーの感激っぷりは想像以上のものだった。

もう一度頭を下げられ、帽子アタックを食らい、そっと帽子を返すという手順を再び実行する。


「本当に……!本当にありがとうございます!こんなに嬉しいお言葉は初めてです!あ、あのっ!お困りの事があったら何でも言ってください!全力でサポートさせていただきます!」

「ははっ。ありがとう……って、あれ?」


そこでふと気がつくと、感極まって鼻息を荒くするドロシーの眼鏡は口元を隠す位置にまでずり落ちていた。

初めて見る彼女の瞳は、髪と同じ色で……


何気なく彼女から眼鏡を取り上げると、バレルとラインズは揃って「おおっ!?」と驚きの声を上げた。


「ドロシーって……スッゲー美人なんだな。ビックリしたわ」

「ほわっ!?そ、そそんな事ないですよっ!?」


いや、あるでしょ?シャールに負けず劣らずの端正な顔立ちしてますやん。


赤面し、恥ずかしそうに顔を隠すドロシーからグリグリ眼鏡へと視線を移す。

こんな物がなければ、目が悪くなければ、彼女の評価は大きく違っていただろう。


しかし、流石はこの物語の登場人物である。

彼女もやはり、若干アホちゃんだった。


「惜しいなー。せめて眼鏡変えたら?あー、でも、こんだけ度がキツそうな眼鏡だと、どれも同じか」

「あ、いえ。それは伊達眼鏡です」

「伊達ぇ!?なんでっ!?」

「そ、それはやはり、パーティーリーダーとしては威厳が必要だと思いまして。せめて格好だけでも、と」


あるぇー?威厳ってなんだっけ?

この世界で言うところの『威厳』は俺の知る『威厳』と違うものなのだろうか?


確かに分厚いだけで度が入っていない眼鏡をドロシーに返し、その肩にポンと手を置く。

大きな瞳に俺の姿を映しながら、彼女はまた頬を赤らめた。


「ドロシー、その眼鏡は捨てなさい。で、その髪をほどいて、もう少しオシャレな服を着なさい。それだけで店の売り上げビックリするくらい変わると思うから」

「そ、そうなんですか?え、えっと……パウロさんがそうした方が良いと仰るなら……」

「おう、絶対その方がいいって」


売り上げが上がって余裕が出来てたら、いざって時に薬くれたり代金をツケといてくれたりするかもしれないし。

もちろん、そんな未来にならないよう頑張りますけど。


そんな思いからの言葉だったのだが、ドロシーは嬉しそうな顔で笑っていた。


「分かりました!そうします!今日は本当にありがとうございました!あっ!ハンカチ、洗ってお返ししますね!それでは!」

「別に気にしなくてもいいよー。それじゃ、またね」


最後にもう一度頭を下げたドロシーの帽子を手で押さえ、キャーキャー言いながら走り出した彼女に手を振る。

それから苦笑いで振り返ると、バレルとラインズは何やら小難しい顔でブツブツと話し合っていた。


「なんか態度がおかしい気がしたんだが……女に対するあの手の早さはやっぱりパウロか……」

「そうですね。あの手の早さはやはりパウロですね」

「おう、こら。なに失礼な事を確認し合ってんだ?」


憤慨してガンを飛ばす俺を尻目に、熊オッサンと金ピカは「うんうん」と頷き合う。

どうやらコイツらに事情を説明する必要は全くなさそうだった。


別に手を出したわけじゃないでしょー?

つか、こんな事で本人認定頂けるとは……



こうして、俺のギルド会議デビューは無事に幕を閉じたのだった。

あー、疲れた……



「そんなに美人だったんすか?」

「おう、マジマジ。今度買い物がてらに見に行ってみなよ。ビックリすると思うから」


夕暮れ時の、賑やかなラウンジ。

ギルドから帰ってきた俺は、隣のテーブルで酒を飲み、メシを食っているラギル達に今日の事を話していた。

俺のいるテーブルではジョウとトッシュがモグモグとメシを食っている。

よく噛んで食えよー。


屋敷(ウチ)に帰ったら夕飯が待っている俺は、枝豆をツマミに冷えたビールを楽しんでます。


野郎だけの心安らぐ空間。下世話な話も話し放題。


……なんてわけにいかないのは、ちょっと離れたテーブルから俺に突き刺さる女性陣の視線と、さっきから頭を揺らす謎の衝撃のせいだった。

見えないから推測ではあるが、多分頭の上のディーネが俺の頭に膝蹴りを入れてるんだと思う。


ディーネが落ちないよう、控えめに小首を傾げる。


「ディーネさん?なんで蹴るの?」

「えっ!?ダ、ダメだよっ!ディーネ!」

「ダーリンがっ!よその女の事をっ!デレデレ話すからでしょっ!」

「いや、デレデレはしてないと思うけど……ねぇ?」


止まらぬ衝撃に頭を揺らしながら野郎どもに尋ねると、皆「うんうん」と頷いてくれた。

でも、衝撃は止まりませんけどねー。


しかし……という事は、あちらからの視線もそーゆー事なんだろうか?


気づかれぬようチラリと確認すると、ちょっと向こうでサラにエミリー、シャーロットやエーデルといった女性メンバー達が不機嫌そうにこちらを見ていた。

シャールさんなんて……出たよ、チベットスナギツネの目……


元のオッサン()なら「自意識過剰乙www」で終わるのだが、今の俺は『クソ野郎なのにそれなりにモテる』勇者パウロ。それも、『ちょっとマトモになったパウロ』だ。

『それなり』以上にはモテるんだろうけど……中身のオッサンとしては複雑な気分なだけなんだよなぁ……


「はぁ……」


ため息をつき、ハムスターのようにメシを食うジョウの姿を眺める。


原作のコイツは、どんな魔法を使ってあんなハーレムをケンカもさせずに維持してたんだろうか?

なんかヤベー物質を体から分泌してたのかね?


「……ジョウって、やっぱすごかったんだなー……」

「え?何がですか?」


俺の一人言に反応してキョトンとなる少年に、俺はついつい苦笑をこぼしていた。


これから、この針の(むしろ)はさらに苛烈なものになっていくのだろう。

それもこれも、ジョウをまともな大人に育てるためだ。


うん、パパ頑張るよ。


『パウロ』の『カ』か、彼らがめっちゃ素直なのか、リーダー集団は真摯な目でこちらを見て話を聞いてくれている。


すみません。間違って『(ちから)』じゃなくてカタカナの『カ』にしちゃってました(照)

( ´∀`)ゝ テ屁♪


くるぐつさん、正解でーす。


……なんで分かんだよコノヤロー!(本音)

(おめでとうございます)(建前)

(怒 ´∀`)Ξつ)´Д゜)


タイトルガチャはじめました冷やし中華はじめました。

新タイトルはstgさんより頂きました。

ありがとうございます。

次が出ない限りこのままイキますよー(笑)


あと、この話限定で作者名も変えました。

皆で作る(皆がイジる?)お話という事で「感想 欄」と名乗る事に致しました。

よろしくお願いしまーす。


さて……今回の仕込みは誤字であり誤用……イケるか……?イケるといいな……


これでもダメなら普通に生きてたらお目にかからないような漢字入れまくるか、どこが仕込みか分からなくなるくらい誤字まみれにするか……

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