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新たな出会いと新たな悩み


レクシオン冒険者ギルド。

世界規模の組織である『冒険者ギルド』のレクシオン支部。


ほぼ全ての冒険者はこの『冒険者ギルド』に所属しており、挙げた功績に応じてランクや二つ名を、つまり『箔』を授かる。


が、冒険者ギルドは冒険者に滅法弱い。

正確に言うと、力のある冒険者に滅法弱い。


そりゃ確かに冒険者にそっぽを向かれたら立ち行かない商売だし、力をつけたパーティーは直接仕事を取ることも可能なので下手に出てしまう気持ちも分からないではないのだが……

もう少しギルドがしっかりしてくれてたら、パウロ(バカ)があんなに増長することもなかったんじゃないでしょうか?


とまぁ、この世界の『冒険者ギルド』とはそんな組織だ。



「ちわーっす」


ギルドの扉を開け放って中に入ると、ざわめきが起こった。

恐れ、敵意、羨望。様々な感情が込められた視線が俺に集中する。

敵意向けてくる相手にだけは注意しとかないとなー。オジサン、揉め事はゴメンです。


ギルド内は、これもまたレビュー動画で見た通りの造りだった。

銀行や役場をイメージしてもらえばいいんじゃないかな?

横に長いカウンターがあって、窓口が並んでる感じだ。


俺は無駄ないざこざを全力で回避すべく、真正面の窓口に向かって最短距離を進む。その途中、カウンターの端の方で何やら騒いでいる三人組の姿が目に入った。


何故かその三人組の後ろ姿に引っ掛かるものがあったのだが……まずはやるべき事を済ますのが先だろう。


「こんちわー」

「い、いらっしゃいませ、パウロ様」


対応に当たってくれたのは、このギルドで野郎人気ナンバーワンの受付嬢、リルル(20歳)だ。

パウロがちょいちょいちょっかいをかけていた子でもある。


肩にかかるくらいのフワフワした金髪の、目がクリッとした幼い印象の女の子。

俗っぽく言うと『ミニマムロリ巨乳』。多分、作者の趣味全開。

可愛らしい子ではあるけど……正直オッサン的にはいまいちピンとこない。


俺的にはあっちの方がタイプだなー、とチラリと横を見ると、さっき見たあの三人組の相手をしている受付嬢の横顔が見えた。

名前は分からないが、サラリと長い黒髪の、泣きボクロが色気漂うスレンダー美人さん。恐らく……30歳前後と見た!


まぁしかし、用件そっちのけでニチャッとした視線を投げているわけにもいかず、俺はリルルの方へと向き直って早速書類を提出する。


「これ、報告書やら何やら諸々です」

「えっ!?パ、パウロ様がこんな雑務を……?」


案の定、リルルは「信じられない」といった顔で俺を見ていた。ま、でしょうね。

この辺りは追々慣れていってもらうとして、さっさと本題を済ませましょうか。


「それはついでです。実はうちのメンバーが依頼の期限切れやらかしちゃって。で、ですね、直接お詫びと期限延長の交渉出来ないかと思いまして……先方さんの住所と、出来れば地図もらえません?」

「えっ!?あっ!はっ!?えっ!?……し、少々お待ちくださいっ!」


愛想笑いで事情を説明し、要望を伝える。

と、リルルは愕然とした表情で後ずさっていた。


おーおー、混乱の極みって感じですなー(笑)

まー仕方ないでしょうねー。

横柄・横暴・横着の『三冠()』こと『パウロ=D=アレクサ』が敬語を使い、身内の失敗を許し、あまつさえその後始末を自分でやろうとしているのだから。


幽霊でも見たかの如く、転びかけながら奥に走っていくリルルを見送り、俺はカウンターに寄り掛かって笑いを噛み殺す。


と、その時だった。

例の三人組の方から《輝く翼(ライト☆ウイング)》という単語が聞こえたのは。


「え?うちの話?」と聞き耳を立てると、やはりうちのパーティーについて話をしていたようだ。

内容は……どうやら三人組の方がうちのパーティーへの仲介を頼んでいて、受付嬢さんがそれを断っているっぽい。


そうなると、俺にも関係のある話だろう。待ってるだけなのは暇だしね、うん。

……まぁ本音を言うと、「これをきっかけにあの受付嬢(美人)さんとお知り合いになれねーかなー」とねっ!


というわけで下心を隠しつつ、俺は騒ぎに自ら首を突っ込む事にした。


「なんか《輝く翼(うち)》の名前聞こえたんですが、どうかしました?」

「えっ?パ、パウロ様っ!?」


パウロ()が来た事に気づいていなかったのだろう。急に声をかけられて驚く美人さん。

やはりこちらも「様」付けだ。

だけど……オッサンちょっとゾクゾクすっぞ……


ゲス顔にならないよう表情筋を引き締めながら彼女の胸元を見ると(エロ目線ではない)、ネームプレートには『レーナ』と書かれていた。

あー、いたなー、レーナちゃん。リルルの先輩、つーか引き立て役みたいな子だ。ほっとんど出番なかったけど。


で、三人組の方、少年一人と少女二人の方はというと……


そこで俺は「あっ!?」と声を上げてしまっていた。

それでも三人は思考停止してしまっているのか、俺を見たまま目を見開いて固まっているが。


一人は、赤レンガのような色の短い髪の少年。

その理由は分からないが鼻の頭に絆創膏のような物を貼っていて、革製の鎧と素っ気ない剣、というその姿は、見るからに『ザ・駆け出し剣士』という装いだ。


一人は、光の当たりようで紫にも見える黒髪をポニーテールにまとめた、キリッとした顔立ちの少女。

ナックルガードの付いた金属製の籠手を両手に装備し、動きやすさを重視したのであろう軽装パンツルック。


一人は、白、いや、銀色のショートヘアに赤い瞳を持つ、どことなくポヤンとした印象の少女。

彼女も軽装で、ショートパンツから伸びる細い足も髪色に負けず劣らず白い。

腰には矢筒とショートボウがまとめて下げられていた。


俺がこの三人を見て声を出してしまったのは、この三人の事をよく知っていたからだった。

もしかしたら『シャール』や『パウロ』の事以上に……


いやホント、パーティーについての事ばかり考え過ぎてて、すっかり忘れてた……

時系列を考えたらそろそろだって分かったのに……どう対応すべきか決めておくべきだったのに……



この三人は……ジョウの仲間になる『予定だった』子達だ……



例の依頼の期限延長は、(こと)(ほか)簡単に了解を得られた。


依頼元はなかなか大きな衣料品店で、依頼主は温厚そうなオジサ……中年紳士。

俺が自己紹介して事情を話すと、むしろあちらが恐縮したような様子で、あっさりと了承してくださいました。


だけど納期を守れなかったのは完全にこちらの落ち度。

なので、こちらから「納期が一日遅れる毎に報酬一割減」を提示させてもらった。

ギルドの取り分はそのままに、《輝く翼(うち)》に入る報酬だけが減る形だ。


驚いていたみたいだが、逆にお礼の言葉をもらえたので上手く話をまとめられたんじゃないかな?

ま、損した分は会社(パーティー)持ちにしておいてやろう。


それで、だ……

ギルドで出会ったあの三人を連れて依頼主さんの所へ行き、そして拠点に戻ってきたのだが……


さて、どないしよ……?



「こ、ここが《輝く翼(ライト☆ウイング)》の(ネスト)……」

「……あたし達、本当に《輝く翼(ライト☆ウイング)》に来たんだ……」

「おおー……」


少年剣士、拳闘士少女、弓士少女の三人は、拠点内を見回して目を輝かせていた。

完全に忘れてたけど、この三人は元々《輝く翼(このパーティー)》に憧れて、ここに入るためにレクシオンにやって来たんだっけか……


剣士『トッシュ=アクバ』

拳闘士『サラ=レスバル』

弓士『エミリー=ノエル』


全員16歳で、全員Eランク。新米も新米。

一応、《輝く翼(うち)》の加入最低条件はCランクからですからねー。そら、レーナさん困るわ。

まぁすでにEランク(ジョウ)がいるんだけど……


「とりあえず話聞くから、こっちおいで。皆、ジュースでいい?」

「は、はい!」

「あ、ありがとうございます」

「すみません、パウロさん」


あまり目立たないよう、隅のテーブルに案内しながら厨房にジュースを三杯お願いする。

まー、目立たないようにっても、皆パウロ()を見るからどうしようもないんだけどね。


だから、彼女も俺の帰りにすぐ気がついていた。


「おかえりなさい、パウロ。そちらの方々は?」

「ただいま、シャール。それが……ちっとねー……」

「シ、シャール=エルステラッ!……さん!」


原作の通り、新米剣士のトッシュにとってシャールは憧れの、雲の上の存在らしい。事務室の方からやってきたシャールを見て、ビシィッ!と背筋を伸ばしている。


そんな少年の姿に苦笑しながら、俺は逆にシャールを迎えに行った。


「ごめんな、少し座って待っててよ。シャール、ちょっといい?」

「はい?」


三人にテーブルへつくよう告げて、シャールの肩を軽く叩く。

そしてその体を反転させると、俺は彼女を押すように二階を目指した。

他のメンバーにはあまり聞かれたくない話をするために。


さて……ホントどないしよ?


俺が怒っていないことは伝わったらしく先程までの悲壮感はなくなっていたが


悲壮感→悲しさの中にも雄々しく勇ましいところがあること。


雄々しく勇ましくしてんじゃねーよ、と。

この場合は「悲愴感」ですねー。

くるぐつさん、お見事でーす。


概念の間違いの方は……


『三日月兎の毛皮(良質な物)を五頭分納品』というものだ。本来は五『羽』だけどなー。


兎を「羽」で数えるのは仏教に関係する話ですね。

その昔、仏教的に禁止されてたのは「肉食」ではなく「獣肉食」でした。鳥はオッケーだったんですね。

で、ある時一休さんみたいなヤツが兎を食べたいがために言いました。

「兎って……羽(耳)があるし二本足で飛(跳)ぶし……鳥なんじゃね?」「それなっ!」

(耳が羽みたいだから、という説もあり)


まぁ要するに、異世界どころか現実世界でも兎を「羽」で数える方がおかしいのです。獣として数えるのが普通ですね。

オッサンは自分の常識に縛られて間違った考え方をした、という間違いでしたー。


黒いとかげさん、お見事でございました♪


……容赦ねーなー……

( ´・ω・`)……マッチョになっちゃう……


今回は誤用でーす。

アラを見つける前に、早めに見つけてオナシャスッ!!!

( ´;ω;`)

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― 新着の感想 ―
[一言] お肉についてはこっそり食べるために隠語になってるのが結構ありますよね。 牡丹(ぼたん)=猪、桜=馬、柏=鶏、紅葉=鹿。 ウサギさんは月夜(げつよ)なんて粋な呼び方もあるそうで。 ウサギから…
[気になる点] 動物の中でも比較的大きい物が「頭」と数える。その他には小さくても人間の役に立つ盲導犬などを「頭」と数えるときもあるよー。(意訳) https://www.kanken.or.jp/ka…
[一言] うっおおサビ残とか滅べば良いのにorz 藪を……藪を探さねば…… >横長いカウンター 横に長いカウンター?
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