第2話 来訪
どうもこんにちは、ぽむむんです。
更新が遅くなってすみません。
少し時が過ぎ、梅雨入りした6月。
◇
登校してからずっと、教室が騒騒しい。何か事件でもあったのだろうか?
「なあ、何か皆、落ち着き無くね?」
斜め後ろの亮太に聞いてみる。こいつもなんとなくそわそわしているのが、気配で分かる。
「知らねぇのか?何か転校生が来るらしいぜ。」
「転校生?こんな時期に?」
6月といったら、クラスになじみ始める時期だ。コミュ障の俺にとっては転校は大きな痛手だ。
テンプレだったら、美少女なのにな。何て思っていると。
「それじゃHRを始めるぞ。」
勢い良く扉が開き、担任が入って来た。しかも、その後ろには、、、、、美少女がいた。ブロンドの髪をストレートに長くのばし、緋色の瞳を燦然と輝かせる美少女が。
「ゴフオゴフオッッ」
?まてまて。落ち着け、うん、冷静に。
「大丈夫か?瞬一。」
「ああ、少し咳き込んだだけだ。」
なぜ、あいつがいる?あいつはアルティミア学院にいたはず。
転校するとしても、なぜここに?
「まあ、見てわかる通り。転校生を紹介する。」
この時期に転校って可能なのか?それとも、アルティミアのコネか
「錦宮アリサと申します。アルティミア学院から来ました。これからよろしくお願いします。」
「おい、アルティミア学院だってよ。」
「日本一の偏差値じゃないか。」
「てか、めっちゃ可愛くない?」
「めっ、女神、女神が降臨した。」
美少女転校生は、色々と騒がれていた。
「なあ、瞬一。俺、あの子めっちゃ好みなんだけど。」
「、、、、そうか、、、お前には、高嶺の花だ。、、」
俺にとっては第一重要人物で危険分子だよ。マジで俺の高校フリーライフがアラームを鳴らしている。
「どうした、瞬一。放心状態みたいだぞ。ま、まさか、一目惚れか。」
「いや、違う違う。マジでヤバい。」
そう言って俺は少し、顔を隠す。アリサに見られたら、どうなるか分からない。
「恥ずかしがんなって。顔出せよ。」
「おい、やめろって。」
それでも亮太は離さない。というか、面白がって離さない。
「おい、お前ら静かにしろ。」
先生に注意されて、反射的に顔を上げてしまう。
その瞬間、アリサと目が合った。
「瞬ちゃん?」
(やべ、バレた。終わった。)
高校フリーライフが終了のゴングを鳴らす。
「先生。あそこの生徒って天河 瞬一君ですか?」
「そうだが、知り合いか?」
「瞬ちゃん!なんで、学院から居なくなるの。」
いやいや、質問ストレート過ぎんだろ。ここは、別人のフリをして、、
「えーっと、人違いじゃないっすか?」
「いいえ、確信をもって言えるの。だって瞬ちゃん、私と目が合った時、気まずそうな顔してたもん。」
ともかく、言い訳をして話を曖昧にする。
「いや、それは、先生に注意されたからで。」
「そんな意地悪しないの。じゃないと、、、(虫をくっ付けるわよ)。」
アリサがムスッと頬を膨らませて怒る。
イヤだイヤだ虫怖い。
「わ、分かったから。これでやめてくれ。」
「ふふっ。ありがとう瞬ちゃん。けど、なんでそんな格好しているの?眼鏡なんて掛けてなかったじゃない。」
そんな格好とは、丸眼鏡、乱れた頭髪などだろう。そう言えば、アルティミアでは、そんな格好していなかったからな。
「まぁ、色々とあってな。」
「で、お前らは友達か?話を聞くと天河も学院s、、」
「まぁ、そんなことはどうでも良いでしょう。もうすぐ、1時限目ですし。」
先生の言葉を遮るように俺が言った。話を大きくしてはならない。
「そうだな。じゃあ錦宮の席は、、、」
「瞬ちゃんの隣が良いです!空いているじゃないですか。」
俺の隣の空席を指して提案するアリサ。初日から一度も来てない不登校さんがいたな。
これを、利用すれば、、、
「ここは、不登校だけどいるので、別の席の方が良いのでは?」
「不登校は居ないのと変わらんだろ。」
あっさりと切り捨てる龍崎先生。
俺の必死の抵抗も泡になった。てか、先生が生徒の存在を否定して良いのか?
「そんなもんで大丈夫だな。それじゃ今日のHRを終わりにする。1時限目に遅れないように。」
不幸中の幸いか、すぐに1時限目が始まったので、質問攻めには、会わなかった。
◇
「おい、瞬一。錦宮さんと知り合いなのか?」
「てか、錦宮さんの話だと、天河君もアルティミア学院にいたって言ってなかった?」
「もしかして恋人?」
休み時間に入ると、亮太を筆頭にクラスメート達が一気に質問してくる。
「まぁ、幼なじみみたいなもんだ。」
そう言って、曖昧に答える。しかし、次の瞬間
「私は瞬ちゃんと同じアルティミア学院 高等科で、クラスメートだったの。瞬ちゃんは学院トップだったの。しかもあの、伝説の第7世代の中で。」
クラスメートが凍ったように固まった。はたまた、ロダンの彫像のように。
「第7世代って言ってたら、最高偏差値を記録した世代じゃないか。」
「はっ!マジかよ。確か、フェルマーの最終定理を証明したって。」
「いや、冗談だよな、、、、」
「えっ、うそ、、」
いやいや、反応ひどくないか?最期に言ったやつなんか、あからさまにショック受けているじゃん。
てか、俺が断固として守って来た秘密が一瞬で壊れた。
「アリサ、ちょっとこっちへ。」
そう言って俺はアリサを廊下へと連行する。
「あ、逃げるな~」 「待てよ、瞬一。」
クラスメート達が追って来るけど、関係無い。というか、被害を最小限にとどめるための予防策だ。
「おい、アリサ。ちょっと静かにしてくれ。」
「なんでなの?威張ったって良いじゃん。」
自分の事かのように言う。確かに、普通の人ならそんな反応だろう。誰だって自身の功績は自慢したいものだ。
「俺は目立ちたくないんだ。」
「でも、もう充分目立っちゃったけどね。」
てへっ。と謝るアリサ。大勢の男子はこれで毒気を抜かれるだろう。しかし、
(アリサ、可愛く言ったって許すわけないだろう。)
「もういいや、次の授業始まるし。」
◇
俺が望んだものは何だったのだろう。跡形も無く吹き飛んでしまっていた。
フェルマーの最終定理とは。
n=3以上の整数の場合、xのn乗+yのn乗=zのn乗
となる、x y z の組は存在しない。と言うものです。
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