第4話 確認は大切です
迷宮の書の確認を続けたが、想像以上のチートだった。
食料や嗜好品の他にもタオルや歯ブラシ、石鹸などの日用品など様々なものがあった。
どれも地球産のようだ。
さらには、マスタールーム用なのか風呂・シャワーや洋式・和式のトイレ、ベッドなどまで存在した。
迷宮の書をうまく使えば地球にいたときと変わらない生活がおくれそうだ。
異世界の生活にも興味はあるので可能なら外の世界も観てみたいが、ダンジョンの外が危険な可能性もあるので、ダンジョン内でもきちんとした生活をおくれる手段があるのは安心だ。
ただダンジョンの接続後の安全には運の要素が関わってくる。
ダンジョンが接続される場所の周囲の環境がどんなものか分からないし、そもそも異世界においてダンジョンがどういう存在なのかも分からない。
いきなり多数の生物が侵入してきて、コアを破壊されるといった事態も考えられる。
コアが破壊された場合に俺自身がどうなるかは分からないが、破壊されないように準備する必要があるだろう。
ダンジョンの作成は楽しいが、ゲームとは違い最悪死ぬ可能性もある。
方針としては、まず今あるDPを使い自衛の手段を用意し、DPをためて守りを強固にしていくべきなのだがDPをためる方法に問題がある。
DPを稼ぐ方法は主に三つ。
・ダンジョン内の魔物が倒される。
・ダンジョン内に外部の存在がいる。
・ダンジョン内で外部の存在が死亡する。
・ダンジョンに物を吸収させる。
何かアイテムなどを吸収させる以外はダンジョンに入ってくる存在が必要なのだ。
三番目の方法を積極的に狙うつもりはないし、理想はアイテムなどを得てダンジョンに吸収させて稼ぐことだろうが、おそらく迷宮の書から出したアイテムをダンジョンに吸収させてもDPが増えることはないだろうからダンジョンの外に出て持ってくる必要がありそうだ。
それには当然ダンジョンの外に出ても大丈夫という「情報」や「力」が必要だろう。
そうなってくるとやはりコアを破壊されたり俺自身が殺されたりしないようにしつつもダンジョンに外部の存在が入ってくるようにしなければならない。
迷宮の書を見ながら悩んだ結果、最初に出すのは魔物にすることにした。
ラノベやゲームで定番の「冒険者」のような職業があるのなら、宝箱や薬草などの素材を設置し、俺のダンジョンを「有益である」と認識してもらえればコアを破壊されることもなくDPを稼ぐこともできるだろうが、それに期待するには不確定要素が多すぎる。周囲にいるのが人間か分からないし、どんなモノが需要があるかも分からない。ダンジョン自体が破壊対象という可能性だってある。
アイテムにしろ、魔物にしろ今のDPでは大したものは出せないが、魔物であれば倒されてもDPが稼げるし、多少なりとも侵入者に対しての守りになる。
迷宮の書の[魔物]の項目を見てみると、「常時召喚」と「主召喚」、「眷属召喚」という三つがあった。
常時召喚は階層に常に魔物を召喚し続けるらしく、階層に召喚する魔物の数の上限と召喚速度を設定できる。
主召喚はいわゆるボスを召喚するようで、これによって召喚された魔物を倒さなければ次の階層へは進めないようになる。倒されるまで次の魔物は召喚されない。
眷属召喚は、ダンジョンマスターの眷属となる魔物を召喚するらしいが、選べる魔物は常時召喚とあまり変わらない。ただ、必要なDPはこちらの方が高い。こちらはDPに余裕ができてから試すべきだろう。
常時召喚、主召喚ともにいろいろな魔物が出ているが、使用できるDPに制限のある現状で出せる魔物は限られている。
常時召喚で選べるのは、
スライム 500DP
ゴブリン 600DP
グレーウルフ 600DP
ホーンラビット 800DP
ワイルドボア 800DP
あたりだろうか。
ファンタジーやゲームの序盤で定番の魔物だ。
…必要なDPを見ると、地球の食べ物がかなり高価な気がする。カレーと常時召喚され続けるスライムが同じポイントだ。
それた思考を戻して、何を召喚するか考える。
少し迷ったが、「スライム」にすることにした。単純に必要なDPが最も低かったからだ。
試しに麦茶は飲んでしまったが、DPは少しでもとっておくべきだろう。
一応、主召喚の方も見てみたが必要DPが一番低いレッドスライムやホフゴブリンでも800DPするので、まずは常時召喚を試してみてから考えることにした。
常時召喚のスライムを選んでみると、召喚上限と召喚速度を設定できた。
召喚上限は最大百体で一体単位で設定可能、召喚速度は十段階から選べるようになっていたのでどちらも最大に設定した。
ゴブリンなど他の魔物も確認してみたが、これは今召喚できる魔物全てで共通だった。
『スライム(100/10)召喚しますか? 』と表示された。
YESを選択すると、階層創造でつくった一階層のマップの下にスライム(100/10)と表示された。
これで一階は、スライムが最大100体まで最大の速度で召喚、侵入者からすればポップされるということになる。
召喚速度の10というのがどのくらいの間隔で召喚されるのか分からないが、速度によっては常に一階には100体のスライムがいるなんてことになるのかもしれない。
スライムがどの程度の強さなのか分からないけど、多少の時間稼ぎになってくれることを期待する。
侵入者がいた場合、スライムで時間を稼ぎ、落とし穴(20DP)や飛矢(50DP)などで対応していく予定だ。
スライムの召喚の設定をし、もう一度迷宮の書を確認する。出せるものが多すぎて全てを覚えることは無理だが、咄嗟に反応できるように今出せるもので有用そうなものはできるかぎり押さえておく。
さらに階層創造とつくったマップももう一度確認して、ダンジョンを接続する前にステータスも全て再確認しておく。
いきなりピンチの可能性もあるので、見落としがあっていけない。
「えっ? 」
ステータスを順にチェックしていて予想外のことに思わず声が出た。
『迷宮へ転移しますか? 』
YES/NO
ユニークを確認していると、迷宮転移に反応したのだ。