第3話 ダンジョン作成
『ダンジョンをつくるメニュー』は階層創造と迷宮の書の能力によるもののようだ。
階層創造を意識すると、その使い方が頭に流れこんでくる。
中央に一層~三層の文字が表示され、右上にはDP 10000と表示されている。
DPはダンジョンポイントのことで、ダンジョンはこれを消費してつくるものらしい。
試しに一層を意識して選ぶと一辺が六十センチくらいの四角が表示され、左上にタイプ:洞窟、材質:石、サイズ:小と出ている。
その下には、色々な大きさの丸や長方形などが表示されている。
下の図形が部屋や通路を表しており、それを組みあわせて上の大きな四角の中にダンジョンのマップをつくるようだ。
左上に表示されているタイプを意識すると、遺跡や城、坑道、草原に森など色々な種類が表示されるが選択するのにDPが必要で、消費が少ないものでも5000ポイントは必要らしく、多いものになると桁がちがう。
材質やサイズも変更にはポイントが必要なので、ひとまず変更せずに部屋や通路を配置してみる。
できるだけ多く配置しようと選んでいくと途中でDPが消費されるようになる。
大きさにもよるが大体部屋で500ポイント、通路で100ポイントくらいだ。
一定数以上の部屋や通路を配置するにはDPを消費するらしい。
今は10000ポイントしかないのでポイントをあまり消費しない範囲で配置する。
部屋や通路は意識すると大きさ・長さ・形状を変更できるが、これにもDPを消費する。
入り口や次の階層への階段を設置し、DPを消費しない範囲で同じように三層までをつくり終えると、四層の文字が表示される。
現四層以降をつくることはせず、三層までで階層創造を終えようとすると、『世界と接続します。よろしいですか? 』というメッセージが表示され、『YES/NO』の選択が表示された。
突然表示されたメッセージに少し驚いたが、これに関しては階層創造を選択したときに流れこんできた知識にあった。
俺は異世界に転移か転生したと思っていたが、厳密に言うとここはまだ異世界ではないようなのだ。
というのも俺のダンジョンは最低限の構造ができてから世界に接続されるらしい。
理屈は全く分からないが、これも今は考えてもしょうがないだろう。
接続を選択するとダンジョンの条件を満たした場所が検索され、接続されるらしい。
接続される世界は当然俺が行くべき?異世界で、異世界側からすれば突然ダンジョンが出現するということになるのだろう。
接続される場所についての情報は得ることができないので、できる限りの準備をしておく必要がある。
俺は『NO』を選択してみる。
選択肢は消え、階層創造の画面へと戻る。もう一度階層創造を終えようとすらと、再びメッセージが表示された。
予想はしていたが少し安心した。
三層までのマップをつくり終え接続する前に、迷宮の書の方を確認することにした。
迷宮の書を意識すると階層創造のときと同じようにその使い方が流れこんでくる。
それによると迷宮の書は『カタログ』だった。
迷宮の書に載っているものをDPを消費して、ダンジョン内に配置するのだ。
「……これは凄いな。」
迷宮の書の中身を確認していて俺は唖然 としていた。
迷宮に出現する魔物から設置できる罠、武器や鎧などの装備品に様々なアイテム、採取・採掘できるようにする素材や鉱石などが項目ごとに終わりがないかのように膨大な量表示される。
ほとんどがDPが足りずにグレーで表示されているが、中には―――――と表示されているものもある。
選択できるようになるのに条件のようなものがあるのかもしれない。
「……えっ? 」
確認しているとびっくりするものを見つけた。
カレー 500ポイント
カツ丼 500ポイント
カップラーメン 300ポイント
などが、[料理]という項目に載っていたのだ。
他にも[菓子]という項目に
ポテトチップス 200ポイント
板チョコ 200ポイント
[飲み物]
コーラ 100ポイント
オレンジジュース 100ポイント
[デザート]や[酒]、[調味料]などの項目も存在する。
こんな項目が存在することにも驚いたが、何よりもその中身だ。
明らかに日本というか地球のものが含まれている。しかも確認するのが大変なくらいには種類がある。
異世界にもこれらのものが存在するという可能性もあるが、俺が異世界人だということが関係していると考えるべきだろう。
試しに使ってみようと、[飲み物]から麦茶を選択してみる。
すると目の前の床にペットボトルに入ったお茶が出現した。
「うん、普通の麦茶だ。」
飲んでみると、地球で売っている麦茶と変わりなかった。
DPという制限があるので何でも出せるわけではないが、地球のものを今後も口にできるのはとてもありがたい。
俺は予想外のチート能力に興奮しつつ迷宮の書の確認を続けた。