五つの地方
―――午前六時―――
ふぁ……
さて、準備しなきゃ。
一階食堂
(この時間なのに人はまあまあいる……)
おはようございます。
あら、おはよう!早いわね。
ご飯は食べる?
はい!いただきます。
そうかい!なら好きなのを選びな。
じゃあ、和食セットでお願いします。
はいよ!
(ガンテツさんはまだかな……
早めに準備して先に待ってよう)
はいよ!お待ち、ゆっくり食べな。
ありがとうございます。いただきます!
(美味しい!)
二十分後
ごちそうさまでした。美味しかったです!
気に入ってくれてよかったよ。また来なさいな。
はい!
自分の部屋に戻り、シャワーを浴びて歯磨きを終える。落ち着いた黒羽はふと部屋のテレビが気になり、つけてみた
こちらブルーラインから中継です
昨夜からブルーライン周辺の湖が急激に汚染され、現在原因の特定を急いでいます。
またなにか情報があればお伝えします。
現場からは以上です!
トカゲ顔の人がアナウンサー?ちょっとビックリした……ブルーラインって、地方のことかな?
(あら、おはよう早いわねぇ)
(おはようございます)
(あと四十分くらいでそっちに着くはずよぉ。準備はしておいてねぇ。それじゃ、またあとでねぇ)
(はい)
―――午前七時十分―――
さて、ロビーでガンテツさんを待とう。
一階ロビー
おう、黒羽!おはよう!
おはようございます。
悪りぃな準備に時間がかかっちまってよ。
黒羽が持てば、腕が簡単にへし折れそうなくらい
ガンテツの背中には大きな荷物があった
いえいえ、でもあと四十分くらいで来るそうですよ。
そうか!時間を見て外で待つとするか。
はい
―――数分後―――
お世話になりました。ご飯美味しかったです!
世話になったな。俺もまた来るとするよ。
それはよかったよ!また来なさいな。
おっ、丁度迎えが来たみたいだぞ。
え?(私の知ってる車だ……)
お迎えに上がりました。黒羽様、ガンテツ様
どうぞこちらへ。
お迎えの獣人だった
おうよ!
こちら、黒羽様にお渡しするようにと。どうぞお受け取りください。
あっ、鞄ですね。ありがとうございます。
(しかもかなりいい素材の鞄だ)
ほら、乗るぞ。
はい!
到着まで結構かかりますのでお休みいただいてもよろしいですよ。
はい!
おうよ。
あの、ガンテツさん今朝テレビを見たときに思ったんですけど、ブルーラインって言うのは地方の名称ってことですか?
その通りだな。ちなみに俺たちの領土では五色の色で分けられていて
レッドライン
ブルーライン
グリーンライン
ホワイトライン
ブラックライン
って言うんだ。それぞれ特徴があるがざっくり説明すると、レッドラインは大都市過ぎて住む種族がバラバラ。
ブルーラインは水産業が盛んだ。あとは湖が有名で観光地としても人気が高い場所。
グリーンラインは今俺たちがいる地区だ。自然の恵みが生み出した木の実が主に有名で、ここも観光地として人気が高い。
ホワイトラインはあらゆる技術を用いて開発、研究などを行う地区。機械に詳しけりゃ行って損はないと思うぞ。ちなみに俺にはチンプンカンプンだがな。
ブラックラインは頭のネジがぶっ飛んだやつらが多い。施設はかなりいいが、用事がないなら行かないことをおすすめする。俺もそんなに詳しくはないから説明できてこの程度だな。長かったが少しはわかったか?
はい!ありがとうございます。理解はできてますよ。
しばらくすると
景色は黒羽の知ってるコンビニや、飲食店、家電量販店、ガソリンスタンドといった建物が見えた。
(本当に不思議な世界に来てるんだ……知ってる建物を見るとなんだか変な感覚だな……)
んごご……zzzぐわぁ!……
(ガンテツさんは爆睡中ですね。私も少しだけ眠くなって……)
眠気に襲われ、ゆっくりと目を閉じた。
―――三十分後―――
黒羽様、ガンテツ様、到着しました。お疲れ様です。
ん……あ、ありがとうございます。お疲れ様です。
んごご……zzz
ガンテツさん起きてください!
んあ……あぁ寝てたか……
さて、こちらです。ガンテツ様もこちらに。
ああ、わかった。
周りの景色はまた変わり、
和と洋が調和している町並みの城下町に着いた。
すごい……お城だ……
また新たな発見に眠気が吹っ飛んだ
ほらいくぞ黒羽。
あ、はい!
城の内部は大きな鎧を着た人たちが剣道のような稽古をしている光景。使用人たちが家事をして、働いていた。
そして、
大きな城の三階の右端にある、見晴らしのいい部屋の前に着いた。
ミア様、黒羽様とガンテツ様をお連れしました!
ありがとぉ。ご苦労様どうぞ中へ!
失礼します。
失礼しますぞ。
そこには色気とは違い、美しいという言葉に相応しい女性の姿があった。
あの、鞄ありがとうございます。
いえいえ、はじめまして黒羽。わたしはミア。
よろしくねぇ。
はい。よろしくお願いします。
ガンテツさんもお久しぶりねぇ。
あぁ、どうも!久しいですな。お迎えどうもありがとうございます。
いいのよぉ、あなたにも用事があるから丁度いいわぁ。
俺に?どんなご用件で?
それじゃあお話しするわねぇ。