プロローグ
帝歴1560年この世界は戦争を繰り返していた
「隊長!敵軍がこちらに進軍してきている!」
若い軍服を着た兵士が焦った顔で報告してくる
「敵軍の規模は!?」
「一個中隊規模の模様」
野営している我軍は小隊規模しかない
「本隊に連絡 応戦しつつ後退する」
「了解」
現在森の中で野営をしている
最低限の準備だけさせすぐに行動しなければならない
残していく物資に罠だけしかけ撤退する
半時ほど行軍している最中後方より爆発音が聞こえた
どうやら馬鹿なやつが罠にかかってくれたらしい
これで少しでも時間が稼げればいいが
さらに一時間ほどたった
後方から発砲音が聞こえる
後ろにいた隊員2名が倒れている
「総員散開!応戦しつつ後退せよ!」
「「了解」」
即座に近くの木に隠れつつ銃声のするほうへ確認もせずフルオートで射撃する
他の隊員を逃がすよう注意をひくためだ
隣の木に隠れている隊員とハンドサインを交わす
単発打ちに切り替えて隣の隊員を奥に逃がす
次に自分も奥の木に逃げようとするが
「ぐうう」
右足に銃弾を食らってしまった
「隊長!」
「構うな!行け!」
フルオートで牽制する
マガジンは後2個しかない
ここで使いきってもいいだろう
匍匐で茂みの中に入ってリロードする
狙いもつけずにフルオートで射撃する
左肩を打たれた
もうリロードもできない
単発に切り替えて時間稼ぎをする
意識が朦朧としてきた
暗くなっていく視界で世界を呪う神を呪う
「くそったれ」
そこでオレの意識は途切れた
意識を戻した時光の中にいた
体を動かそうとしても何も反応しない
オレは生き残ったのだろうか?
そうするとオレは捕虜になったのか?
しかし体は動かないし光しか見えないし何も聞こえない
植物人間にでもなってしまったのだろうか?
そんな考えをしているとき何か聞こえた気がした
名前?名前を聞いているのか?
オレの名前はトウジ
ムトウ トウジだ
答えようとしても口も動かない
新しい名前?新しい世界での名前?
意味がわからなかった
ただ漠然とシロと答えた
黒く染まらないシロがいいと思った
光が急に流れだした気がした