第四語 消えない記憶 ─別視点─
皆様、こんにちは、こんばんは。
さて、今回の語り部ですが、新しいお話ではなく、前回の『消えない記憶』の話を少し、視点を変えてお話したいと思います。
今回は女の子中心の語りになります。
では、どうぞ。
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ある所に、ある少女がいました。
少女は、心配性で自分よりも相手や周りのことを大切にしてしまう、少し寂しがり屋な、とても心優しい少女でした。
彼女には、好きな人がいました。
知り合いの男の子。緊張して、まだ友達とさえ言えるかどうかあやふやな関係にいる男の子のことが彼女は好きでした。
ある日のこと、彼女が街で買い物をしていると、偶然、思いを馳せている男の子と出会い、声をかけられました。
彼女はびっくりして緊張で頭が回らなくなってしまい、顔もやや蒼白になってしまいました。
それを見た彼は、「大丈夫?」と彼女を心配しました。
しかし、彼女は心配をかけたくないと、「大丈夫」と答えました。
すると、彼は彼女のために救急車を呼びました。
彼女は申し訳なく思いながら救急車に運ばれていきました。
そして、数分後。彼女は死にました。救急車ごと、大型トレーラーに潰されて。
しかし、彼女は現世に未練を残しました。
彼に気持ちを伝えたい、大好きだと言いたいと。
彼女の意識は現実に留まり、それは俗に言う幽霊という存在に成り代わりました。
その日から彼女は、彼に聞こえているかもわからない声で話しかけました。
しかし、聞いているはずの彼は、少女が死んだ責任に頭を潰されそうになっているばかりです。
彼女はひたすら、「あなたのせいじゃない」と、彼を励まし続けました。
しかし、努力の甲斐なく、彼は狂ってしまいました。
ですが、彼女は悲しくありません。嬉しくすらあります。
だって、もう二度と話すことの出来ないと思っていた彼と、歪んではいますが、再び話すことが出来たのですから。
なので彼女は、狂った彼を、また、愛することにしました。
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どうでしたか?
視点を変えると話も変わる。
やはり、彼が話しかけていたのは彼女だったんですね。
それが本当に通じているかはわかりませんが。
次回は別の話にしましょう。
それでは次の語り部まで、
Au revoir。