ダンジョンへ…
力を覚醒した練習を続けて2週間。
俺は、元の世界での剣技に対する知識のおかげもあってか、50以上の力を使った技を覚えることができた。
一番驚いたのは、速さ。
俺の、経験値4倍スキルのおかげかわからないが、力を足に集めて移動すると、光のごとく、白い風のように早く動くことができた。
技の名は〈光風〉
俺が命名したが、俺が覚えていればよかったので、本当の技名なんて知らない。
常人離れした動きだったが、おそらくもっと強い人はいるだろう。
S級、S級+aには多分適わないと思われる。
こうなるとここで一番必要になるのは、現場での対応力。
練習で、ゆっくりと技を放つことができても、実戦では意味がない。
だから最近は、洞窟やちょっとした山岳地帯などの実戦に出てきそうな場所で、特訓をしている。
だけどそれも慣れてきたので、
「行ってみるか」
少し森の外に出てみようと思った。
俺は剣の装備、服とローブ、飲み物などを少し持参して、外に出ることにした。
久しく、外に出ていなかったので、どんな世界だったっけなぁ…などと思いながら、外への道を歩いていた。
そして、向こうの方に出口が見えた。
「おおぉ」
前まで外にいたはずなのに、何だこの新鮮なリアクションは。
自分で思うほど、意味不明だった。
向こう側が見えてから少し歩くと、もう出口についていた。
「結構出口遠かった…」
森が広いことに、少し後悔を覚えた。
外には、人は冒険者みたいな人しかおらず、俺が浮いているみたいな感じだった。
大体の人が3人以上ぐらいにパーティを組んでいるなか、俺だけ一人だからしょうがない、と思いながら、外を見渡していた。
さて、ここからどこに行こう。
実戦の特訓なので、やはりダンジョンか…
でも強いモンスターが現れる可能性もあったので少し困っていた。
ただ、攻略済みのダンジョンもある。
そこだと、モンスターがわいてくることはそうそうなく、安全といえるだろう。
あくまで、実戦現場の下見的なことをしたかっただけなので、そうすることにした。
「よし!」
俺は頬をたたき、気合を入れて、攻略済みダンジョンを探した。
30分くらい辺りを探していると、
〈※攻略済〉
という看板がついたダンジョンを見つけた。
やっとあったか…という気持ちで、その看板を見ていた。
ダンジョンは、洞窟のようなもので、中に入れるようになっていた。
俺は肩の力が抜けた。
洞窟なら、森の中の練習でかなりやってきたからだ。
「行きますか」
少し安心した気持ちで、俺は中に入ることにした。
中に入ると、松明のようなものが灯っていた。
まさに攻略済みという感じだった。
洞窟は別れ道のようなものが途中にあったが、攻略されているおかげか、行き止まりのところは、看板で、
〈この先 行き止まり〉
と書かれているので、普通に安全な道を通れた。
少しのどが渇いてきたので、持参した水を少し飲んだ。
かなりの癒しだった。
喉も潤せたので、また下見を再開した。
今思ったのは、人がいないということだ。
冒険者は、未知のダンジョンを求めるのだなぁ、と思いながら歩いた。
この後も特にイベントなく、10分ぐらい歩いていた。
「なんかねえかなぁ」
つまらなさでそう呟いてしまった。
その時、奥に人影が見えた気がした。
俺は不思議に思い、人影がある方向に進んでいった。
見える距離に近づいた頃、等々顔まではっきり見えるようになった。
するとそこにいたのは、年齢だと、同い年くらいに見える女性だった。
一瞬驚いた。
なぜここに人がいるのか。
てかなぜ女子っ。
しかも腰には、双小剣のようなものを下げていた。
どうしようかと考えていると、女性がこちらに気付いた。
女性は驚いた表情でいた。
まあ目の前に急に男がいたら驚くか。
俺はここで戸惑ってはダメだと思い聞いた。
「そこで、何やってるんだ?」
「ふぇっぇぇっ!」
更に声を掛けられたことが追い打ちになったのか、高い声を出した。
「ああぁ、ごめん。急に話しかけちゃって。
俺は村雨柴柏。
このダンジョンで初めて人にあったから、何してるか気になって。」
すると驚いていた表情を少し、抑えることができたのか、微妙な表情になって、
「あ、あ、わたし、ファラヴァです。
あのぉ、実は、攻略済みのはずの、このダンジョンから、モンスターの気配を感じたので来たんですぅ。」
「気配を察知できるんだ」
「は、はいぃ。
不思議に思ったので奥まで来ちゃいましたぁ。」
弱々しい声がかわいらしかった。
ただ、モンスターがいるというのが気になった。
なぜ攻略されているはずのダンジョンにモンスターの気配を感じたのか。
とても不思議に思った。
「一緒に行動させてもらっていい?」
「あ、あ、それはこちらからもうれしいです。」
認めてくれたので安心した。
モンスターがいるのだ。
自分一人だとさすがに怖い。
心強い味方とともに俺はさらにおくへ進んだ。
「実はまだ実戦経験はないけど、特訓はかなりしてるから、役には立つと思う。」
「それは、本当に心強いです!」
そんな会話をしながら、進んでいく。
ただ一人の味方とともに…