驚愕の成長
特訓が始まります…
キルバさんがいなくなって数分後、俺は小屋の中に入って、特訓のメニューを考えていたがなかなか思い浮かずにいた。
「外に出てみるか。」
特訓場所を見るのが一番いいと思い、特訓場所の森を見て回った。
歩いてみると、キルバさんが言っていた綺麗な池や、洞窟的なところもあった。
見ているうちに思ったのは、この森はかなり広い。
そんな広い森を生かす特訓はあるのだろうか。
悩んでいたので、腰にかけていた剣を何となく引き抜いてみた。
だが持った瞬間に、違和感を感じた。
武器屋で手に取った時とは違う感覚だった。
「もしかして…」
俺にはある考えがついた。
この剣は操力武器。
だからこの武器に眠っていた力が今目覚めたのではないかと。
試しに一回振ってみた。
すると、スパァァァァァンッ!という激しい音とともに、剣が光った。
剣からは、赤く、恐ろしい妖気のようなものが出ていた。
おそらく、剣に眠っていた力のことだろう。
その力は、体全体に伝わっていた。
「試してみるか。」
そういって俺は走った。
そうすると思っていた通り、普段走っていた時よりはるかに速くなっていた。
感動できるほどにすごかった。
この力を見たとき、少し特訓内容をつかめたような気がした。
特訓の時は常にこの力を出さないで素の状態で特訓。
そうすれば力を発揮した時、とんでもない強さになるのではないか。
この方法が分かったら、ポンポンと特訓方法が浮かぶようになった。
俺はその方法で特訓を始めることにした。
次の日、俺は特訓を始めた。
最初に、武器屋で買った、重いローブと剣を装備して、走りながら森の探索と同時に体力づくり。
これで、長期戦などへの対処を鍛える。
それを毎日三時間続けた後、小屋の周りの木を、素の剣で毎日できるだけ切る。
これで、剣の技術を鍛える。
そして、様々な敵と戦うための、戦術をすぐ身に着けられる瞬発力を、森の中のちょっとした山岳地帯、洞窟、木がとても多い場所で毎日、残りの時間全てを使って行う。
これで戦いでの知識を鍛える。
とても大変だがこのメニューをつづけることにした。
ちなみにご飯は、森の中にはモンスターはいないものの、動物はいたので、食事はしっかりとれていた。
前の世界で料理は結構やっていたので、食事面では意外に満足していた。
風呂は、キルバさんも言っていた近くの綺麗な池からくんだ水で入れていた。
その練習を二週間続けていると、どうやら剣術が上達したようで、素振りを力を発揮していない状態の剣でやってもかなりはっきりとした風が起きるようになった。
更に、探索していたのがいい結果に出たのか、ジャンプ力の上達も尋常じゃなかった。
「え、これ何」
そう思うほどだった。
このハードな練習を、驚愕的な成長とともにしていくんだと思うと、高みが増えていく気がするようになった。
だけどこの特訓はまだ始まったばかりだと思うと、俺はキルバさんが森を貸してくれたことへの感謝がさらに増え、やる気が芽生えた。
俺はこの練習をあと半年近く続ける…