服の選択、そして特訓へ…
特訓が始まりそうです。
武器屋に売っていた服は、やはり戦闘に向いた感じの服だった。
「初心者がダンジョンや要塞に行くのはやっぱり厳しいですか?」
俺は気になったことがあったので、キルバさんに聞いてみた。
「そうだね…要塞は全般、上級者向けかな。
ダンジョンは初心者から上級者まで様々な難易度の、ものがあるからダンジョンならいいかもね。
でも初心者だとやっぱりダンジョンも危ういかな。」
「じゃあ、俺半年くらい特訓してから少しずつダンジョンなどに行くようにします。」
俺が気になっていたのは、特訓はダンジョンでするべきかということだが、キルバさんの言葉を聞いて、地上でトレーニングしようと思った。
だがそうなるとまた、問題が生まれる。
「なにか特訓場所ないですかね。」
「そういってくると思ったよ。実は君にいい特訓場所があるよ。
さっきあの店主のおっさ…ガブラっていう人にね、鑑定スキルを使ってもらって君の能力を調べたんだ」
「鑑定スキル?」
「ガブラが持っている特殊な能力さ。
特殊って言っても武器屋の店主は大体持ってるけどね。
ガブラ、鑑定結果言ってあげて。」
「ああ。俺も見てビビったんだが、あんたには、力、いわゆる経験値的な奴を一般人の4倍速く取り入れる能力があるんだ。
だから練習したらその4倍強くなれる。
今までこんな例は見たことないぜ。」
それを聞いて転生のことをふと思った。これは転生でのボーナスか。それとも元からついてる能力なのか、少し考えたが、俺の成長速度が速いのは事実。ポジティブに考えた。
「このことから君には、剣技を究極に極めてほしいと思った。
剣技を極めていけば、それと同時に、体力、スピード、瞬発力など、いろいろな力が大きくなるだろう。
あくまで僕の意見だけど。さてどうする?」
大賛成な特訓だった。特にうそをつくこともないので、
「じゃあそうします!で特訓場所はどうなるんですか?」
「モンスターを倒す以外に効率的な方法といえば、頑丈なものを切り落とすこととかが効率的なんだ。
だから僕が昔所有していた小屋を貸すよ。
あの周辺は森で囲まれていて、木も様々な種類のものがある。
細いものから、太くて頑丈なものまで。
その森一帯は僕の私有地だから好きに使っていいよ。
モンスターは現れない。
まあ、半年くらい君には森の中で暮らしてもらう、サバイバル的なものかな。」
「そんな、効率のいい森、俺に貸してくれるなんて…
本当にありがとうございます!」
「いやいや、君には何か感じるところがあったからね。
多分あの中で特訓して君の能力もかけ合わせれば、要塞ですら行けるようになると思うからね。
それに小屋の処分も少し困っていたから、こちらとしても好都合なんだ。」
俺は感謝でいっぱいだった。
「本当にありがとうございます!」
「いえいえ、で、服はどうするの?」
服には目星がついていた。地上でトレーニングするんだから、自分に厳しい服を、と思っていた。
「とりあえずこれで」
最初に、普通に身軽そうなグレーっぽい服と黒の上着、ズボンを買った。
「あと…重量感のある装備ってありますか?少し厳しくいきたいので。」
「さすがだね。じゃあこれはどうかな。」
黒色のローブのようなものだった。軽そうに見えるがキルバさんの雰囲気的にかなり重そうだ。
とにかく重ければ良かったので、
「それにします!」
と、言った。
「まいどあり!」
そして、ガルバさんにもお礼を言った。
剣と服を買った後、俺は店を出てキルバさんに案内される方に行った。
この世界には乗り物が無いらしく、森までずっと歩いていた。
歩いてるとところどころ、洞窟へ入る冒険者御一考みたいな人たちがいた。
あの洞窟、ダンジョンなんだろうなぁ、と思いながら歩いた。
1時間くらいたっても案内してくれるキルバさんは本当に優しかった。
街を出て2時間くらい歩いた頃、
「ここだよ」
その声を聞くと、それまで疲れているように下を向いて歩いていたが、顔を上げて目の前を見た。
目の前には意外とでかそうな森があった。
こんな場所借りていいのか?、と思った。
中には草が生い茂った道があった。
「よし!もうすぐ小屋だから頑張ろう」
俺は頷いた。
森に入って十分。
小屋についた。小屋は木造で思っていたよりはデカかった。
「これで、サヨナラだね。
もし何かがあったら、僕のスキルで危険を察知してすぐ駆けつけるから。
風呂とかは近くに綺麗な池がある。
それをうまく使ってね。
小屋の中には、かまどなどの料理できるものとかいろいろそろっているから遠慮なく使ってね。」
「いやあ。
本当にありがとうございました!
必ず強くなって見せます。」
「ああ、これから頑張ってね。
半年間辛いと思うけど、絶対に強くなれるはずだから。
それじゃ、またね!」
そういって、キルバさんと別れた。
ここから特訓が始まると思うと、緊張と興奮が交差していた。
「やりますか!」
にやけた表情でそう言った。