仲良し
なんか、うん!
家へ帰るとすぐにベッドへ迎う。カバンを床に置いて、ベッドへダイブする。勢いでベッドがギシギシと音を立てる。
裕大は帰りも七海の言葉で頭がいっぱいだった。
『どうもありがとう』
七海の言葉が頭の中で何回も再生される。俺は七海に感謝されることをしたのだろうか。裕大はまだ理解が追いついていなかった。小学校と中学校を聞いてきたのも、意味がわからない。俺と七海は高校で初対面なはず…。
そして、七海の涙。自分が一体何をしたというのか。七海に感謝されることを事を過去にしたのだろうか。記憶を巻戻して考えるが何も思い出せない。
そんなことを考えると、だんだんと意識が遠のいていって、裕大はそっと目を閉じた。
携帯からの音で目を覚ます。メールの通知音だ。携帯の時計を見ると夜の0時を過ぎていた。メールは美幸からだ。
「明日の土曜、映画見に行かない?」
0時過ぎてるから今日だけどな、と思いながら返信を打ち込む。
「なんの映画?」
美幸が見たい映画ってなんだろう。恋愛ものなのかな。
「Waving Lifeだよ!裕大も知ってるでしょ?」
知ってる。映画をあまり見ない俺でも知ってるほど、Waving Lifeは有名なのだ。Waving Lifeは元々ネット小説だったらしく、それが広まり今やアニメ映画になるまで成長した。自分も前々から気になってはいた。
「ああ、俺も見たかったし、明日は空いてるよ」
高校に入って初めての美幸との外出に期待を抱く。
「稜平も誘ってあるから!」
まじか。稜平も来るのか。裕大は少しがっかりする。美幸の事は好きとかではないが、やはり高校生になると女子と二人で出かけるのが裕大のちいさな野望だった。期待した自分が馬鹿だったと、一人きりの部屋で深いため息をつく。
「おう、分かった。何時にどこ集合?」
「映画館に10時!」
「了解」
映画の事で話し終わったあと、しばらくやりとりしていると1時を過ぎていた。裕大は映画に遅れないように、すぐに就寝した。
映画館には9時45分についた。遅れないように早めに家を出たが、流石に早過ぎたようで裕大は以外は誰も来てなかった。
皆『Waving Life』目当てだろうか、朝にしては人が物凄く多い。チケット取れるかな、と考えていたら二人が来る。
「裕大、早いね〜!」
「ほら、はやくしないと、いくぞ」
稜平が言う。そうだ。Waving Lifeの人気は絶大なのだ。すぐに海外の映画館でも翻訳され上映している。日本では公開してから1週間経つが、まだ人気が衰えることはない。興行収入もすごい…らしい。
席はギリギリ空いていた。思ってた以上に人が多くて、本当に焦っていた裕大は安堵する。
すると稜平が
「あれ、兄妹かな?妹強えw裕大、見てみろよ」
と言って見てみると、妹らしき人物が兄らしき人物を怒鳴りながら手を引いてチケット売り場まで向かっている。
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「ほら!クソアニキ!はやくしろ!」
「まて、今行くだろ妹よ。」
「黙ってろクソアニキ!」
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恐ろしい会話内容に唖然とする。妹は容姿端麗。高校生だろうか。もし高校生だったらまさに完璧JKって感じだ。一方兄は乱れた髪、乱れた服装。しかしイケメンだった。兄人物の服装にはゴシック体で『僕はニート』と書いてある。確かに。ニートっぽい…
「ホントにこんな兄妹いるんだな」
裕大も稜平と同じことを考える。こういう兄妹ってなんか、ラノベちっくだな。と裕大は思う
ほら、『完璧JKには〜』みたいなタイトルでありそうじゃん。
兄妹を眺めていると上映の時間であと少しで慌てて3人で映画館へ向かう。映画館の中は満席でざわついていた。
「楽しみだね!」
隣にいる美幸が言う。美幸がアクションを起こす度に髪が揺れ、シャンプーの良い匂いがする。まさしくJKの匂いって感じだ。
匂いを一生忘れまいと匂いを覚えようとしていると映画館が暗くなり、ついにWaving Lifeが始まった。
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「超面白かったわ。」
「だよね!」
「確かに。」
Waving Lifeは予想を遥かに越えた面白さだった、ストーリーはいたってシンプルな恋愛だったが、作画の美しさと曲の良さに2時間弱飽きいで見れた。主人公の心情の変化が細かに描かれていて、共感できる場面がなんどもあった。ハーレム系の主人公はタイトルにもあるとおり、波乱万丈でまさにWaving Lifeだった。
「また3人で出かけようね!」
「そうだな」
やはり稜平がいると楽しかった中学校からのこの3人は永遠に仲がいいだろう。そう確信した。
「「またなー」」
「またねー」
そうして3人は帰宅の途についた
モチベあがらない!