一筋の輝き
友人に魅せられ、自分も適当に書いてみました。
光が見える。一筋の光が。手を伸ばすが一向に届く気配がしない。
「まってくれ」
自分の意志とは反対に、光は更に遠くへと行っていまう。
「まって、俺はお前が───────」
───────序章───────
耳元で大きな音がする。僅かにある意識で身体を動かし、音源を止める。
「おはよう」
と自分で自分に挨拶してゆっくりと起き上がる。目覚めた身体は無意識に今日の日付を確認する。
「あ、そうか今日から学校か」
彼、堀川裕大は今日4月1日から伊切高校の新生徒なのだ。伊切高校は名門校であり有名大学へ行く生徒も多い。難易度は日本一と呼ばれるほどである。
「めんどくさ…」
と一言。といいつつ実は彼、裕大は高校生活に期待しているのだ。親からの教育のせいで小学、中学共にまともに自由な時間がなかったのだ。時間があれば勉強していた裕大は高校生活で華々しく青春したいと思っている。学校の為急いで身支度をしていると外から明るい声がした。
「遅ーい!早くしないと学校遅れるゾ!」
と裕大に喝を入れる一言。
「あー、はいはい」
と窓から適当に返事をすませる。ようやく身支度が終わった。着なれない制服。整った髪の毛。まさに高校生って感じだ。と思いつつ急いで彼女の方へ向かう
「裕大遅スギィ!」
「申し訳ないンゴ…」
彼女は中村美幸。長い付き合いの俺の幼馴染だ。美幸はルールやマナーに厳しく、なにかとうるさい。俺のお世話係って感じだ。
だけど美幸は嫌いじゃない、むしろ好きだ。会話はずっと続くし、趣味も合う。おまけに美幸はとても美人なのだ。艷やかな黒髪は腰のあたりまで伸び、眼は綺麗な二重。脚も長くモデル体型。幼馴染には勿体無いぐらいだ。
「なんか、緊張するね」
「あ、うん、そうだな」
美幸らしくない一言が出て、内心驚く。彼女はいつものポジティブで緊張などしないと思っていた。緊張している美幸はとても新鮮で悪くはない。
そうこうしているうちに駅まで着いた。学校までは電車通学なのだ。定期を持って改札へ行く。改札へ来ると自分も緊張しだして心臓の音が外へ聞こえそうだった。
「人多いね、やっぱり」
「ああ」
案の定駅には沢山の人がいた。皆緊張しているんだろう、会話はそこまで多いようには感じない。小学校も中学校も初めての学校の時はこんな感じだったな、と振り返ってると電車がやってきた。電車のドアは学校の校門と錯覚するような雰囲気を発していた。ここから自分の学校生活が始まるんだ。と改めて身を引きしめて電車に乗る。電車はガタンゴトンと軽快なリズムを刻んで学校へ出発した。