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お題20『北予備』 タイトル『stay three years』

「おお、お前さん、いらっしゃい」

「久しぶりっす。親父さん」

「中越はもう来てるぞ」

 店の中を見ると、親友のりょうちゃんが座っていた。夜勤明けなのか、少しだけ顔がやつれているようにみえる。

「りょうちゃん、元気?」

 無精ひげが生えている彼の姿を見て俺も年をとった感じる。彼と出会ってもう13年になるのだ。話していない期間を足せば15年になる。

「もちろん、たくちゃんも変わらんね」りょうちゃんは髭を触りながら答えた。

 俺達は同じ高校の同級生だが、在学中は話していなかった。高校を卒業して俺達は一気に仲良くなったのだ。

「一年くらいじゃ変わらんよ。親父さん、ビールを貰ってもいいですか?」

「あいよ」

 二人でビールを飲みながら乾杯をする。彼の姿を再び見ると、頭に一本だけ白髪が見えた。

「りょうちゃん、白髪があるよ」

「嘘? 俺もそんな年かぁ」

「白髪が生えた?しらんがな」

 親父はびしりとボケ突っ込みをした。

「親父、冴えてるやん」

 俺が褒めると、親父は満更でもない顔をした。この親父、絶妙なタイミングでギャグを入れてくれるのだ。

「当たり前だよ、年季が違うよ。ところで安正やすまさは何にする?」

 りょうちゃんの器にはぶっかけうどんがあった。俺達、予備校時代の懐かしい一品だ。

「じゃあ俺も、同じやつで」

「あいよ」親父はそういって笑った。「たまには蕎麦を頼めよ、お前ら。新しく店出した意味がないじゃないか」

 親父は黒崎で瓢六ひょうろくといううどん屋をしていた。その時、俺らはまだ北予備生、医者の大学に行くために浪人していたのだ。

 瓢六のぶっかけうどんは学生割引で330円で腹いっぱい食えた。あの値段とねぎの味が忘れられず、俺達は今も蕎麦屋でこれを頼んでしまう。

「あの頃が懐かしいな」

 俺が呟くと、りょうちゃんも同意した。

「そうやね、親父もあの時は一人やったのに今じゃ、人に指導する職人やしね」

 そういうと、親父は再び笑いながらうどんを茹で上げた。

「何をいってるんだ、お前達。わしはいつでも職人やぞ」

「親父はプロでもパチプロの方でしょ」

 俺が手を回しながら突っ込むと、親父もまた手を回しながらいった。この親父、ノリノリである。

「馬鹿いっちゃいけないよ、これのおかげでこの店がもてたんだから」

 ……せめてうどんで儲けたといえよ。

 俺は心の中で突っ込んだが、敢えていわなかった。親父はそういう人柄なのだ。だからこそ、のらりくらりで戸畑に大きな店を出せたのだ。

「そういえば、この間、予備校仲間のあいつがきてたぞ。何だったっけ?ひさのだっけか?」

「ああ、引野ひきのね。あいつも元気にしてるかな」俺は彼を思い出しながらいった。

「まだ元カノを引きずってるんじゃないかね」

「どうだろうな。でも懐かしいな。もうあの頃から10年以上前になるんやな」

「そうやね」

 俺達はうどんを食いながら過去をさかのぼった。あの頃は浪人時代なのに毎日が輝いていた。

 医者の卵になるという夢を持って俺達は白く輝いていたのだ。


 俺達は北九州市の県立で一番の進学校にいた。

 俺はラグビーで花園までいき、りょうちゃんこと、中越はテニス部で体を鍛えて個人で県大会で優勝していた。

 俺達は高校3年の限界まで部活動に明け暮れたので浪人する覚悟を持っていたのだが、まさか3年も浪人するとは思っていなかった。だからといってそれが無駄ではないといえる。予備校は予備校で刺激的な毎日を送り楽しかったのだ。

「本当に懐かしいな。予備校に行かなかったら、りょうちゃんと仲良くなることもなかったんだもんなぁ」

「そうやね」

 予備校にはもちろん志望校に受かりたくて集まった人間しかいない。だが別の高校に通っていた者、浪人している者、様々な葛藤を抱えた人間が集まっており、高校の時とは違った人間関係を味わうことができた。

「そういえば、田代君、じゅんじゅんと結婚したって知ってた?」

「マジか? 知らんかったわ。予備校で付き合ってたやろ、確か」

 りょうちゃんは目を大きく開けて驚いた。

 俺達が予備校に来て一番に学んだことは勉強は一人でするものではないということだ。勉強自体は一人でするのだが、それ以上にクラスの仲間意識が強かった。全員で受かるぞという協力プレーが俺達のモチベーションを高めた。その中でカップルになった者もいる。

「この間、北予備の近く通ったらさ、村尾先生まだおったよ」

「嘘、あの先生、80歳超えとるやろ、大丈夫なん?」

 特に俺達の絆を強くしたのは講師陣だ。一筋縄でいかない各科目の講師陣を選ぶことに俺達は苦労し絆を深めていった。

 数学は癖があるがあの講師がいい、英語の講師であるあいつの発音はよ過ぎて何といっているか聞き取れない、漢文のハゲ講師は授業が10分で残りの40分はエロ話、脱北をしているのではないかという噂まで流れていた。

 俺達はともかく高校では味わえない、今となっては大学でも味わえなかった濃い人間関係をここでみっちりと堪能したのだ。

「本当に不思議なもんやね。たくちゃんと予備校で会わんかったらここにはおらんかったんやね」

「そうだな」

 俺とりょうちゃんは高校時代にほとんど話していなかったが、医学部コースということで気が合い、様々な話をした。

 彼は小さい頃、耳を悪くしていて手術をして完治したため、小児科の医者になりたいと熱く語っていた。俺は特に理由もなかったが、親が歯医者は儲かるぞといった一言で選んだ。

 俺は二浪目で限界を迎えていた、だがその窮地を救ってくれたのがりょうちゃんなのだ。

 その結果、俺達は三浪目を乗り切り医学部大学に合格した。俺は北海道の歯科大学に、りょうちゃんは福岡の医学部大学に行ったのだ。

 予備校という異空間が俺達を結んだ。今となってはあの体験こそが、俺のターニングポイントだったといえる。

 この蕎麦屋の親父と出会ったのだってそうだ。

「旨いな、親父。やっぱこのうどん、最高だよ」

「そうだろう、黒糖のように味が滲み出ているだろう」親父は自信満々にいった。「何しろコクと旨さが自慢だからな、これがわしの広告塔だ」

 前言を撤回しよう。親父と会ったことは特に俺の人生に影響を与えていない。今ここに彫刻刀があれば俺はそれで削っているだろう。

「ははっ、親父面白いこというね」

 りょうちゃんが笑ってくれた。彼は朗らかでいつも笑顔を絶やさない。彼のおかげでなんとかこの場はこれでおさまりそうだ。

 俺はうどんを啜りながら、携帯電話を取り出した。嫁にメールするためだ。我が家には掟があり、きちんと連絡を取らなければオートロックになってしまうというルールがある。

 俺がフリック入力でメールを送信すると、りょうちゃんが目を丸くしていった。

「たくちゃん、携帯変えたんだ? それがIPHONE?」

 俺は彼のガラケーの携帯を見て納得した。そうだ、彼は忙しさの余りに携帯を変えることもできないのだ。

 彼は緊急子供病院に勤めており、休みは年に6日くらいしかない。最悪、その休みにだって呼び出しをくらうことがあるのだ。まさにガラパゴス諸島に閉じ込められているようなものだ。

「そうなんだ、嫁がうるさくてね、結婚する時もこれに変えろってうるさかったんだよ」

「そうなんや」りょうちゃんは俺の携帯を見て異生物を扱うように触る。「へぇー凄いね、本当に画面を触ったら動くんやね」

「慣れると中々いいぜ、これも」俺はそういって携帯電話の手帳ケースを閉じた。彼に褒められると嬉しい。彼が知らないことはほとんどないからだ。

「そういえば、嫁さんにはどうやってプロポーズ申し込んだの?」

「電話でいったよ。直接は恥ずかしかったからね」

 そういうと、親父が口を挟んできた。

「IPHONEで告白、ってその愛、本当か?」

「……」

 ……親父、溜まってるんだな。

 俺は親父に同情した。きっと広い店になり、客が相手してくれなくなった反動で俺達に絡んでいるのだろう。

 仕方ない、今日くらいは優しくしてやろうじゃないか。

 隣を見ると、りょうちゃんが乾いた笑みを浮かべた。

 さすがに彼でも親父の連続ギャグには苦戦しているようだ。

「親父、時間は大丈夫なの?」

 俺は時計を見ながら尋ねた。すでに閉店時間を超えている。

 そういうと親父は親指を立てた。

「当たり前よ、久しぶりなんだから、後はお前さん達が気のすむまでいてくれ」

「……親父、ありがとう」

 俺は親父に感謝した。この親父、本当にいい人なのである。浪人時代、うどんだけでなく無料でゆでたまごなど食わしてくれていたのだ。

 だが彼が醤油瓶のようなものを掴んでいることに疑問を持った。

「親父、何それ?」

「ああ、これか」親父はきめ顔でいった。「黒酢でクローズってな、どうだ、決まったか」

 ……白けたよ、親父。

 俺は冷たい視線を送ったが、彼は気づかずそのまま釜の中を洗い始めた。まあ無理をいっていさせて貰っているのだから、これ以上いう必要はない。

「たくちゃん、面白いもの持ってきたよ。久しぶりにオセロやらない?」

 そういってりょうちゃんは懐かしい携帯ゲームを取り出した。電子オセロだ。俺達は予備校時代、授業を聞く振りをしてよく隣同士でオセロをよくやったのだ。

 隠れてやる楽しさがまたよかった。俺達の深い友情を思い出す懐かしいアイテムだ。

「いいね、久しぶりにやりたかったんだよ」

 親父にビールをおかわりして、俺達は携帯ゲームに嵌った。今のゲームと比べるとやっぱり劣るが、それでも懐かしさがそれを超える。昔のゲームほど愛着が沸くのはそのためだ。

「面白いね、やっぱゲームはこれだよ」

 今みたいに多機能ではなく、シンプルなものほど面白い。スピードも速く、俺達は選択した90分の授業の中で、何度も繰り広げていたものだ。

「これでどう?」

「やっぱり、りょうちゃんはうまいな」

 そういって俺達はお互いの白と黒の石を引っくり返した。ゲームのマスコットになっているパンダの絵がまた思い出を引き出してくれる。

「やっぱこの白と黒のドットがいいね」

「ああ」

「わしは白の方が好きだけどな、純粋で。何しろ清潔感がある」

「ん?」

 親父を見ると、彼は腕を組んで悩んでいるようだった。

 ……え、何の話をしているんだ、親父。

「あれ、パンツの話じゃないのかい?」

「パンツじゃねえよ!」俺は突っ込んだ。「パンツを引っくり返すゲームってどんなのだよ」

「ほら、スカートめくりみたいな」

「そんなゲーム、予備校でするかよ、確実に病んでるよ」

 俺は再び突っ込んだ。いい年して何いってんだよ、といってやりたかったが、ここで熱くなっても仕方ない。

「親父さん、ほら」りょうちゃんが親父に丁寧に説明し出した。やはり彼みたいに穏やかな人間なら対応できるのだろう。「パンダがマスコットで白と黒のオセロゲーム、可愛いやろ?」

「まあ、そりゃパンダは白黒が一般だな」

「……」

 りょうちゃんを見ると、彼の顔は笑っていなかった。15年一緒にいるが、彼がこんな表情をしているのを未だかつて見たことがない。

 ……親父、頼むよ。こんな楽しい時間中々ないんだからさ。

 俺は心の中で呟き、再び話題を変えることにした。

「そういえば、りょうちゃん知ってる? 今、北予備でもテレビ授業するみたいだよ。俺達の頃はなかったじゃない」

「そうなんや」りょうちゃんの顔にぱっと笑顔が咲く。やはり彼には余裕がある表情が似合う。「黒板でやる授業がよかったのにね。そういえば、よくおならする先生がいたじゃないか、漢文の」

「ああ。あのはげた中国人ね……」

 俺が彼の名前を思い出そうとしていると、親父が再び口を開いた。まさか親父、またなのか?

「おいおい、黒板の授業で屁をこく番ってか?」

「……」

 ……こらえよう、今がその時だ。

 俺はぐっと歯茎をかみ締めた。俺の口には今、マウスピースが入っているのだ。俺は何も聞いていないし、何も感じていない。

 俺は今、歯科医院の中にいる。そう思うしかない。

「面白いな、その先生。テレビの授業は黒板の復刻版ってか!?」

「そういえば、たくちゃん、今日早かったね。お客さん少なかったの?」

「……あ? あ、ああ」

 ……りょうちゃんが親父を無視している。

 俺は今の現実を受け入れられないでいた。彼が人のいうことを無視する所なんて見たことないし、見たくなかった。子供病院でも泣く子を宥め、きちんとしたお医者さんとして使命を全うするりょうちゃんがだ。

「りょうちゃんは今日休みだったの?」

「昨日手術だったんだ。俺の上司がいなくてね、急遽俺が執刀することになってさ」

 ……まずい。

 俺は再び歯を食いしばった。彼は餌を撒きすぎた。ここには飢えたハイエナがいるのだ。これは絶対にくる!

「そうか、中越、大変だったんだな……」親父はすっと息を吸い込んだ。「薄情な上司だねぇ、まったく。どこにいってんだか白状させたかい? 全く、中越の執刀に嫉妬しちまうよ」

「……」

 ……親父、それ以上はまずい、非常にまずいぞ。

 俺は歯を食いしばったまま、りょうちゃんを見た。今、紙とペンがあったら彼に脅迫状を叩き付けたい気分だ。

「……たくちゃん、そういえば子供ができたんだよね」りょうちゃんは何でもないかのように包装された箱を取り出した。「はい、プレゼント。奥さん、喜んでくれたらいいな」

「あ? あ、ああ、ありがとう」

 両手でプレゼントを受け取る。きっと彼はこのタイミングで渡したくなかっただろう。彼の震える手がそういっている。

 だがこの機会を逃したら店を出る時しかない。彼にはそんな時間がないのだ。

「ありがとう。次はりょうちゃんが結婚する番だね」

「どうかな?」

「俺はりょうちゃんに幸せになって欲しいんだ」

 俺はひそかに彼の誕生日にプレンゼントするものを決めている。それはゼクシィだ。あの分厚い情報誌を郵便パックで送ることを決めている。

 りょうちゃんも彼女と付き合っていて長いが、結婚に踏み出せないでいる。

 それはひとえに仕事で帰ることができないからだ。彼のように小児科の医者は少なく若いうちはひたすらに扱き使われる。県所有の病院勤めなのに、まさにブラック企業なのだ。

 俺のように歯医者を開業したホワイト企業勤めではない。俺は毎週2日、確実に休んでいる。

 だからこそ彼を応援したいと思う。世の中、正しいことをしている人間が馬鹿を見てはいけない。

「応援してるよ、俺は。予備校で再び出会ってよかったと思えてる」

「……ありがとう、たくちゃん。俺もそう思っとるよ」

 俺達は腕を酌み交わし、お互いの友情を再び結び直した。

 俺達の友情は不滅だ、白と黒の太極図にあるように彼が辛い時は俺が支えよう。今度は俺の番だ。

 予備校時代の借りを今から返すよ、りょうちゃん――。

 しょんぼりしている親父を見て、可哀想に思った。やはり親父が喋らないのは味気ない。

「親父も子供いたよね? なんて名前だったっけ?」

 俺が優しく尋ねると、親父はしょんぼりしながらいった。

「ああ、舞っていう女の子だ……」

「そうなんだ、舞ちゃんか」

「親父、娘がおったんやね。知らんかったわ」りょうちゃんがフォローするように笑顔で答えた。

 さすが、りょうちゃん。子供の話には食いついてくれると思ったぜ。もっと親父の機嫌をとってくれ。

「親父の子っていったら、もう結構年いっとるんやないん?」

「ああ、そうなんだ」親父は急に自信を取り戻したように早口で話し始めた。「最近は店を手伝いにきてくれるんだが、掃除が下手でね。箒の扱いもできないで……参ってるよ」

 ……ああ、親父。

 俺は哀愁を込めて親父を見つめた。ついに彼は原爆のボタンを押してしまったのだ。

 りょうちゃんを見ると、体が震えていた。これはマジでまずいことになりそうだ。

 彼が切れた所を生まれて初めて見ることになるかもしれない。

「……親父さん」りょうちゃんが強くいった。凄いプレッシャーを感じる。こんなプッツンしているりょうちゃんを見たことはない。

 神様、仏様、中越様と呼ばれたりょうちゃんが阿修羅の顔になっているのだ。これはもうどうすることもできない。

「……白米をちょうだい」

 ……ん? どうしたりょうちゃん?

 俺は意味がわからず放心状態になった。頭に血が昇り過ぎて、おかしくなったのか。夜勤明けに親父のギャグは堪えたのだろう。可哀想に。

「ないよ、中越。もう米なんて残ってないよ」親父は恐れながらも首を振った。

 だがりょうちゃんも黙っていない。すでに彼を止める術はないのだ。

「白米だよ、はくまい」

 ……本当にどうしたんだ、りょうちゃん?

 俺は怖くなって彼を見た。こんなに狂気に染まった彼を見たことはない。しかも白米を連呼している。全くもって意味がわからない。

 だがりょうちゃんは冷静に俺の肩に合図を送ってくる。何か意味があるのだろうか。

 ……そういうことか、りょうちゃん。

 俺は彼の意図がわかって乗っかることにした。ダメ押しに一言いってやろうではないか。白黒つけてくれよ、親父!

「しらける前に頼むぜ、親父。じゃないとこの大黒ばシラ、ケルよ」

「何をいってるんだ、安正まで」

「いいから、早くシロ!」

「へいっ」

 親父はそういって慌てて何かを探し出した。娘の写真だ。それを右手に写真を持って、左手に箒を持った。

「これで勘弁してくれよ、お前さん達」

 俺は親父の姿を見て噴き出した。いい年した親父が箒と写真を持ってべそをかいているのだ。

「何だよ、それ」俺は笑いながら突っ込んだ。「掃く舞ってか」

「つまんないよ、親父さん」

 りょうちゃんもそういって腹を抱えている。

 だが彼がそれを狙っていたことはわかっている。親父のセリフから即興で演じたのだろう。

 やっぱり、りょうちゃんは優しくて頭がいいお医者さんだ――。

「そんなこといって笑ってるじゃないか、お前さん達」

 親父もギャグが受けたようで安心し笑い始めた。

 俺達は大声で笑い合った。やっぱりこの空間は最高だ、この時間こそが俺の青春なのだと改めて思う。

 15年の年月を感じさせない楽しいひと時に、俺は止まっていた三年間に感謝した。

 

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 


読んで頂いてありがとうございます。

また、会えることを願って。

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