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Fourth Flowar  作者: 琥珀
2/5

三男の秘密

~智~

「今日もいい天気ですねェ~。」

こういう日は、勉強がはかどります。

「智兄。朝ご飯出来たよ~。」

「はい、分かりました。ねェ~要。」

「何。」

「あれから2年ですか。早いものですね時がつのは。」

あれから2年。

長いようで短かったですねェ~。

「今年も行くの?若葉姉の墓参り。」

「え~。要も一緒にどうですか?」

「僕はいいよ。用事あるし智兄も若葉姉に1人で

話したいこともあるでしょう。」

何でもおみとうしってことですか。

相変わらず要にはかなわないなぁ~。

毎年この時期になると、いまいましいあの日のことを思い出します。

あの出来事はもともと僕の原因です。

若葉とは、実の兄弟でわありませんでした。

いつも明るく元気な若葉のことが僕は好きでした。

もちろん兄弟と言うわけではなく異性として。

毎日、何の変わりげなく幸せに過ごしていました。

あの日が来るまでは…。

あの日は、今日みたいにいい天気の日でした。

あの日は、僕のサッカーの試合で若葉もみんなも

応援してくれていました。

家を出てわずか十分後。

僕は、タオルを忘れたことを思い出し急いで家に

戻ろうとしました。

信号を渡ろうとした時。

急に車が僕に突っ込んできたのです。

そのれを見ていていた若葉は、僕をかばって…。

そのとき僕は目を疑いました。

どうしてあそこに若葉がいたのか僕は、若葉の手元を

見て分かりました。

若葉は、僕の忘れたタオルを届けるためにそこに

いたのだと。

その日の試合は、

全国大会決勝で若葉も僕も楽しみにしていました。

結局、その試合は5-0の惨敗。

僕はその時、自分自身を恨みました。

僕のサッカー人生をなにより若葉を奪った僕自身を。

どうしてあのとき僕はタオルを忘れてしまったのか

今でも僕はそのことを責める続けています。

もともと僕がタオルを忘れていなければ

この事故は起こらなかったのですから。

あれから2年。

僕の受けた傷は癒えていません。

この事故の原因については誰にも話していません。

まぁ~ 要はきずいているようですが。

これが思い出したくない僕の過去。

「智兄っ。さっきから呼んでんだけど。」

「なんですか。要。」

「墓参り1人じゃ行きにくいんだったら早乙女さんといけばいいじゃん。」

早乙女さん、ですか…。

「そうですね。誘っておきます。」

「おはようございます。」

「ちょうどいいところに。早乙女さん、今日ちょっと僕に

 付き合ってくれませんか?」

「えっ!わたしなんかでいいんですか?」

「はい。もちろんです。」

そして僕らは、若葉の墓参りに行きました。

「七瀬先輩。何かあったんですか?」

えっ!

僕は驚きました。

今まで僕に何かがあった時、気づいてくれる人なんて、

要ぐらいしかいなかったから。

海斗兄さんや夏陽兄さんですらわからなかったのに

なぜ早乙女さんは…。

「なんでそうおもいになったんですか。」

「今の七瀬先輩、なんか悲しそうな顔をしているので。」

まさかこの僕が、赤の他人に心を見抜かれるなんて。

早乙女さん。あなたはつくづく面白い人ですね。

始めてあった時もまるで僕の心を読んでいたかのように

あなたは僕に語りかけて僕を救ってくれたのですよ。

あなたは覚えていないかもしれませんが、あなたと僕は、

2年前のあの日にあっているんですよ。

あの時のあなたの言葉が僕のせめてもの救いになったんです。

あなたはあの日、僕に、こういったんです。

『彼女は自分のせいで死んだんだと思っているのならあなたは彼女の

分も生きなきゃだめですよ。

それがあなたにできる彼女へできる最高の償いだとあたしは思います。』

この時から僕は、早乙女夏姫という少女に

惹かれていたのかもしれません。


~夏姫~

きになる。七瀬先輩のあの顔。

いったい何が?

「何考えててたの。」

「かっ。じゃなかった。七瀬君!」

「もういいにくいなら要でいいよ。」

えっ!

いっ 今なんて?

「智兄のこと考えるのは自由だけど、智兄に直接聞くのは

やめといたほうがいいよ。」

どうして?

聞かない方がいいの?

先輩が苦しんでいるかもしれないのに。

「なんで?要君。」

「なんでって、別に襲われたいならいいけど。」

襲う!?

あの七瀬先輩が。

上の2人ならともかくあの七瀬先輩が人を襲うはず。

またまた要君、変な冗談を。

そう思い要君の顔を見ると真剣な目をしていた。

「七瀬先輩がそんなことするはず…。」

「あるよ。智兄はね。眼鏡を取ると、

 眼鏡を取った智兄は海兄よりやばよ。」

要君の顔は全く冗談ぽい顔ではなくとても真剣な顔だった。

要君にあんなこと言われたけどやっぱ気になる。

怖いけど聞いてみるしかない。

コンッ コンッ

「七瀬先輩いますか?キャッ。」

「人の部屋まで一人で来たってことは、俺とするために来たんだよなぁ~。

 違うって言ってももう遅いぜ。」

誰、この人?

俺!? 顔は七瀬先輩(智)なのに性格が全然違う。

いつもは優しいオーラをまとっているなのに

今の七瀬先輩は怖い。

「何考えてんだ。お前。なんか考えてる暇があるなら

今の自分の格好を見てた方がいいと思うぜ。」

そういうと七瀬先輩はわたしにキスを落とした。

「あなたはいったいだれですか?」

いつもの七瀬先輩ならこんなことしない。

こんなのわたしのしてるわたしの好きな七瀬先輩じゃない。

「そんなに知りたいなら教えてやるよ俺のこと。

 俺は七瀬悟、七瀬智のもう一つの人格だ。心に闇だけを潜めたな~。

 この人格のことはバカ兄貴たちは知らないだろうがな。」

もう一つの人格?

いったい七瀬先輩に何があったの?

どうしてもう一つの人格なんか。

「もういいだろ。さっさと続きやろうぜ。」

いやっ!

でもこのままじゃ…。

ガラ~。

誰かがはいってくる助けてもらいたいけど来てほしくない。

「智兄!」

部屋に入ってきたのは要君だった。

要君はわたしと七瀬先輩を見るとはなぜだか分からないけど

七瀬先輩に猫を放り投げていた。

そして七瀬先輩を見てみると気絶していた。

「ありがとう要君。助けてくれて。」

「だから言ったでしょ。行かない方がい言って。

まぁ~ 一応大丈夫だったしいいかっ。」

「要君はなんで先輩のことしってたの?先輩は誰も知らないって。」

「なんとなく感づいただけ。」

感かぁ~。

すごいな要君の感。

「一つ頼みがあるんだけど。」

「何?」

「智兄のこと、智兄本人にはいわないであげてこれ以上智兄に

 苦しんでほしくないから。」

要君?

言ってる意味がよくわかんないよ。

七瀬先輩が苦しむってどういうこと。

「いいよ。でもそのかわりに七瀬先輩の過去に

 いったい何があったのか教えて。」

「駆け引きってやつ?まぁ~いっか。じゃ~教えてあげるよ。

 もともと智兄は今みたいに優しくなかったんだ。

 どちらかというと海兄みたいな乱暴的な性格だったんだよ。」

え~!

うっそ~!

あっ、あの優しい七瀬先輩が~。

よりにもよってあの女とやりまくりのエロ生徒会長に。

「智兄は、2年前、好きな人をうしなったんだ。しかも智兄は

 死んだのは自分のせいだと思い込んでいるんだ。殺したのは

 自分だと今でも思い込んでいてその責任を背負っている

 それから智兄は眼鏡を外すともう一つの人格七瀬悟になるようになったんだ。」

そんなのって好きな人を失うなんて…。

そんなのってひどすぎるよ。

「後、何か僕が智兄に猫投げてたの不思議そうに見てたけどあれは

 智兄が猫アレルギーだから投げた。ただそれだけだから。」

「えっ!なんで今そんなこと。」

「意外そうな顔してたでしょ。」

「そりゃ~。するでしょ。急に猫ほうり投げるんだから。」

「とにかくこのことは智兄には黙ってて。今、智兄があんたを

 襲ったってしったら智兄はまた傷つくことになるから。」

要君って思ってたよ優しいんだ~。

いつも自分以外の人は寄せ付けないって感じなのに。

「ただいまァ~。」

「じゃ~。さっきのことは夏陽兄にも海兄にも内緒にしててね。」

「うっ うん。」

これってわたしちと要君、2人の秘密だよねェ~。

わたしの顔はだんだん赤くなる。

たいした秘密でもないのになんだかうれしい。

「アレっ。智は。」

「今 寝てるけど。」

「智~。早く飯にしよ~ぜ。」

「はぁっ!?」

この声。

もしかして!要君。

わたしは要君の目をみた。

要君は急いで七瀬先輩を止めようとした。

「智兄落ちつて。」

「いったいどうなってんだ。」

「要君、説明しといたほうが。」

これ以上黙っててもわたしたちだけでなんとかするのは難しい。

「海兄、これから話すことは絶対に智兄には言わないでね。」

「あぁ~。言わねェ~よ。」

要君は七瀬先輩の別人格について話し出した。

でもわたしが襲われかけたことは何一言も言わなかった。



「う~ん。」

「やっと起きましたか先輩。」

「早乙女さん。なぜ。」

「先輩、急に倒れたんでわたし心配しました。」

嘘ついちゃった。

わたし初めて人に嘘を。

「早乙女さん。嘘をつかなくてもいいですよ。

 僕も薄々きずいてましたから。たまに自分がしたことを

 覚えてないことがあったので。」

「そうなんですか。」

「早乙女さんありがとうございます。あなたのおかげで僕は自分を解放できました。」

わたしはなにもお礼言われることなんてなにも

「早乙女さんもう心配しないでください。僕はあの事故のことは

 もう立ち直れました。あなたのおかげで。」

初めてみた。

七瀬先輩の本当の笑顔。

七瀬先輩って笑うとこんなにかっこいいんだ。

「あの一つお願いがあるのですが。」

「はい。なんですか?何でも言って下さい。」

「僕の呼び方の事なんですが。えっとその~。七瀬先輩だと

 夏陽兄さんや海斗兄さん、誰を呼んでいるのか分からなくなるので、

 僕を七瀬先輩ではなくなるべく名前のほうで呼んでもらいたいのですが。

 では、僕はこれで。」

ドキッ!

名前ってことは、智先輩って呼ぶってことだよね。

何。わたしってばまだドキドキしてる。

だけどすごく嬉しい。

「分かりました。じゃ~、智先輩もわたしのこと夏姫って呼んでください。」

わたしはそういってその場を去った。


「へ~。早乙女さんと智っていつの間にそんな関係になったの~?

 俺も夏陽先輩って呼んでもらいたいな~。いっそのこと呼び捨てでもいいけど。」

そこにいたのはなんと七瀬先輩(夏陽)!

いっ いつの間に。

「いつの間に帰ってきてたんですか?」

「えっとね~。早乙女さんと智がいい感じになってたとこ

 くらいからかな~。そんなことより、俺のこと夏陽って呼んでくれない?」

「呼び捨ては無理です。でも夏陽先輩なら。」

「え~。なんで~別にいいじゃん。夏陽って呼んでよ~。

 ま~いいか夏陽先輩で。」

このチャライところが無かったら

普通に素敵なイケメンなんだけど。

「七瀬じゃなかった。夏陽先輩は、いつもこんな時間まで何してんですか?」

「何?早乙女ちゃん俺のことそんなにしりたいの。知りたいならいつでも

 僕のベッドで聞かせてあげるから。なんなら今から来る。」

「けっ、結構です。わたしから夏陽先輩にお願いがあるんですけど。」

「何?寝てほしいとか。さっき断ったのに。」

また夏陽先輩は、なんでいつもそういうことしか思いつかないんでしょうか。

「違います。わたしのこと早乙女さんではなく

夏姫って呼んでください。名字で呼ばれるとなんか

違和感があるので。」

「つまり夏姫ちゃんは俺とやる前に俺との距離を

 縮めたいとそういうことかな~。」

もう夏陽先輩。

わたしの怒りのバロメーターがMAX寸前なんですけど。

わたし夏陽先輩を殴っていいですか。

怒っていいですか?

「冗談だよ。」

「冗談に聞こえません。ほかの3人にもいっといて下さい。」

「う~ん。俺的には夏姫ちゃんが自分で言った方が、いいと思うよ。

 じゃ~俺はこれで。」

そんな~。

夏陽先輩のケチ~。

そんなことを心の中で叫んでいるわたしすると次の瞬間。

「夏姫ちゃん危ない。」

ドキッ! ドキッ!

えっ!

なにこの体勢これじゃまるで…。

わたし今夏陽先輩に押し倒されている?

「大丈夫だった?夏姫ちゃん。びっくりしたよ急に花瓶が

 夏姫ちゃんの方向いて落下してたんだから。

 まァ~、無事みたいで何よりだけど。」

「えっ!もしかして夏陽先輩わたしのことかばってくれたんですか。」

「もちろん。可愛い子にけがされたら俺が困るからねェ~。」

びっくりした~。

まさかあの夏陽先輩がわたしをかばってくれるなんて。

「なっ、夏陽先輩!背中怪我してるじゃないですか。」

「あ~。本当だ。」

「『本当だ~。』じゃありません!治療しますから上半身脱いでください。」

「だいじょうぶだって。」

「いいから黙ってて下さい。」


~夏陽~

「いいから黙ってて下さい。」

夏姫ちゃんって変ってるね。

「夏姫ちゃん案外強引だね。」

「怒りますよ。」

本当に変わってる。

俺なんかのために治療までするなんて

今までの女なんて俺が怪我しても何もお構いなしで

おれの中身じゃなく外見だけを見ているのに

夏姫ちゃんは…。

「夏陽先輩。終わりました。」

「ありがとう夏姫ちゃん。お礼に今度お茶でも。」

「結構です。もとわと言えば私のせいですし。

 あとお礼を言うのは私の方です。夏陽先輩ありがとう

 ございました。」

ドキッ!

なんでだ。

今までこんなこと女の子の笑顔で俺がドキドキするなんて。

「案外に魔性の女だね~。あの子。」

「要。いつからそこに。」

「どうでもいいでしょ。

 そんなことより夏陽兄もあの子に惚れたでしょ。」

「あ~。さてどうやって夏姫ちゃんを落とそうかな。」

ギクッ。

ってか『夏陽兄も』ってなんだよ。も って。

「夏陽兄らしいね。でも夏陽兄が今思っていることはそんなことじゃないよね。」

要。お前は、エスパーか?

「あの子なら自分の悩みを智兄みたいに何とか

 してくれるっておもったんでしょ。」

悩み っか。

そうだな夏姫ちゃんなら何とかしてくれるそんな気が

なんとなくしてくるんだよね。

「要いつから知ってた俺のこと。」

「さぁ~。いつからだろうね。」


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