4
「……という訳なんです」
まだ朝早い学校の屋上には誰もいなかった。
私には都合が良かったわけで、エヒロちゃんに昨日のことを話した。
オカルト大好きなエヒロちゃんのことだろう。ちらっと目をやれば案の定目をキラキラとさせていた。
「これよ、これっ。ミステリーサークル探したりUFOの研究したり……。そんなのより私はこういうのを求めていた! よろしくね、カルガイ!」
うわ~テンション上がりまくり。
「おうっよろしくな、エヒロ!ほらオマエもエヒロを見習ってやる気出せよ」
こいつ味方ができたと思って調子に乗りやがって……。
「とりあえず咲さんに話聞きに行こうと思ってたの。買い付けに行ったの咲さんだしなんか詳しいこと知ってるかな~って思って。なのにコイツ勝手についてきやがって……」
カルガイはあははと笑ってごまかした。
「放課後にしか行けないのにどうするのよ、まったく……」
当面の問題は授業中カルガイをどうするのかだ。鞄に入れてたらさっきみたいに誰かに見つかるかもしれない。だから家で待ってろって言ったのに……。
「んじゃーオカ研の部室にいれば?」
エヒロちゃんの声に私達は顔を上げた。
「色々そのテの資料あるし私らが授業中調べておいてもらったらいいじゃない」
「いや、でも放課後とか人来ない?」
「今日はUFOが目撃されたとこにみんなで行く予定だったから大丈夫。休み時間はいつも人来ないし」
さすがオカ研……。
結局カルガイには放課後までオカルト研究部の部室にいてもらうことになった。今度は絶対部屋から出ないことを誓わせて。
放課後、私とエヒロちゃんはオカ研の部室に向かった。授業中すっごくカルガイのことが気になったけど、騒ぎにはなってないみたいだしちゃんと約束を守ったのだろう。
「エヒロちゃん、そういえば朝アイツに何か調べとけばって言ったけど参考になりそうなものってあるの?」
カルガイは魔法がどうのこうのって言ってた。やっぱり“オカルト研究”だからその手の資料があるのだろうか。
「うーんいや、話を聞く限りではなさそう。一応全部覚えてるけど。でもカルガイが見たら何か違うかもしれないから」
全部覚えてるって……。今朝初めてあの部室入ったけど壁一面の本棚だったよ?
私達は部室のドアを開けた。
「おっそい!!」
その言葉と同時に私のおでこに何か当たった。
「待ちくたびれたじゃないか! 腹も減った!!」
マシンガントークしてくる小さい物体はやはりカルガイだった。
「痛いじゃないの! それに私の弁当あげたでしょ!?」
朝お腹が空いたとか言うから私の弁当を置いていったのだ。この小さい体のどこにあれだけ入るんだか……。
「それで何か参考になりそうなものあった?」
マシンガントークしてる二人を横目にエヒロちゃんはドアを閉めながら言った。
「それがめぼしいものはなかった。せっかく資料を見せてもらったのにすまんな」
「やっぱり無かったか。じゃあルイ、どうする?」
当初の予定どおり咲さんのお店に行くことにした。




