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誰かの声がする。
言い争ってる声?
片方は聞いたことがあるような……。
「裏切る気かよ! ルキツ!!」
そこで目が覚めた。
「お、起きたかルイ」
あーそうか、こんなヤツがいたんだっけ、と私はまだ覚めきれない頭で考えた。
夢じゃなかったんだなぁ。そういえば何か夢を見てたような……?
「それでルイ、どうするんだ? 早速何か手がかりでも探しに行くか?」
あぁ昨日あのまま寝ちゃったから言いそびれてたんだ。
「あーごめん。悪いけど私学校あるから」
「えー!? 手伝うって言ったじゃないか!」
「ごめんごめん。帰ってきたらちゃんと行くから。あ、てか家族に見つかったら面倒だから絶対部屋から出ないでよ!?」
まだカルガイはブツブツ言ってたけど私はそのまま置いて家を出た。
ザクザクと落ち葉を踏み鳴らし学校へ向かう。
何だか信じられないような話だがあっさり受け入れられている自分にビックリする。
咲さんのお店に行くまではこんなことになるとは思わなかったなぁ。
「おっはよ、ルイ!」
長い黒髪の少女が声をかけた。
「あっおはようエヒロちゃん」
里中依尋ちゃんは高校に入ってからの友達だけどすごく気の合う子だ。
だけど……。
「ねぇねぇ昨日お店行ったんでしょ? 何かいわく付きのものとかなかった?」
嬉々して聞いてくるエヒロちゃんは正真正銘のオカルトマニアだ。
「あー私も昨日部活なければ行ったのに!」
彼女はもちろんオカルト研究部です。
私はちょっと躊躇った。
あの小人のことを話していいものか……。
「あーうん、何かイギリスまで行ったらしいんだけど……」
「イギリスと言ったらコービーだよね! 出る物件結構あるらしいよ!!」
うわぁマニアック。
うーんやっぱり言っといた方がいいかな?
そっち方面には詳しいだろうし……。
「で、ソレはどしたの?」
ん? エヒロちゃんの視線と指差す先は私のかばんで。
…………!?
なんでお前がここにいる!? カルガイ!!
「よっ! エヒロってこいつのことだったんだな」
なっ、ちょっ……家に置いてきたはずなのに!!
「うっわー本物? 小人初めて見た!」
エヒロちゃん順応早ーい。
じゃなくて!!
私はカルガイをかばんに突っ込み、親友の手を引っ付かんでダッシュした。




