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そりゃあ誰だっていきなり人形が動き出したらビビるよね。ていうかホラー? エヒロちゃんと違って私は現実主義だったのにな。
でも……。
「やいこらっテメーなに人を勝手に封印してんだよ!? 実験か? 実験なのか? それならそうと先に言えっつの!!」
ここまで一方的に、しかも手の平サイズの人形に言われても全然恐くない。ていうか腹たってきた。
人形はまだマシンガントークしている。
「ていうかアンタ誰よ?」
その瞬間人形はピタっと止まってまじまじと私の顔を見てきた。
「ルキツじゃない……?」
「おしいヌキツ」
「ていうか女か!?」
次の瞬間私はハエ叩き宜しく人形を叩き落としていた。
「あ、起きた?」
一応ね、放り出す訳にもいかないから私のベッドに寝かせておいたのよ。見てくれは綺麗だしね。
「それでアンタ何者よ?」
まだ人形はボンヤリしてるけど、話が始まらないからそう聞いた。だがやつは飛び上がってふんぞり返って言った。
「オレは崇高なる巨人族の生き残り、カルガイだ!!」
「小人じゃなくて?」
あ、コケた。
「ちっがーう! 元々言えばオマエが……いやルキツが!!」
ルキツ?
「オマエほんとにルキツじゃないのか……? ほんとにそっくりだな。あのな、オレは元々巨人だったんだ。それをルキツのヤローが魔法でこんな姿に変えたんだよ。」
ホラーと思ったらファンタジーでしたか。
「っていうかオマエ驚かないのな」
「そりゃあまぁファンタジーな友達がいるからね」
「ファンタジーって……」
「とにかく! オマエからは何だかルキツの気配がする。オマエ名前は?」
「貫津類だけど?」
「名前まで似てるな……」
そう言うとカルガイはビシっと私を指差してこう言った。
「オレを元の姿に戻せ!!」
はい?
「いや無理だって」
カルガイはまたずっこけた。
「なんで!? オマエも魔法使えるんだろ!?」
「いや使えないし。ていうかルキツって誰?」
カルガイは目に見えて落胆している。
「いや……でもあの瓶を開けたんだろ?あれには封印がしてあったんだ。開けれたって事は多少なりとも魔法を使う素質があるはずだ。お願いだ、オレを助けてくれ!」
正直訳が分かんない。いきなり小人やら巨人やら魔法やら言われても意味不明だし。でも……。
あんまりにもこの小人が必死だったから。
「いいよ」
私はそう言っていた。
「い、いいのか……?」
顔を上げた小人はやっぱり綺麗な顔で。
「うん。正直訳分かんないけどよろしく、カルガイ」
「よろしく頼む! ルイ!!」
私の人差し指とカルガイの小さな手で握手を交わした。
「それにしても小さいところまでルキツとそっくりだな!」
本日二発目のハエ叩きが炸裂していた。




