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小さな巨人 カルガイの足跡  作者: 安芸咲良


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2

 そりゃあ誰だっていきなり人形が動き出したらビビるよね。ていうかホラー? エヒロちゃんと違って私は現実主義だったのにな。

 でも……。

「やいこらっテメーなに人を勝手に封印してんだよ!? 実験か? 実験なのか? それならそうと先に言えっつの!!」

 ここまで一方的に、しかも手の平サイズの人形に言われても全然恐くない。ていうか腹たってきた。

 人形はまだマシンガントークしている。

「ていうかアンタ誰よ?」

 その瞬間人形はピタっと止まってまじまじと私の顔を見てきた。

「ルキツじゃない……?」

「おしいヌキツ」

「ていうか女か!?」

 次の瞬間私はハエ叩き宜しく人形を叩き落としていた。


「あ、起きた?」

 一応ね、放り出す訳にもいかないから私のベッドに寝かせておいたのよ。見てくれは綺麗だしね。

「それでアンタ何者よ?」

 まだ人形はボンヤリしてるけど、話が始まらないからそう聞いた。だがやつは飛び上がってふんぞり返って言った。

「オレは崇高なる巨人族の生き残り、カルガイだ!!」

「小人じゃなくて?」

 あ、コケた。

「ちっがーう! 元々言えばオマエが……いやルキツが!!」

 ルキツ?


「オマエほんとにルキツじゃないのか……? ほんとにそっくりだな。あのな、オレは元々巨人だったんだ。それをルキツのヤローが魔法でこんな姿に変えたんだよ。」

ホラーと思ったらファンタジーでしたか。

「っていうかオマエ驚かないのな」

「そりゃあまぁファンタジーな友達がいるからね」

「ファンタジーって……」


「とにかく! オマエからは何だかルキツの気配がする。オマエ名前は?」

「貫津類だけど?」

「名前まで似てるな……」

 そう言うとカルガイはビシっと私を指差してこう言った。

「オレを元の姿に戻せ!!」

 はい?


「いや無理だって」

 カルガイはまたずっこけた。

「なんで!? オマエも魔法使えるんだろ!?」

「いや使えないし。ていうかルキツって誰?」

 カルガイは目に見えて落胆している。

「いや……でもあの瓶を開けたんだろ?あれには封印がしてあったんだ。開けれたって事は多少なりとも魔法を使う素質があるはずだ。お願いだ、オレを助けてくれ!」


 正直訳が分かんない。いきなり小人やら巨人やら魔法やら言われても意味不明だし。でも……。

 あんまりにもこの小人が必死だったから。


「いいよ」


 私はそう言っていた。


「い、いいのか……?」

 顔を上げた小人はやっぱり綺麗な顔で。

「うん。正直訳分かんないけどよろしく、カルガイ」

「よろしく頼む! ルイ!!」

 私の人差し指とカルガイの小さな手で握手を交わした。


「それにしても小さいところまでルキツとそっくりだな!」

 本日二発目のハエ叩きが炸裂していた。

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