適星間距離
少し短いです。
さて、この物語は遠い遠い昔のこと。人も動物も生き物と言えるものがいなかった頃の地球と太陽のお話。
今となっては1億5000万㎞なんて途方もない距離にあり太陽と地球ですが、遠い昔はもっと、もっと近いところにいました。人に例えるなら手を伸ばせば届きそうなくらい、近くに。
太陽から降り注ぐ暖かい空気を浴びながらくるくると自由気ままに回っていた地球。なにをするわけでもなくただ、くるくると自由に。
お互いがなにかをしあうわけでもなく、手を伸ばせば届きそうな距離で回り続けた。でもそんなある日、太陽の熱を浴び続けていた地球の色が変わってきました。
真っ青だった地球が、徐々に赤く、赤く染まっていきました。
海もどんどん熱くなって蒸発していって少しずつ、少しずつその量を減らしていきました。
その様子を見ていた太陽は少しずつ、地球から離れて行きました。それでも地球は赤く染まったままで、少しずつ壊れて行きました。
太陽は地球が壊れてしまわない距離までどんどん離れて行きました。それでも太陽は地球に最低限のぬくもりを届け続けました。
近くにいなくなって凍えてしまわないように。近すぎて壊してしまわないように。
そうしてついに地球を壊さない遠いとこまで来ました。
はるか遠く、1億5000万㎞。
地球はもとの青い色に戻って、干上がってしまった海も元通りになっていきました。ただ、いつもはあったぬくもりがほとんどなくなってしまったこと以外は。ほんのわずかにしか感じ取れなくなったいつものぬくもりはものすごく遠いところに行ってしまいました。
かすかにしか感じられなくなったのに、互いにとって1億5000万㎞という距離は傷つけあわない最適な距離でした。
それは今でも同じです。
そして、その距離がお互いにとってももっとも適した距離。それ以上離れたら地球は凍えて氷の塊になるでしょう。逆に近づいてしまえば太陽の熱に焼かれてみるも無残な姿になるでしょう。
これは遠い遠い物語。人も動物も生き物と言えるものがいなかった頃の、地球と太陽のお話。
はい、初の童話です。
これの元ネタは中学の頃の家庭科で、絵本を作るってなったときに作った話です。実際にいまの距離感を崩すと地球は本当に凍結してしまうとかなんとか。