黒鬼 2
気合入れたはいいが技はあと一回が限界だな…
奴も馬鹿じゃねえ、首は死守してくるだろう。
イチかバチかだ、勝ち目はこれしかねぇ!
「死ぬ気で受けろや黒鬼!!」
『獅子剣!』
「!!!」
ニザによって強化されたとはいえ、元はゴブリンである黒鬼。
戦闘経験においてレオとは天と地ほどの差がある。
故に横薙ぎの一閃のみを警戒した、フェイントが決まる。
その差が明暗を分けた。黒鬼は反射的に頭を守る動きを取る。
「『獅子剣 暁闇!!』、燃えろォ!!!」
「ガアアアアアア!!!!」
レオの突きが黒鬼の心臓を貫き、剣は炎を纏う。
首を深く切られた上に心臓を燃やされた黒鬼は絶命する。
「お前ら後は頼んだぜ…」
体力の限界を迎えたレオはその場に倒れこむ。
一方ノア達は膠着状態になっていた。
黒鬼の体が二人の想像を超えて魔法に強く、二人では火力が足りない。
それでも異能に目覚めたばかりのルークが、リーダーのレオが3人を信じて託したのだ。
倒さないわけにはいかない。
「レオもルークも治療が必要だ、我らが長引かせるわけにはいかぬ!」
「分かっているわ、出し惜しみはなしよ!」
『融合魔術 鳴神舞!』
ドガアアアアアアアアアアアアン!!!!!
今の二人が行える最高の魔術が決まった。
しかし肉が焦げ付いた嫌な臭いとともに黒鬼が姿を現す。
黒鬼の余裕がなくなっているが決して楽観できる状況ではない。
「そんな…!もう私の魔力は底をつきそうですのに…!」
「まずいな、このままでは打つ手がなくなってしまう。」
我の攻撃は他者の魔術があって初めて成立する。
故に魔術を使わない相手とは相性が悪い。
ノアの魔力はもう尽きる、我一人で仕留めるのは難しいだろう。
だが、勝機はある。また二人に頼ることになってしまうがイザベラのバフを解除、二人が戦線に戻ることを期待するしかない。
「イザベラ!!我のバフを解いて二人を治してくれ!」
「! マークはどうするの?」
「二人が戻るまで、我が黒鬼を抑える。任せろ、我はタンクなんだ。」
「分かった。死なないで。」
情けないことだ、死力を尽くして戦った仲間を再び戦わせようとしているのだから。
せめてイザベラが治療に専念できるよう、ノアに攻撃の矛先が向かぬよう捌ききって見えよう。
我の死地はここかもしれないな。
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