傀儡
「そういえばアイツらのボスってどんな感じなんですか?」
「我からはこの場にいる誰よりも強いとしか答えられぬ。」
「そもそも変異種じゃない可能性もありますわ。」
考えてみればおかしな話だ。ここはゴブリンの森、ゴブリンしか生息していないはずの場所にオークがいる。さらに変異まで遂げている…
「正解じゃよ、お嬢さん」
「「「「「!!!!!」」」」」
こんな場所におじいちゃん?それよりこいつどこから…
「ジジイ!ナニモンだ!」
「儂のことはニザと呼んでくれ、『小人』なんて不名誉な呼ばれ方はしたくないのでなぁ」
『小人』のニザ… それにさっき正解って言ったよな?
つまりバケモノのボスは変異種じゃなくて…
「変異種のボスはお前か!ニザ!」
「如何にも、ボスというのは少し違うがのぉ。」
「兎にも角にもコイツはここで止めないとヤベェ!行くぞお前ら!!」
「「「「了解!」」」」
『獅子剣…』
『雷鳴魔法…』
『反射攻撃…』
『強化結界…』
「影よ…」
「止まるのじゃ」
どういうことだ!?じいさんの命令で体が動かなくなった!?
「何しやがったジジイ!」
「これが儂の異能じゃよ、言っておったじゃろう、変異種のボスであると。」
アイツの能力はなんだ!? 解除は?弱点はなんだ?
このままじゃ全滅だぞ!
頭を動かせ!!
「まあ良い、儂は実験がしたいだけじゃからなぁ。」
「実験ですって?」
「お前達が変異種と呼ぶモンスター、あれは何の変異種かわかるかの?」
あのバケモノはオークの変異種…
コイツの異能はモンスターを連れてくること? それじゃなんで動けないんだ…?
「奴らはオークの変異種ではないのか?」
「否、ゴブリンの変異種じゃ、と言っても変異種というのも少し違うが
の」
「どういうことだ?」
「儂の異能は『傀儡』その名の通り対象を操る能力じゃよ、少しばかり強化して、な」
そう言うとニザは無邪気に笑う。しかし五人に悪戯小僧のような笑みを浮かべる目の前の老人に対応する術はないのだった。
「この町で最も強いのはお主らなのだろう?」
「その通りだが突然どうしたのだ?」
「実験の相手にふさわしいと思ってのぉ、来い。」
ニザが呼ぶと変異種が2体現れる。2体は生気を失った目をしており、支配下に置かれていることが一目瞭然である。
「こやつらが勝てば儂の傀儡はAランク… 最上位に位置する実力者を相手取ることができると証明できる。たとえ負けても機を改めるだけで良い…。」
饒舌になったニザに対し、どう反応すればよいか分からない五人を尻目にニザは詠唱を行う。
「踊れ、『孤独な人形劇』
詠唱と同時に変異種の体が黒く染まり、筋肉が肥大化する。
黒い瘴気を纏い、額には1本の角が生える。
「こやつらは黒鬼とでも呼ぶかの、では実験開始じゃ。」
開始の合図で黒鬼は動きだし、五人の拘束も解かれる。
「やってやんよ黒鬼ィ!!」
レオの咆哮が開戦を告げる。
「
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