急襲
イザベラさんの声とともに例の変異種が2体飛び込んできた。
「ルーク!変異種ってのはこいつか!?」
「前の個体は棍棒を持っていましたがこいつで間違いありません!」
「イザベラァ!! こいつらのボスはどこだ!?」
「確認できない!」
ボス!?俺が感じてた威圧感はバケモノからじゃないのか?
思考が追い付かない、まずはこいつらを倒さなければ! もう一度異能を!
「影よ!縛り付けろ!!」
俺の声とともにバケモノの影が伸びて四肢を拘束する。
「やるじゃねえかルーク!そのまま抑えとけ!」
『獅子剣 開闢』!!
レオさんが叫ぶと炎を纏った剣が変異種を横薙ぎに斬り落とす!
さすがレオさんだ、あのバケモノ相手に一撃なんて文字通り火力が違う。
「みんな聞いて、私の『識別結界』ではボスを捉えられない。」
「サーチエリア?」
「そうか、ルークは知らなかったな。イザベラの異能だ、魔力を使って全範囲の探査ができる。」
イザベラさんも異能持ちだったのか!明けの明星に斥候がいないと思っていたけど、異能のおかげで斥候よりも安全に探索ができるわけか。
「イザベラがダメとなると困りましたね。変異種の裏にいるのは明らかに格上ですわ。」
「町に戻ったところで無駄だろうな、俺達が最高戦力だ、増援が足手まといになっちまう。」
「ルークの異能に期待するのは酷だろうか?」
俺の異能…?今の戦闘でなんとなく感覚は掴めた、だけど俺の影じゃ変異種を倒すことすらままならない。英雄譚にあるような海を割るようなとてつもない力を秘めているとはとても思えない。
「俺の異能じゃ皆さんの役に立てません…」
「分かりませんわ、異能の新たな力を引き出す可能性は否定できないのですから。」
「その通りだ、どの道俺らとボスで殺りあったら分が悪いんだ、期待くらいさせてくれ。」
皆さんにそこまで言わせるなんてやはり異能はとてつもない可能性を秘めているということだろうか。
俺は足手まといだ、それでもやれるだけのことはやってやる。
ここでやれなきゃまた大切な人を失ってしまうのだから。
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