ルークの異能
「じゃあルーク君の異能は影なら全部対象になる…?」
森までの移動中ノアさんの質問攻めが止まらない。実際俺自身分からないことだらけだから助かるけどここまでとは思っていなかった。
「ゴブリンが出たら異能を使ってみてくれないかしら?」
「実は…あれ以降影が使える感覚が全くなくて…」
そうなのだ。変異種討伐の時は感じていた影に干渉する感覚がすっかり消えてしまっている。
そもそも影が使えるようになったきっかけもよくわからない、走馬灯を見てから使えたということは死にかけないと使えない? それとも昔に何か関係がある?
「気長に行こうぜルーク、変異種をソロで殺れる異能だ、必ずお前の力になる。」
「レオの言うとおりだ。我の知り合いにも異能の習得に苦労した奴がいる。一朝一夕で身につくものじゃない。」
「二人とも…ありがとうございます。」
「私でよければいつでも相談にのるわ。」
「…」
本当に優しい人たちだ。2年前なにもないまま町に来た俺を気にかけてくれたおかげで今ここに立てている。
あれ?ゴブリンの森から威圧感みたいなものを感じる… 明らかに異常だ、異能なしとはいえゴブリンから威圧感なんて感じたことはない。
横を見ると皆さんが厳しい表情をしている。Bランクパーティにこんな表情をさせるモンスターがこの森に潜んでいるというのだろうか。
Bランクは冒険者としての壁を越えた一流揃い、さらに全員がBランクの皆さんが見構えているのはまずいんじゃないか…
森の入り口に差し掛かった時…
「…!」
「敵襲!」
イザベラさんが吠えた。
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