明けの明星
翌朝ギルドに向かうとレイさんからの呼び出しがあった。
なんでも明けの明星と共に調査に向かって欲しいそうだ。
「よお、昨日は災難だったらしいなあルーク」
この声は… リーダーのレオさん!
燃えるような赤髪の野性的なイケメンだ。筋肉質でいつ見ても勝てるイメージが湧かない人だな…
彼は片手剣に炎を付与して戦う魔剣士で、俺に剣を教えてくれた師匠だ。
「運が良かったんです。変な力が使えなかったら死んでましたよ。」
「そうよ!ルーク君が使った影の力について聞きたかったの!」
彼女は魔術師のノアさん。金髪を巻いている年齢不詳の美人さん。彼女の年齢を聞いた冒険者が酷い目に遭った、なんて噂があるけど真偽は不明。
攻撃魔法が得意な魔法オタクで、見たことない魔法や知らない魔法に食いつくところを何回か見たことがある。
俺が使った影が彼女の興味を引いたんだろう。
「戦っていたら急に影が切れる、動かせると感じたんですけど、影魔法?みたいな魔法ってあるんですか?」
「影魔法なんて聞いたことないわね、確実に異能と呼んでいいものだと思うわ。」
「やっぱりそうなんですかね?俺14歳なんで異能は出ないと思ってたんですけど。」
「異能はわからないことだらけなの、だからそういうものだと思っておきなさい。」
「それはそうとルーク君の異能について詳しく聞きたいのだけど…」
「ノア、我らに課された任務を忘れたか?優先順位を考えてくれ」
「いいじゃないマーク、異能の謎を解き明かすことも大切な責務よ!」
マークさんが押されている… 彼は金髪を短く整えた大男で洋平のような雰囲気をまとったタンクだ。
しかしノアさんの悪いところが出てしまったな… これは長引くぞ…
「まあまあノア、任務が終わってからルークに聞きゃいいじゃねえか、いいだろルーク?」
「……」
「もちろんです、皆さんさえよければ早速調査に行きませんか?」
レオさんがうまいこと取り持ってくれて助かった…
相変わらずイザベラさんは無口だな、彼女が話しているのはほとんど見たことがない。
イザベラさん、クリーム色の髪を伸ばして三角の帽子を被った回復魔術師。つかみどころのない人だけど明けの明星の皆さんが一番頼りにしているらしい。
とにかく今日はこの五人でゴブリンの森の調査を行うぞ!
さすがに二日連続で問題が起きることはないと信じたい。
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