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底辺から始まる逆転冒険者生活  作者: 蒼井春雨
バレル神聖国編
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選択と結果

1か月以上も更新できていませんでした、本当に申し訳ございません。

「リミットだ、そもそも勝ち目はなかったが… これで俺達の勝ちが決まっちまった。」


そういってニヴルは実に楽しそうに笑みを浮かべる。

心から彼は勝利を確信しているのだろう、その喜悦は態度に、声色に現れている。


「急に笑い出しやがって… 何が始まるってんだ?」

「レオっ!!  油断しないで!!」


ギンッッ!!!


サクラが吠えると同時、レオの剣はゼドが振るった剣を受け止めていた。


クソったれが! コイツがここに来やがったってことはルーク達は大丈夫なのか!?

心配できるほど余裕もねえ、炎が消える前に撤退しねえとまずいぞ…


「ずいぶんと遅え登場だな!! 『守護者』さんは忙しいってか!?」

「必死だな、余裕を持たねば視野が狭くなってしまうぞ?」


「穿て、『颱風』!!」


ノエルが放った竜巻は2本、レオとゼドの膠着を解くために、そしてもう一つは…


「チッ…」

「状況は最悪! 全力で撤退します!!」


Aランク冒険者であるノエルが培った勘は2つ目の竜巻に、ヴァナの動きを牽制する竜巻に大量の魔力をつぎ込んだ。

その判断は彼らの命を繋ぎ止める。この魔術が無ければレオの首は飛んでいただろうから。


それでも…


「撤退とはいただけねえなぁ? せっかく我らが『守護者』様が戻ってきてくれたんだぜ? 最後まで職務を全うさせてやってくれよ!!」

「貴方に同意するのは癪ですが、撤退などさせません。神敵はここで討ち果たします。」


「冒険者にはやらなきゃいけねえ時があんのよ、アンタらには分かんねえだろうがな。」


その言葉で覚悟を決めたレオ、彼の体を紅い炎が覆う。


「コイツらは俺が止める、ルーク達連れて仇取ってくれや。」

「ウチも残るよ、レオにだけいいカッコはさせないよ!」

「いいカッコってお前なぁ… まぁ良い、後は頼んだぞ!!」


「ッ!!」


ノアとマークはレオの覚悟を受け取っていた、感情は置いていくなど論外だと言っている、それでもレオが託したのだからと半ば諦めにも似た決意を決める。


そう、感情を無理矢理押し付けているのだ。

人間であれば必ずしも最善の選択が取れるとは限らない。


では最善の選択を取れなかったとき、その結果は最高のものにならないのだろうか?




答えは否




彼女の選択は仲間を置いていかないというものだった。

その選択はこの場において、彼らにとって最高の風を運ぶ。


「紡ぎましょう、『福音運ぶ薫風(スイートウィンド)』」


「これは…」

「風? 動きが制限される…!」


風魔術は他の魔術に比べ極めることが難しいと言われている。

なぜなら分かりやすく魔法を「見る」ことができないため、効果をイメージすることが難しいからだ。


それでもノエルは鍛えた、鍛えて鍛えた先に終ぞ『終極』に至ることこそなかったがその努力が、才能が彼女をAランクまで押し上げた。

芽吹いた土壌は止まらない、彼女が初めて感じた仲間を失う恐怖が、怒りが、より強い風を生み出している。


福音運ぶ薫風(スイートウィンド)』は彼女の思い通りに速度を操ることができる。


その風はゼドの動きを鈍らせ、レオとサクラの二人なら抑え込める域までにする。


「流石ノエル! 今なら抑えられる!!」

「最高だぜ!! ノア!マーク!そこの茶髪が恐らく元凶だ!今のうちに仕留めてくれ!!」



「「了解!!」」


二人が魔力を溜め始めた刹那、空間を切り裂く音とともに大聖堂に血飛沫が舞った。




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