Aランク冒険者
酒場に移動すると早速とばかりにジャータが話を切り出す。
「ねえ灰色の君、君名前は?」
灰色の君… このパーティで灰色なんて変わった髪と瞳をしているのは俺しかいない。
彼が聞きたいこととは俺に関係があるのだろうか。
「俺ですか? 俺はルークっていいます。」
「ルーク、もったいないよ?君の異能が泣いている。」
「もったいない…? どういうことですか?」
もったいないとは一体どういうことだろうか。
みんなと一緒に鍛えたことで俺の異能はできることが増えた。
たしかにまだ『影式充填』はまともに使えないけど…
「そのまんまの意味だよ。ついてきて、教えてあげるよ戦い方をね。」
「でもみんなもいますし…」
「行って来いルーク、お前が強くなることは俺達も必要なことだ。」
「その通りですわ、教えていただきなさいな。」
ギルド内訓練場にて
やはりギルドの規模が大きいだけあって訓練場もとても広かった。
この広いスペースでいまからジャータさんから指導をしてもらう。
「まずはルークの異能を教えてもらえるかな?」
「分かりました、俺の異能は影の形を変えたり、影を斬ったりできる力です。」
「なるほどね、たぶんもっとできることがあるんじゃない?」
「一応あるんですけど… まだ未完成で…」
ルークの異能は影に関係するものね…
彼は確かに原石だ、だけど原石は磨かなければ光らない。
鍛えてあげれば僕の良い遊び相手になってくれると思うんだよねぇ…
「それじゃ戦ってみよっか! あと敬語なんてやめていいよ。そんなもの無駄だからさ。」
「分かりまし… 分かった。 じゃあやろうか。」
「それじゃはじめ!」
ジャータの合図で戦闘が始まる
「いくぞジャータ!『黒槍!』」
ジャータや柱の影から槍が飛び出す。
特訓で確実に俺の力も上がっている。
「これがルークの異能ね…それじゃ僕も見せようか。」
『氷壁』
影の槍はすべて氷の壁に防がれる。
ジャータは涼しい顔をしているのに傷一つつけることができないなんて…
「僕の異能は『銀の羽衣』、ただ氷を作るだけの力さ。」
「驚いてるね、そんな力でも極めれば君の攻撃も止められる。」
「ルークの槍が全く届かねえなんてな…」
「Aランクとはここまで圧倒的なのだな…」
ルークには僕の戦い方を叩き込もう。
戦って確信した、彼は全く異能を使いこなせていない。
僕のためにもこんな弱っちいルークのままなんて許さない。
久しぶりに面白い冒険者を見つけたんだ、これからが楽しみだね。
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