成果
あれから半月が経った。
俺も今まで以上に気合を入れて特訓に向き合った。
でもそれ以上にみんなは鬼気迫る様子で鍛えていた。
そのわけもあってか俺とイザベラさんが新しい技ができるように。
俺は影を防御にも活かせるように槍よりも硬度を高めた影を広げられるようになった。
イザベラさんは『強化結界』に回復魔術を乗せられるように。
ノアさんとマークさんはひたすら魔術の特訓をしていた。
もう半月が経つ頃には形になってくるだろうとのこと。
レオさんはもはや怖かった。
昔は名を馳せた剣士であったというギルドマスターのところでひたすら剣を振るっていた。
ギルドマスターはローガンさんといい、白髪を後ろで束ねたいかつい顔をしている。
初老で引退していると聞いていたのに強かった。
それはもう強かった。あのレオさんが一撃も入れられずに倒されていた。
「レオ、どうしてここまで焦っている? お前たちはまだ若く、実力も確かだ。あと5年もあればAランクにも手が届くだろう。」
「だからだよギルマス、あと5年じゃ遅えんだ。俺達はA級だって余裕で狩れるようにならないといけねえ。」
あと5年もあればAランクに昇格できる。
俺達だって薄っすら分かっていた。だからだろうな、なんとなく今の強さに満足しちまっていたんだろう。
だがルークが加入して話が変わった。
俺達はルークと10個離れている。だから弟みてえに思っているし、カッコイイ兄貴でありたいとも思っている。
ルークの発現した異能、鍛えれば俺なんか軽く置いていっちまう力があった。
俺達を目標にしていたのは知っていたし、追い抜いて行ったときに「この程度」って思われたくなかった。
アイツらも同じように思ったんだろう、ルークは俺達の起爆剤になる。
ギルマスには悪りいが引退した剣士に負けてるようなダセえ兄貴じゃいられないんだ。
「もういっちょ頼むぜギルマス! 次は負けねえ!!」
「その意気や良し! 来いレオ!!」
ギルド内訓練場にて木剣を打ち合う音が響く。
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