課題
「仕方ねえ、このまま押し切るぞ!」
レオが駆け出す。
サイクロプスも負けじとレオを殴りつける。
「遅えよ木偶の坊が!」
『獅子剣 花筏!』
サイクロプスのパンチを躱し、その勢いで後ろに回り込む。
炎を纏った剣による乱れ斬りが炸裂する。
この一撃により、左足に深い傷を与える。
「足は獲った! ノア後は任せる!」
「了解!」
『雷鳴魔術 鳴舞!』
サイクロプスに向けて稲妻の雨が降り注ぐ。
稲妻を浴び、体が焦げてもなお絶命には至っていない。
「黒鬼の時も思いましたけれど私達もまだまだですわね…」
「我らの攻撃ではまだまだ力不足ということだな。」
「反省はアイツを仕留めてからで頼むぜ。」
レオがそう声を掛けると、3人の同時攻撃でサイクロプスは絶命した。
戦闘が終わるころ、ルークの意識が回復する。
しかしこの戦いで明けの明星の課題が浮き彫りになった。
レオ、ノア、マークの3人は絶対的な火力不足であること。
イザベラは回復までに時間がかかること。
ルークは異能の力を引き出せていないこと。
迷宮に挑むまでのひと月でそれぞれの課題に向き合っていく。
「しかしルーク、『影式充填』ってヤツなんとかならねえか?」
「いまだに感覚が掴めなくて… 吸収する量が調整できれば使える技になると思うんですけど…」
『影式充填』は吸収する量と力にできる量はイコールではない。
当然傷を負えば負うほど得られる力は大きくなる。
ルークが『一層』として使っているものは『三層』に匹敵するため、今のルークでは使いこなすことができない。
「あとひと月あるのだ、使う場面がないよう我らも強くならねば。」
「その通りね、それに切り札として考えれば悪い技ではないですし…」
この一か月は連携の特訓に加えて個人での特訓も重視していこうという話になった。
俺以外も課題が見つかったということでみんなも燃えている。
迷宮を進んでいくとA級のモンスターも出現するらしい。
今の俺では到底太刀打ちできないけれど、全員で勝てるように鍛えなければ。
しかし一か月経ってもニザの噂すら聞かない。
遭遇しても困るとはいえ、何の音沙汰もないこともそれはそれで怖い。
神聖国で出会わないといいけど…
影式充填は傷つくほど強くなる能力と思っていただければ…
作者もめんどくさい能力にしたなと後悔しております。
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