影の可能性
ルークの異能で生み出された影がオークを貫く。
影の槍は一撃でオークを絶命させる。
「分かっていたが一撃とはな…」
「私たちの想像を超えた異能ですわよね…」
「それだけじゃねえ、俺の傷まで治すやべえ異能だ。」
「俺達も強くならなきゃ一瞬で置いていかれるぞ。」
みんなからの評価は上々みたいで嬉しい。
置いていかれるなんて言っているけど追いつけるビジョンすら見えていない。
まだまだ影には可能性がある、俺は強くなれる。
「とりあえず今日は異能で攻撃することに慣れていきましょう。」
「反復練習は実力と自信を育みます、焦らずいきましょう。」
私もレオもルーク君が生き急がないか気にかけています。
彼の目標は両親の手がかりを見つけること。2年間自分のことで手一杯だった彼が力を手にしたのです。
私たちからの支援も断っていた彼のことですから調子に乗ることはないでしょう。
ですが実力を見誤ることは考えられます。
今は私達が背中を預けあえる仲間になる日を待つとしましょう。
「ルーク君、違和感はないでしょうか?」
「全く問題ないです、やっと馴染んだ気がします。」
その後もオークたちを狩り続けてこの日はトータル7匹討伐することができた。
『憶影』の調子も良く、影の槍も技として使える精度まで上がった。
「そんじゃあ帰るか、明日は俺とマークで体鍛えるからよく休んどけよ!」
「体づくりは冒険者の基礎であるからな、地道に鍛えていこう。」
「ありがとうございます! 頑張ります!!」
「そういやよ、ルークが慣れてきたら迷宮に挑戦してみるのはどうだ?」
「迷宮… ですか?」
「地下遺跡にたまった魔力で生み出された魔窟のことですわ。レオが言っているのはバレル神聖国にある神聖迷宮のことですわね。」
「迷宮からは遺物や魔装が手に入ることがあるのだ。我の盾も迷宮で手に入ったものを譲ってもらったからな。」
迷宮とは夢があるものみたいだ。
あまり期待できないけど両親を連れ去った奴らの手がかりがあるかもしれないしな…
奴らの手がかりは大樹をあしらった徽章。
生きることに必死だったとはいえこんな大切な手がかりを今まで忘れていた自分が情けない。
迷宮の衝撃で流していたけど神聖国ってことは信仰心が強い国なんだろうか。
神様なんてよくわからないから不安だ。
バレル神聖国大聖堂にて…
「アイツはどうにかなりそうか?」
「私には分かりません。すべては神の思い通りですから。」
「それじゃ困るぜ?『守護者』ゼド・ジャックスは正攻法じゃ落とせないんだ。」
「ハァ… なんであんたが最高幹部なんだか…」
「口が過ぎますよ、二ヴル。あなたは為すべきことを為せば良いのです。」
シスターの服に身を包んだ女性は顔を顰める。
「分かってやすよ、旦那。俺だって『終極』に届いたんだ。やってやるさ。」
二ヴルと呼ばれた茶髪を無造作に散らした男はニヒルに笑う。
誰もが羨む二枚目なのだがそんなことでは彼女の対応は変わらない。
大聖堂という神聖国の中心地で密談は進んでいた。
ルーク、マーク、オーク…
マークの名前を変更するか迷っています。
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