実践訓練
レオさんからの勧誘を受けてから5人で話し合い、俺の正式加入が決まった。
全員が満身創痍だったため、再始動は1週間後からとなり今は体を休めている。
加入と同時に俺の拠点も「一等星」に変わった。
というのもレオさんが「俺達の仲間を安宿に泊まらせるわけにはいかねえ!」と言って、俺の宿代まで出してくれた。
気にすんなよ、とは言ってくれたが、絶対に活躍してお金を返していこうと思う。
さらに俺の強化ということで、レオさんとマークさんが剣と訓練、ノアさんとイザベラさんが異能の特訓に付き合ってくれることになった。
そんなこんなで異能を発現したことで俺の冒険者生活は上を向き始めた。
しかし良いことばかりではなかった。
ギルドに報告をしたところ、『小人』ニザと名乗る老人の資料はなかった。
さらに黒鬼をA級モンスターとして認定することが決定した。
黒鬼はゴブリンを素材に生み出されたモンスターのため、ニザがその気になればこの町程度すぐに落とせてしまうということである。
ノアさんの考察ではニザが使った技は通称『終極』と呼ばれる異能や魔術の到達点であるという。
本人も実験と言っていたこともあり、まだ何度も使える技じゃないだろうとのこと。
新しい問題の種を抱えてしまったとはいえこれから明けの明星で頑張っていこう。
1週間が経過して晴れて明けの明星の一員になった。
約束通り俺の訓練を兼ねて今日はオークの討伐に向かっている。
「ルーク君、今日は話した通り影だけでオークを倒してもらうわ。」
「オークはCランク、ルークだけでも余裕だろうが俺達もいる、気楽にいけよ。」
残念なことに影を直接斬る攻撃と、傷を肩代わりする力は使えなかった。
それでも異能を攻撃魔法のように使えれば俺も攻撃で役に立てるかもしれない。
「そろそろ接敵する。」
「了解!」
5人はオークと遭遇する。オークはCランクの豚が人型になったような醜いモンスターである。
厚い脂肪に覆われた体は剣を通さないため、魔法が有利である。
「ではやってみてちょうだい、最初は当たれば十分よ。」
「分かりました!」
「影よ、貫け!」
ルークの詠唱でオークの影から槍のようなものが飛び出す。
影の槍は心臓こそ外したものの体を貫いていた。
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