表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今やテンプレ(雛型)

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますo(*⌒―⌒*)o

内容らしい内容はございません(^_^ゞ



「………ケイン様、御卒業おめでとうございます」


「ハッハッハッ! お前も卒業()()()()は手に入れられたのだな。尤も、ダンスの相手も居ないようだから、一人前とは認められないだろうがな!」


 この国で今の時代、学園の卒業を以て成人と見なされる。それは平民も同じであるが、王公貴族になると、卒業後の謝恩会──卒業パーティーでダンスを踊れなかった者は一人前とは見なされない。つまり出来損ないとして扱われる未来が待ち受けている。


 ……さて、それはそれとして、私は言われている本人ではない。傍観している第三者である。彼女とは面識はあるけど知人と言うほど親しくはない。なのであのクズ男が彼女の婚約者で、同伴して来た女が浮気相手であるのを知っています。あの御令嬢もお気の毒に。あんな男が婚約者とか、どんな拷問じゃ。片手に婚約者ではない別の女をぶら下げてるとか、毎年出る婚約破棄(裏切り)と言う愉快犯だわ、あれ。真面目に本当に出た。うわー、出た……。

 あれ? 付属の尻軽女が何か言い出した。ん? 仕事は第()婦人の貴女に任せて()()()? うわー、本当にこういう台詞、言っちゃう人でなしって居るんだー……うわー。詰まる所、婚約破棄はしないと。それって結婚して、そのまま奴隷化してやるって宣言でしょ? 本来の正妻を労働の為の道具にするって意味っしょ?

 敵はクズイン、酷男(ひでお)だ。

 さてどうする、御令嬢?

 一応でも婚約者が居て、その婚約者と踊らない限り、別の()とは踊れない。もしも踊ってしまったら、それは不貞と難癖を付けられ兼ねない。だが現在のこの国の慣例として、特別な理由も無くダンスの一曲も踊れなかったら、出来損ないの烙印を捺されたようなものだ。もしも本当に出来損ないの烙印が付いてしまったら、婚約を相手有責で破棄しても、碌な嫁ぎ先は無い。本人に全く瑕疵は無くとも、社交界からはもう貴族として扱ってもらえなくなる。


 自分で解説していて思うが、何だその慣例!?

 もはや慣例がクズやわ!


 怒りを覚えながら眺めているしか出来てない自分が情けない……。


「でも私、女の子だもの……。ダンスのお相手に立候補はできません……」


「え? どうして?」


 ちょっとだけ離れた場所からの疑問の応答に私はビックら致しましたよ。


「君がそんなに心配そうに見ているくらいだ。あの御令嬢は真っ当な方なのでしょう?」


 白を基調とした生地に青系列の繊細な刺繍が見事なグラデーションで刺されたタイトなドレス! 後にマーメイドラインと呼ばれる今は見ないデザインを、長身の彼女? が凛々しくも着こなして立っております。


 この方は味方だ。


 私は女の勘に従い先程の会話を要約して伝えました。そこその早口で捲し立てたのですが、長身美人さんはしっかり聞き取ってくださったようです。


「つまり、下卑た笑顔で去って行った男は浮気相手と一緒に彼女の未来を潰し、且つ貴族令嬢を奴隷化しようと企んでいる訳だね」


 私が黙したまま頷くのも確かめず、美人さんが颯爽と歩いて行きます。例の打ち捨てられた御令嬢に。あら、大きく入れられたスリットには薄い布が張られいますがな。あれならダンスも問題無いでしょう。


「美しく可愛らしいお嬢さん、一曲如何ですか?」


 紳士のように手を差し出しました。美人さん、格好いいです!

 お胸が真っ平でも美麗です!


 例の御令嬢はぽーっと頬を染めて見とれています。分かります。

 目が潤んでいるのは、先程の婚約者と尻軽女の仕打ちに対してなのか、それとも美人さんに当てられてなのか、どちらも理由に当て嵌まるのか分かりません。


 何はともあれ女同士でのダンスになりました。

 女同士よね?

 ま、そこは追及しては駄目だわよ。今真実なんてどうでもイイッスのよ。これで彼女の未来は繋がるのですから。


 あら?

 美人さん。私とも踊ってくださるの?

 嬉しい! 喜んで♪






 私達の世代以降、卒業パーティーで女の子同士のダンスも大手を振って踊られるようになったそうです。

 ふふ。後輩達は殿方のパートも覚えるのが大変でしょうね。でも楽しそう。






   〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉 〉






 卒業してすぐに、私に縁談が来たわよ。

 しかもお相手は卒業パーティーの時の美人さんだわよ。


「殿方でしたのね」


「意外に驚いていませんね」


「……質問には答えてくださらないのでしょうか?」


 彼は朗らかに笑った後に語り始めた。

 曰く、彼は武の家門に生まれてしまった。ええ、そうですね。私でも知っている、ガシガシの国の守り手である名門ですね。

 当然ながら武闘を叩き込まれる日々であったそうなのですが、現在に至るまで肉体的に向いていなかったらしいです。

 その反動なのか、女装すると落ち着くようになったとか。

 否。

 それ以前から自分が男性であるという自覚に疑問を抱いていたそうです。

 ならば心は女なのか?

 どうもそちらの筋もピンと来ないとのこと。

 性別不一致で殿方が恋愛対象であるならば、近しい親戚から養子を貰うなりしなければなりません。彼、一人っ子の嫡子ですので。

 そう、嫡男。

 普通なら兄弟にスライドされる継子の位ですが、それもならず。ならば近しい親戚をとなりますが、近しい親戚は女の子ばかり。何でじゃ!?

 極め付けが御本人。性別の感覚が曖昧なだけで、別に結婚その物に抵抗がある訳でも無い。そうですね。今、私に縁談話を持って来てますものね。相手が女でも良いのですよね。


「では、どうして私を貴方様の相手として見定めましたの?」


「身体の感覚です」


「……えっと?」


「私は貴方以外の女性とは、夫婦の努めを果たせません」


何故(なにゆえ)に!?」


「感覚です!」


 だから、それが分からないんだってば!




 結論から言うと、この話は纏まってしまいました。

 私は三女だし、政略結婚する相手も居ないし、何より持参金が大分ショボクなるだろうってので、生涯お一人様宣言していたッスよ。なのに結婚した理由。相手が格上の家門ってのは大きかったけど、それ以外の理由もあります。武の家柄で社交はほぼ免除という条件に釣られて、アッサリ承諾してしまいました。

 阿呆ですね。お馬鹿ですね。考えが足りない浅慮なお間抜けですね。

 所謂ね、夜の営みが「やっぱり武の家門だった」なお化けだったんですよ。


「私も夫に騙されて嫁いで来たようなものなの。あの子も子供を持って漸く体格が逞しくなってきたし、落ち着くまでもうちょっとかかるかもね。だから無理しちゃ駄目よ」


 お姑女さん。婚姻が整う前にその情報、欲しかったです。

 切実に!!

 今、もう三人目の子供がお腹に居るんですけど! 全員年子ですけど!

 一番問題なのは、何のかんので私も旦那様大好き嫁になってしまっている現状なんですけど!


 蛇足として、卒業パーティーで令嬢としての未来を繋いだ彼女は、相手の有責で婚約破棄したそうです。そして今や立派な仕事人として王城で活躍しているそうな。

 でもって酷インとクズ男カップルは、やらかした場所が派手過ぎた為、各家々に要警戒対象とされてしまったそうな。裕福な平民にまでそっぽを向かれているとか何とか。そりゃそうだわ。

 お義母様のお話では、修道院に()()か入ったものの、いずれも()()()()()ているとのこと。故にそろそろ籍を抜かれて放逐されるだろうとの噂もあるとか。

 それ、二人揃ってその境遇なんですよね?


 ……………ま、どうでもいいわ。








最後までお読みくださり、ありがとうございますm(_ _)m

お気に召してくださったなら、

☆評価、ブックマーク、いいね をポチっとお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ