2023年10月10日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#105 美白
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
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こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
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②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第58回目の今回は………
2023年10月10日放送。
妄想【愛の劇場】#105 美白
とある高層ビルの一室。
雑誌記者 八巻八巻子は、案内された豪華な家具が置かれている室内で、さる貴人を待っていた。
ドキドキしている。
やっと、やっと出会えるのね。憧れのあの人に。
何度アポイントを取ったかしら。
忘れてしまうくらいの長い期間、何度も何度も諦めずにアポイントを取り続けてきた甲斐があったわ。
だって、仕事とはいえ私のために時間をつくって下さるなんて。なんて夢の様なのかしら。
ガチャリと静かに扉が開いた。
ひとりの男性の姿が飛び込んできた。
八巻子はすくりと立ち上がる。
「八巻様、お待たせ致しました」
男性はそう言うと、八巻子に頭を静かに下げた。
秘書だという男性の後ろから、スラリとした伸びやかな肢体の女性が微笑んでいる。
八巻子の心臓がドキリと跳ね上がる。
顔が耳まで赤く染まっているかもしれない。
八巻子は恥ずかしくなりながら、そそくさと頭を下げた。
「今日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。雑誌『Beauty Butterfly』の八巻八巻子です。宜しくお願い致します」
「こんにちは、八巻子さん。メグム・オノカワです。こちらこそ、お会いできて嬉しいですわ」
メグム・オノカワは微笑みながら、八巻子の前に右手を差し出した。
八巻子はその右手を大切な物を包み込むように握りしめた。
「美白の貴婦人の異名を持つオノカワさんに、こうしてお話をお伺いできるのを楽しみにしていました」
「八巻子さん、メグムでいいわ」
八巻子の緊張をほぐすように、柔らかい笑顔で微笑むメグムの表情に、八巻子は余計に頬を赤らめた。
だめよ、八巻子。これはお仕事なんだから。しっかりしなきゃ!
心を強く持つように、八巻子はタブレットパソコンを持つ手に力を込めた。
「ありがとうございます。では、メグムさん、まずは、スキンケアに興味を持ち始めたキッカケを教えて下さい」
八巻子は仕事に集中するように、メグムへの取材を始めた。
ありきたりな質問から少しづつ、メグムのスキンケアに関する歴史を紐解いていく。
八巻子はこのありきたりな質問をありとあらゆる雑誌やテレビ、ネットのインタビューの記事でたくさん読んでいた。
本当は聞かなくても、それらをまとめて記事にしても良いのだが、改めてメグムの声で聞いてみたいと思っていた。
憧れのメグム・オノカワの事だからこそ、他の記者では汲み取る事のできなかった新しいメグム・オノカワの一面を八巻子が発見したかった。
メグムは、ありきたりな質問を柔らかい笑顔でひとつひとつ、丁寧に答えていく。
実のところ八巻子は、メグムがありとあらゆる記者から同じ事を聞かれてうんざりしているに違いないと心苦しく思っていた。しかしメグムは八巻子の質問に、ゆっくりとゆったりと言葉を紡いでいった。
雑誌のメインターゲットとなる、アラフォー、アラフィフ世代のスキンケアの話は、念入りに読者から多い質問や悩みを交えながら八巻子は丁寧にメグムに話を聞いていった。
「メグムさん、新しいスキンケアオイルの発売、おめでとうございます」
先日、メグム・オノカワプロデュースのスキンケアオイルが発売になった。
八巻子の今回の一番の取材目的は、このスキンケアオイルだった。
もちろん、八巻子もメグム・オノカワブランドのヘビーユーザーだ。
ヘビーユーザーだからこそ、八巻子はメグムから詳しくオイルの話を聞き出し、たくさんの人に使ってもらいたいと思っていた。
「くすみがちな肌なのですが、新しいオイルは今までのスキンケアオイルよりも、ワントーン肌の色が上がる気がします」
八巻子は、使ってみた感想をメグムに話しながらオイルの話を広げていく。
「今までのスキンケアオイルでも、充分というユーザーさんもいらっしゃると思いますが、今回の新しいオイルは乾燥肌の方に向けてつくってみましたのよ」
メグムの解説を聞きながら、八巻子はより話を掘り下げていく。
八巻子は、とても楽しかった。
自分がどれだけ貴方に憧れているのか。
そして、どれだけ敬愛しているのか。
メグム・オノカワに直接ラブレターを送っている気分になっていた。
八巻子はこのまま時間が止まればいいと願っていた。
「恐れ入りますが、八巻様、そろそろよろしいでしょうか」
メグムの秘書が腕時計で時間を確認し、八巻子にタイムアップの合図を出した。
メグムとの楽しかった時間が終了した。
八巻子は、夢の世界から現実に引き戻された気分になった。
がっかりとした、あからさまな表情になっていないだろうか。
我に返り、八巻子は確認のために頬に両手をあてた。
「あら、もうそんな時間?楽しい時間は早く過ぎるものなのね」
柔らかい笑顔でメグムは言った。
「今日はお忙しいところ、お時間をいただきまして、ありがとうございました」
「わたくしもよ。お会いできて良かったですわ」
メグムは右手を八巻子の前に差し出しながら言った。
八巻子はメグムの右手を大切な物を包み込むように握りしめた。
「また、お会いしましょうね。記事も楽しみにしていますわ」
メグムは八巻子と目を合わせて、柔らかく微笑んだ。
出版社に戻って、八巻子は今日の夢の様な時間を思い返していた。
なんて素敵な時間を過ごしていたのかしら。
八巻子はメグム・オノカワとの時間を思い返しながら、うっとりとしていた。
おっと、いけない!お仕事よ、八巻子!
自分にそう言い聞かせて、早速今日のインタビューを記事にする。
あれもこれもと目の当たりにした、メグムの一挙手一投足を全て記事にしたい八巻子は、一所懸命に記事をまとめた。
これは八巻子からのラブレター。
憧れ続けた貴方へのラブレターなのです。
貴方へ届け。想いよ届け。
メグム様へ。
これからも、美しく輝き続けて下さいます様に……。
八巻子より。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#106「蜘蛛の巣」