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12月6日 あいす
「お疲れ様、暖かいお茶どうぞ」
「ありがとう、おばあちゃん」
夕ご飯を食べ終わり、一息つくタイミングにちょうどお茶を貰った。
「若葉ちゃん、わしアイスを食べたいのじゃ」
この時期にアイスって寒くないのか
漱印に呆れていると視線に気づいたのか、ふふんと鼻を鳴らした。
「お主は寒がりじゃの、この時期じゃからアイスが美味しいのじゃ」
「わざわざ寒いのにアイス食べるの」
「お主はまだ若いからこの良さが分からぬか」
やれやれと肩をすくめながら言う姿が腹立たしい。
「物は試しじゃ、少しならあげても良いぞ」
こちらをチラチラと様子を伺いながらひと口スプーンで渡してきた。
少し小さいような気がするけど
漱印が自分の食べ物を人にあげるのが珍しかったから素直に受け取った。
少ししか食べてないのに、バニラの濃厚な甘さが口に広がった。
「...確かに美味しいね」
「そうじゃろ、まあお主は明日からじゃが。残りはわしの分」
流石にもうひと口貰う気はなかったけどね
顔をとろけさせながらアイスをちまちまと食べる漱印を眺めながら少し冷めたお茶を飲んだ。




