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11月27日 こたつ
「そろそろあれを出すか」
「最近冷え込みますからね」
あれって何だ
「あれってなんじゃ」
漱印と同じこと思ったことに不服だがそれ以上にあれが何か気になる。
「それは出してからのお楽しみということで」
珍しくおばあちゃんがいたずらっぽく笑った。
「あれってこたつのことか」
「そういえば居間の机こたつの机だ」
おじいちゃんが物置から厚めで大きい毛布を持ってくるのを見てようやく理解した。
「電気入れましょうか」
「付けなくても良いじゃろ」
「...別に入れてもいいでしょ」
「まあまだ入れなくても大丈夫かもな」
「2対1でわしたちの勝ちじゃ」
2対1って
幼稚な発言に半ば呆れた。
「こたつと言ったらみかんが欲しいのう」
「みかんはまだ買ってないわね、また今度ね」
はーいと間の抜けた返事が聞こえる。
「みかんは無いけど温かいお茶はありますよ」
「ほう...じゃあお茶ちょうだい」
「俺も欲しい」
「喜雨もいる?」
「じゃあお願いします」
先程とは違う笑みで台所へ向かっていった。
その後温かいお茶を呑みながらゆったりとした時間を過ごした。




