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11月24日 おなべ
「今日の晩御飯はお鍋か」
「そうですよ、もうすぐ完成するから席に座って下さいね」
グツグツとお鍋の中の具材がいっぱいになっている。
「おじいちゃん呼んでくる」
「ありがとうね、喜雨」
「わしはここで待っておるぞ」
「先に全部食べないでね」
「そこまで食い意地張っておらぬ」
口を膨らませて不服そうだが、目が鍋から離れない。
...流石だな
「おじいちゃん、晩御飯できたって。今日はお鍋みたい」
「そうか、楽しみだな」
「漱印に食べられる前に早くしないとね」
「たしかに漱印は食い意地がすごいけどばあちゃんがいるから大丈夫だと思うぞ」
「そう?」
「ばあちゃんは優しいけど、人の物を取るのは怖いくらいに怒るからな...」
あさっての方向を向きながる呟いている。
「ばあちゃん、飯ありがとう」
「ほんとだ漱印ご飯食べてないのか」
「みんな揃いましたね、それではいただきます」
挨拶をしたら我先にと漱印は白菜を取った。
俺も白菜食べようかな
熱々の白菜をゆっくりと噛むと出汁の旨みが口いっぱいに広がる。
談笑しながら鍋を味わった。




