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11月21日 かいそう
「喜雨、寒くないですか。」
「少し寒いかも」
「あら、暖房つけましょうか」
昔はストーブだったのにな…無かったかな
何となく口に出せなかった。
「若葉ちゃん、ストーブじゃないのかの」
「ストーブは暑すぎるかと思って、ストーブの方が良かったかしら」
「あ、そういうことだったんだ。大丈夫だよ」
「もうすぐ冬じゃのう、雪が降ると楽しいのじゃが...どうじゃろな」
「寒いの好きじゃない...暑いのも好きじゃないけど」
「むーじゃあ、いつが好きなのじゃ」
「過ごしやすい春かな」
「春もいいのう、もうすぐ年末か...早いものじゃな」
たしかに早く感じるな...
「好きな季節を決めるのは難しいのう...春気持ちが明るくなるし、夏は爽やかで気持ちいい。秋は祭りが多くて楽しいし、冬は雪景色が綺麗じゃし...」
悶々と考えている漱印を置いて受付の仕事に向かった。
春って答えたけど、たしかに楽しかったから難しいな...




