11月9日 おにぎり
「あまり人が来ないのう...」
有名じゃないからだろうなと声に出さずに思う。
「声に出してなくとも分かるぞ」
「心を読むからか」
「心を読まずとも、お主の表情で分かるというか分かりやすいの」
物言いたげな目で見てくる。
「そこまで分かりやすいのか」
「流石に半年くらい一緒に過ごせば分かるようになるぞ」
「そういうものか?」
「流石に霧島は分からぬかもじゃが、まあわしは一緒にいる時間が長いからの」
霧島って呼び捨てするのか
「霧島よりもわしの方が偉いからの」
そういうものなのか...
「お昼休憩にしましょうか、喜雨と漱印はここで食べる?」
「ここで食べる」
勝手に返事しやがって
「それじゃあここに持ってくるわね、少し待ってくださいね」
しばらくしておにぎりが乗ったお盆を持ってきてくれた。
綺麗な三角形で海苔が巻かれている。
「おにぎりか、具は何じゃ?」
「鮭と梅干しですよ」
好きな具で食べるのがより楽しみになる。
「それじゃいただきます」
早速頬張ると、程よい硬さでもっちりとしている。
「これは新米かの?美味しいのう」
鮭の部分にくると鮭の旨みも合わさってより美味しい。
秋の味を堪能しながら午後の仕事を意気込んだ。




