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10月13日 たると
「美味しそうじゃの…」
ケーキ屋のショーケースに釘付けになってる漱印が何か呟いてる。
「あらまぁ、ケーキね。美味しそうね」
「ケーキ屋の前通ることがなかったからか…」
「ケーキ!食べたいのう…だめか?」
「だめだろ、高いし誕生日って訳でもないし」
「そうね…また今度にしましょう」
「うーむ…そうじゃ小さいケーキを4等分すればどうじゃ?だめかの…」
いつもより粘るな…確かにケーキは美味しそうだけど
思わずショーケースの方を向くと、ここぞとばかりに漱印がケーキを食べたいと強請った。
「喜雨も食べたいかしら?それなら買いましょうか」
別に欲しかった訳じゃなかったのに…
結局1切れの葡萄が乗ったタルトを買った。
「ケーキか…珍しいな」
「漱印と喜雨が食べたかったみたいで1人あたりになると少し小さくなるけど…いいかしら」
「良い良い、食べられるなら小さくても構わぬぞ」
クリームチーズが使われているからかさっぱりとした甘さのクリームが美味しい。
「美味しかったのう…ご馳走様でした。」
もう食べたのか…
4等分にされたタルトをゆっくりと味わうことにした。




