9月25日 わなし
「諏訪さん、これ貰ってもらえますか」
大きいビニール袋に入った物を差し出され困惑する。
「え...とこれなんですか?」
思ってたよりも重くて余計に困惑した。
受け取ってから気づいたけれど、ビニール袋二重になっている。
覗いてみると甘い香りがふわっと香った。
茶色の皮の果物?
「あ、ごめんなさい...これ和梨です。」
梨...食べたことないな
「...洋梨と違うの?」
「食感が違うかな、洋梨よりもシャリシャリして美味しいよ」
「そうなんですね」
思わず梨に目線を釘付けにされ、そう返事するしかなかった。
「ただいま」
「おかえり、お主遅いぞ。何を持っておるのじゃ?」
「香取さんに梨貰った、おばあちゃんこれどうすればいい?」
「おかえり喜雨。冷蔵庫に入れますね、こっちにもらえるかしら」
「重たいから俺が入れる、場所広げてもらってもいい」
おばあちゃんに渡すには重たいよな
あらそうと微笑みながらおばあちゃんは冷蔵庫の方へ向かった。
「若葉ちゃんには優しいのじゃの...」
「おばあちゃんだからだと思うけど...」
口を尖らせておじいちゃんの方に向かったようだ。
ちょっと悪かったかな...
そんなことを考えながらもう一度梨の香りを嗅いだ。




