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9月19日 つきみうどん
「今日はおうどんにしましたよ」
おじいちゃんと漱印と一緒に家に帰るとちょうど晩御飯の用意ができたようだ。
「おお、楽しみじゃ!うどん!うどん!」
「まずは手を洗いに行ってからのお楽しみですよ」
はーいと少し不満そうに返事をしながら手を洗いに行った漱印を、微笑ましそうにおばあちゃんが見つめていた。
「それではいただきます」
今日のうどんはいつもの溶き卵が入った物ではなく、黄身が熱された白身の上に乗っている。
「目玉焼きみたいだね」
「中秋の名月は過ぎたけど、食べ物は作ればいつも食べられるからね」
黄身混ぜようかな、味変でまだやめておこうか...
どっちにしようか迷っているとふと漱印の方を一瞥する。
...もう7割くらい食べてないか
「お主、まだ食べないのか?それとも食欲が無いのかの。わしが食べようか」
目線がうどんの方に向いている...
「いや、大丈夫。いただきます」
本当に食べられそうだ...
少し勿体ないなと思いつつ黄身を割ると、とろりとより美味しそうに見える。
いつもより黄身の味が濃く感じる。
少し違った味で月見もまた味わいたいな




